2018年エイムズベリー中毒事件(英・ノビチョク神経剤による被害)
2018年エイムズベリー中毒事件:ノビチョク神経剤による英国での被害、死亡者と捜査の経緯、犯行手口と謎を詳述する徹底レポート
2018年6月30日エイムズベリーの病院に収容された。警察は、彼らが約4カ月前に8マイル(約13キロ)離れたソールズベリーでセルゲイ・スクリパル氏とその娘ユリアが毒殺された事件で使われたものと同様のノビチョク神経剤で毒殺されたと断定した。スタージェスは7月8日に死亡し、ローリーは2日後に意識を取り戻した。
捜査の結果、毒の出所は、おそらく公園で拾った香水瓶であろうと結論付けられた。被害者の一人が見つけて自宅に持ち帰った小さな香水瓶に接触し、もう一人がその容器から香水(と考えた物質)を皮膚に塗布したことが直接の暴露経路と見られている。イギリスの化学兵器研究所(ポートン・ダウン)での分析は、検出された物質が3月のソールズベリー事件で使われたのと同系統のノビチョク神経剤であることを示した。
経緯(概要)
- 2018年3月:ソールズベリーでセルゲイ・スクリパル父娘が神経剤に中毒(背景として本事件と関連)。
- 2018年6月30日:エイムズベリーでローリーとスタージェスが倒れ、病院に搬送。
- 7月8日:ドーン・スタージェス死亡(死因は神経剤中毒と断定)。
- 7月10日頃:チャーリー・ローリーが意識回復。以後入院治療と長期のリハビリを受けた。
捜査と分析
本件は当初から通常の中毒事件を超える事案として取り扱われ、カウンター・テロ対策部門(Counter Terrorism Policing)と地元ウィルトシャー警察が合同で捜査を行った。ポートン・ダウンでの化学分析により、現場や患者から採取されたサンプルはノビチョク系神経剤であることが確認された。捜査はソールズベリー事件との関連性に重点を置き、環境サンプルの検査や目撃情報の収集、現場周辺の家屋・公園の捜索が進められた。
医療対応と健康影響
ノビチョクは強力なアセチルコリンエステラーゼ阻害剤であり、暴露後は呼吸困難、失神、痙攣など重篤な神経症状を呈する。被害者には救急処置とともに解毒薬(例えばアトロピン等)の投与、集中治療が行われた。スタージェスは治療にもかかわらず死亡し、ローリーは意識を取り戻したものの長期的な健康被害や神経学的後遺症が報告された。
公衆衛生と環境対応
事件を受けて現場周辺は立ち入り禁止となり、複数の住宅や公共施設が封鎖された。発見された香水瓶や汚染が疑われる物品は回収・隔離され、専門チームによる除染作業が実施された。長期間にわたり地域の一部は監視下に置かれ、住民への健康相談や検査が行われた。
国際的影響と論争
この事件は、同年3月のソールズベリー事件と合わせて国際的な非難や外交問題を呼び、各国でロシア外交官の追放などの対応が行われた。英国政府はソールズベリー事件でロシアの関与を強く疑っており、エイムズベリー事件は「同じ型の神経剤によるさらなる被害」として大きな注目を浴びた。
その後と教訓
エイムズベリー中毒事件は、化学兵器に起因する“二次被害”や環境残留の危険性を改めて示した。捜査・医療・公衆衛生の連携や、危険物の発見時の安全確保、地域住民への迅速な情報提供と除染対策の重要性が指摘された。被害者とその家族に対する支援や、事件による社会的影響(観光や地元経済への打撃)も問題として残った。
本件は、化学兵器による民間人被害とその予防・対応の在り方についての重要な事例である。
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