メルボルン路面電車とは?世界最大ネットワークの歴史・路線・運行概要
メルボルン路面電車の誕生から現在まで、250km・450台の世界最大ネットワークの歴史、路線・運行概要、観光・乗り方を分かりやすく解説。
オーストラリアのメルボルンでは、1885年にトラムが導入され、現在では約250kmの線路、約450台のトラム、25の路線、約1700の停留所からなる世界最大のトラムネットワークを形成している。トラムの動力は架線による直流600Vで、標準軌(1435mm)の線路を走っている。現在は、ネットワークの所有者であるビクトリア州政府と契約した民間事業者ヤーラ・トラムスが運営しており、メルボルンの街の景観や市民生活と深く結びついている。
歴史の概略
メルボルンのトラムは19世紀末に馬車式や蒸気式を経て、電気式トラムが普及していきました。20世紀を通じて複数の私企業や市営事業が路線を拡大し、最終的には州が統合・管理する現在のネットワークへと発展しました。歴史的なWクラスなどの保存車両は、市内観光路線やイベントで今も運行され、市民や観光客に親しまれています。
路線とネットワークの特徴
- 路線形態:中心業務地区(CBD)では路面走行が主で、郊外へ向かうと専用軌道や分離された区間もある。多くの路線が交差し乗り継ぎしやすい配置になっている。
- 主要路線:市内中心部を巡る短距離路線から長距離の郊外路線まで多様。観光向けの無料周遊路線(City Circle、Route 35など)もある。
- 運行時間:通常は早朝から深夜まで運行。週末には一部路線で夜間(オールナイト)運行の「Night Network」が導入されており、深夜の移動手段を提供している。
車両と設備
- 車両は世代が混在しており、クラシックなWクラスの保存車両から、段差の少ない低床車(近年導入された大型の低床車を含む)まで様々。低床車の導入でバリアフリー化が進んでいる。
- 停留所は路上の乗降スペースや小さなプラットフォームなど様々で、多くの主要停留所にバリアフリー対応や案内表示が整備されている。
運行体制と料金
- 運営:ヤーラ・トラムスが日常の運行・保守を担当し、路線・サービスの計画や料金体系はビクトリア州政府の交通機関が監督している。運行は時刻表を基にしたサービスで、主要路線は頻繁運行(ピーク時は数分間隔)の場合が多い。
- 料金・乗車方法:統合乗車カード「myki(マイキー)」が導入されており、トラム・列車・バスで共通に使える。CBD中心部の一部無料ゾーンは以前存在したが、現在は運賃体系が整理されているため、乗車前に最新情報を確認することをおすすめする。
- 安全・マナー:トラムは道路交通と混在する区間が多いため、歩行者や自転車利用者も含めた安全確認が重要。車内では優先席や車椅子スペースが設けられている。
利用状況と文化的意義
メルボルンのトラムは市民の日常交通としてだけでなく、街のアイコン的存在でもある。2015–16年度にはトラムに乗車した乗客は延べ約2億300万人に達し、観光客にも人気がある。COVID-19の影響で一時的に利用者数は減少したが、その後回復傾向にあり、都市交通の重要な軸として位置づけられている。
将来計画と課題
- 低床・バリアフリー車両の追加導入や停留所の整備拡大によるアクセシビリティ向上が進められている。
- 混雑緩和や運行の信頼性向上のため、専用軌道の拡張や交差点での優先制御などインフラ改良の検討が続いている。
- 持続可能性の観点から、電力供給の効率化や将来的なゼロエミッション化の議論も行われている。
まとめると、メルボルンのトラムは長い歴史と多様な車両群を有し、市民生活や観光に欠かせない公共交通です。路線網の広さと頻繁な運行が特徴で、今後も都市の成長とともに進化が期待されています。

メルボルンの路面電車網の地図。

1905年、メルボルンのセント・キルダ線に登場したケーブル・トラムのダミーとトレーラー。
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