ツイードとは:特徴・歴史・製法と用途 — 耐久性と防湿性の伝統生地
ツイードとは:スコットランド発の伝統毛織物。耐久性・防湿性に優れ、特徴・歴史・製法・用途(野外活動やアウター)を詳しく解説。
ツイードとは、平織り、綾織、ヘリンボーン柄など、ざっくりとした毛織物のことです。一般にウールを原料に、太めでふくらみのある糸を用いて織られるため、表面に独特の粗さや立体感が出ます。紡績前に染色した羊毛を混ぜることで、糸に微妙な色合い(ヘザー調やネップのある粒状の色むら)を持たせ、単色では得られない深みや複雑な色味を生み出している点が特徴です。
特徴
- 耐久性が高い:織りと仕上げ(フェルト化・ミリング)により、丈夫で長持ちします。
- 防湿性・保温性:ウール特有の繊維構造とラノリン(羊毛脂)により、水を弾きやすく、湿気の多い環境でも保温性を保持します。
- 通気性:密に織られていてもウール本来の通気性があり、蒸れにくい性質があります。
- 多様な表情:ヘリンボーン、タータンチェック、ハウンドトゥース(千鳥格子)など多彩な柄と、メランジュ(混合色)の風合いが楽しめます。
歴史と文化的背景
ツイードは主にスコットランドやアイルランドの寒冷で湿った気候に適応して発展した伝統的な織物です。英国諸島の農村部では、野外での作業や射撃・狩猟などの活動に適した実用的な衣服として広まりました。19世紀以降、都市のアウトドア愛好家や上流階級のブリティッシュカントリースタイルの象徴としても定着しました。
特に有名なのはスコットランドの「Harris Tweed(ハリスツイード)」や、アイルランド北西部の手法で作られるツイードなどで、地域ごとに織り方や色使いの個性があります。アイルランドでは、ツイードの製造はドニゴール州で行われていることが知られ、ドニゴール・ツイードはカラフルなネップ(色糸の粒)が特徴です。
製法(概要)
- 原料選択と染色:羊毛を選別し、場合によっては紡績前に染め分けた毛を混ぜ合わせます(メランジュ効果)。
- カードイング(梳毛作業):毛を整え、空気を含ませながら繊維を揃えます。
- 紡績:ウールを撚って糸にします。ツイードは比較的毛羽のあるウール糸(ウールン糸)で作られることが多いです。
- 織布:平織り、綾織り、ヘリンボーンなど目的の柄で織り上げます。
- 仕上げ(ミリング・仕上げ加工):洗いと摩擦で織物を縮めて密度を高め、生地に厚みと耐久性を持たせます。最後に仕上げのブラッシングで表面の毛羽を整えます。
代表的な種類
- ハリスツイード:スコットランド・ハリス島で手作業により織られ、独自の認証がある高級ツイード。
- ドニゴールツイード:アイルランドのドニゴール地方のツイードで、カラフルなネップが特徴。
- サックス(サクソニア系)や英国カントリーツイード:用途や織りの違いで風合いが多様。
用途
- ジャケット、コート、ブレザー、スーツ(カジュアル寄り)
- 射撃服やアウトドアウェア(耐候性を生かした実用服)
- 帽子(キャップ類)、スカート、ベスト
- バッグ、シューズの一部、インテリアのクッションや椅子張り
- ハイファッションではシャネルなどのブランドがツイードを定番素材として採用してきました。
手入れと保存方法
- 日常はブラッシングや陰干しでホコリや湿気を取り除く。頻繁な洗濯は避ける。
- 汚れがひどい場合はドライクリーニング推奨(ラベルの指示に従う)。
- 保管は風通しの良い場所で、蒸れを避ける。防虫剤や防湿剤を使うと長持ちします。
- 水分に触れた場合は形を整えて陰干しし、直射日光や高温は避ける。
品質の見分け方
- 目の詰まり具合と手触り:密で重みがありつつ柔らかさがあるか。
- 混色の深み:染毛を混ぜたメランジュやネップの自然さ。
- 産地の表示や認証ラベル(例:Harris Tweedの紋章など)があるか。
- 織りムラやほつれが少なく、縫製がしっかりしているか。
現代のツイードとサステナビリティ
近年、自然素材としてのウールの利点や長寿命の観点からツイードは再評価されています。リサイクルウールやトレーサビリティ(原料の産地証明)、地域産業を守る認証制度といった取り組みが進んでおり、ファッションのサステナビリティに寄与しています。
まとめ:ツイードは耐久性と防湿性、独特の風合いを持つ伝統的なウール織物です。野外活動に適した実用性と、ファッション素材としての多様性の両方を備えているため、用途や好みに合わせて長く愛用できる素材です。

ヘリンボーン綾織のハリスツイード、20世紀中頃
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