米国第一次世界大戦勝利記念メダル — 歴史・デザイン・仕様解説

米国第一次世界大戦勝利記念メダルの歴史、フレイザーの意匠、材質・寸法・リボン等の詳細を写真と共に解説。

著者: Leandro Alegsa

第一次世界大戦勝利記念メダル(World War I Victory Medal)は、アメリカ合衆国の従軍者に授与された記念メダルで、彫刻家ジェームズ・アール・フレイザー(James Earle Fraser)が1919年にデザインを担当しました。このメダルは連合国側の「勝利メダル」構想の一部として作られ、1919年にデザインが固まり、1921年4月に制度として正式化・授与が開始されました。

歴史的背景

第一次世界大戦後、連合国諸国は戦勝を記念する共通の意匠と同一のリボンを用いるという合意のもと、それぞれの国で「勝利メダル」を発行しました。アメリカのメダルはこの国際的な流れの一端を担い、戦争に従事した軍人や一部の民間従事者に対して授与されました。戦後の記念的性格が強い一方で、各国と同様に従軍の事実を示す公式な勲章としての役割も果たしました。

デザインの特徴

メダルの正面(表面)には、翼を持つ全身像の「ヴィクトリー(勝利の女神)」が立つ姿が描かれています。背面(裏面)には 「THE GREAT WAR FOR CIVILIZATION」(文明のための大戦)という文言が刻まれ、中央には盾(「U.S.」の文字入り)を載せたファスケス(束ねた斧と棒)風の意匠が配されています。裏縁には連合国および関連国の名称が刻印されている場合が多く、これが「国際的な連帯」を象徴しています。

仕様(寸法・材質など)

  • 材質:ブロンズ(青銅)
  • メダル直径:1 3/8インチ(約35 mm)
  • ラペルボタン(襟用小章):リース上に直径5/8インチ(約16 mm)の五芒星があり、中央に「U.S.」の文字
  • リボン幅:1 3/8インチ(約35 mm)、連合国共通の虹色(レインボー)配色

リボンとラペルボタン

リボンは虹色のグラデーション(レインボー)で、連合各国の勝利メダルと同じ配色が用いられています。メダル本体はリングでリボンに吊り下げられ、日常の礼装用としては小型のラペルボタン(襟章)が用意されました。ラペルボタンは胸元に付ける簡易版で、メダルと同じく中央に「U.S.」を示す意匠があります。

受勲対象と追加装飾

原則として、第一次世界大戦に従軍したアメリカ軍人や特定の軍務に従事した関連者が対象でした。個別の作戦や戦闘参加を示すため、各種のクラスプ(戦闘名を刻んだ小さな金属バー)や、所属・功績を表す小さな装飾(星章やリーフなど)がメダルやリボンに付けられることがありました。これらの追加装飾は受勲者の具体的な活動内容を示します。

意義と現代での評価

第一次世界大戦勝利記念メダルは、当時の国際的な連帯感と従軍者の奉仕を記念する象徴的な品です。今日では軍事史や勲章収集の対象としても関心が高く、デザインや刻印、クラスプの有無は収集価値や来歴の判定に重要な手がかりとなります。また、連合国間で共通のリボンと似た意匠が採用された点は、戦後の記念文化を考えるうえでの興味深い史料です。





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