与那国海底遺跡とは?自然形成か人工建造か—特徴と論争の概要

与那国海底遺跡の謎に迫る—自然形成か人工建造か?形状・規模・専門家の見解をわかりやすく解説し、論争の全貌と特徴を一挙紹介。

著者: Leandro Alegsa

与那国海底遺跡は、日本最西端の与那国島の周辺海域にある、海底に広がる大規模な岩体群です。1980年代に地元のダイバーらによって知られるようになり、以来「与那国海底遺跡(しばしば与那国碑と呼ばれる)」として国内外で注目されています。遺跡と呼ばれる部分は、階段状の段丘、平らな面、直線的で鋭い角を持つ面などが連続しており、学術界では自然起源説を支持する意見が多い一方、琉球大学の木村政昭教授(地震学)らや一部の研究者・報道は、2000〜3000年前あるいはそれ以前に人為的に加工・造営された可能性があると主張しています。

主な外形はおおむね長方形で、規模は約150×40m(およそ490×130フィート)、高さは最大で約27m(約90フィート)に達するとされます。現状では頂部が海面下約5m(約16フィート)にあり、その上面は大きな段差や広い階段状のテラスが直線的に並ぶという特徴を示しています。

その特異なディテールの一部を紹介する。

主な特徴

  • 直線的・角張った面:大きな平坦面や直角に近い角を持つ部分があるため、人工的と誤解されやすい。
  • 段丘・階段状構造:複数段のテラス(段差)や大きな階段に見える地形が観察される。
  • 規模の大きさ:数十メートル〜百メートル級の連続した岩体で、全体として整った長方形の輪郭を示す。
  • 穿孔や溝のような痕跡:円形の穴や直線状の溝が見える箇所があり、これを道や柱穴、加工痕と解釈する意見がある。

自然形成説(主流の見解)

  • 地質学的には、もともと存在する層理、節理(割れ目)、断層、波や潮流による侵食が複合して、直線状や階段状の形状を生じることが説明されます。
  • 岩石の割れや層の向きが揃っている場所では、人為的加工に見える直線や角が自然に形成されることが多数の海底・陸上の事例で確認されています。
  • 多数の地質学者は、装飾や工具痕など「明確な人工性を示す決定的な証拠」が欠けている点を指摘しています。

人工建造説(提唱側の主張)

  • 一部の研究者や支持者は、階段状の意匠性、直線・直角の連続、特定の穴や溝の配置などが単なる自然現象では説明しにくいと主張します。
  • 仮に人工物であれば、海面変動に伴って沈降した時期を考慮すると、数千年前に造られた可能性がある(提唱者の中には約2000〜3000年前とする説がある)。
  • 支持派はフィールドワークやダイビングによる観察、地形の写真・映像資料を根拠に人工性を主張してきました。

調査と論争の現状

  • これまでにダイバー観察、写真測量、サイドスキャンソナーや高解像度の水中撮影・3Dモデル化などの手法で形状の記録が行われています。
  • しかし、岩石の直接的な年代測定や、明確な人工加工の痕跡(工具痕や工法を示す証拠)はまだ得られておらず、学術的合意には至っていません。
  • 海面変動の履歴や地盤の隆起・沈降、津波や地震の影響など複数の自然要因を総合的に検討する必要があり、今後の地質学的・考古学的調査が求められます。
  • 観光・ダイビングスポットとしての側面も強く、保存や安全、文化財的扱いについて地域・国レベルでの方針検討も課題になっています。

まとめと今後の課題

  • 与那国海底遺跡は形状の特徴から人為的に見える部分があり、歴史的・文化的な関心を集めていますが、現在のところ学術的な結論は出ていません。
  • 決定的な判断には、岩石学的解析、年代測定、人工加工を示す物理的証拠の発見が不可欠です。
  • 今後は高精度な地質学・考古学的調査、国際的な共同研究、非破壊での詳細な3D計測や試料採取による科学的検証が期待されます。

興味がある方は、現地でのダイビングガイドや公式発表、査読付きの学術論文を確認すると、最新の調査成果や論争の推移を追うことができます。

与那国の巨岩の上を水中で歩くダイバー。Zoom
与那国の巨岩の上を水中で歩くダイバー。



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