バレンシアサーキットと混同しないようご注意ください。
バレンシア・ストリート・サーキットは、スペイン・バレンシアにある半永久的に使用可能なストリート・サーキットです。市街や港湾の公道をベースに、恒久的なピットやパドック設備と、一時的に組まれる観客席やセーフティフェンスを組み合わせた構成が特徴で、F1の国際レース開催に合わせて整備されました。
サーキット概要
- 開催されたイベント:2008年から2012年まで、F1のヨーロッパGPが開催されました。初開催は2008年8月24日で、フェリペ・マッサが優勝しています。
- コース長・コーナー数:全長は約5.419km、コーナー数は25(公称)で、長いストレートと複数の低速コーナーが組み合わさったレイアウトです。
- ロケーション:市街地の港湾エリア(アメリカズカップ開催地周辺)とその周辺道路を利用しています。
コースの特徴
コースは港湾沿いを通るため、海風や塩害の影響を受けやすく、路面やブレーキへの影響がレースの難しさを増しました。特徴的な要素として、全長約140mの可動式スイングブリッジがコースに組み込まれており、港の船舶航行とサーキット運用を両立させていた点が挙げられます。
- 長いストレートとテクニカルな区間の組み合わせにより、セットアップの難易度が高い。
- 一部にティルケ設計の専用道路や建築物が組み込まれており、半永久型の要素と臨時設置の混在が見られる。
- 街中コースらしく壁やバリアが近接し、レース中のミスが致命的になりやすい。
F1での歴史と評価
バレンシア・ストリート・サーキットは、2008年の初開催以降数年にわたりヨーロッパGPの舞台となりました。港湾の景観や夜間照明を生かした演出は注目を集めましたが、同時に「追い抜きが起きにくい」「観客動員やコスト面での課題」といった批判もありました。2011年以降はフォーミュラ1全体のレーススケジュールや財政事情の影響もあり、2012年を最後にF1開催が終了しています。
設計と施設
ドイツの建築家ヘルマン・ティルケがコース設計に携わり、レース専用道路の一部やピットビルなどの施設設計も行いました。ティルケの関与により、街中コースでありながらレース運営に配慮した恒久的要素を持たせる設計が施されています。観客席やバーリア(防護柵)は多くが仮設で、レース開催期間中に組み立て・撤去される運用でした。
その後・現在の状況
経済性や地元行政との協議の結果、F1は2012年を最後にバレンシアでの開催を終了しました。コースとしての恒常的な運用はされていませんが、周辺の道路や港湾エリアは通常の都市機能として使われ続けており、一部の設備は他用途に転用・撤去されています。近年では跡地や周辺の都市開発、地域イベントで利用されることがあるものの、F1の国際戦は再開されていません。
補足:同市内には恒久的な別のサーキット(いわゆるバレンシアの常設サーキット)もあり、名称や場所で混同しやすいため注意が必要です。