Sir Andrew John Wiles, KBE, FRS(1953年4月11日ケンブリッジ生まれ)は、アーベル賞を受賞したイギリスの数学者であり、オックスフォード大学の王立協会研究教授である。専門は整数論。フェルマーの最終定理の証明で最も有名である。1996年からアメリカ科学アカデミーの外国人会員。
経歴と教育
ワイルズは幼少期に図書館でフェルマーの最終定理を知り、少年時代からこの問題に強い関心を抱いていました。学問面では、オックスフォード大学(メートン・カレッジ)で学士号を取得し、その後ケンブリッジ大学で博士号を取得しました。博士課程では数論、特にアイワズワ理論(Iwasawa theory)などの研究に取り組みました。
フェルマーの最終定理の証明
ワイルズが世界的に知られるようになったのは、17世紀の問題であるフェルマーの最終定理を証明したことによります。証明の大まかな流れは次の通りです。
- 古典的に難問とされていたフェルマーの最終定理は、ある種の楕円曲線(楕円曲線)とモジュラー形式(モジュラー関数)の間に成り立つ関係(タンヤマ=志村予想、後にモジュラリティ定理と呼ばれる)の特殊な場合に帰着されることがわかっていました。
- リベ(Ken Ribet)らの結果により、特定のモジュラリティが成り立てばフェルマーの最終定理が導かれることが示されました。
- ワイルズは1993年に半安定(semistable)楕円曲線のモジュラリティを証明することで、フェルマーの最終定理を導くことを発表しました。最初の発表後に証明の一部に穴が見つかりましたが、同僚のリチャード・テイラー(Richard Taylor)と協力してその穴を埋め、1994年に完全な修正証明を完成させました。
- この作業で用いられた新しい手法は一般にテイラー=ワイルズ法(Taylor–Wiles method)と呼ばれ、ガロア表現論、モジュラー形式、数論幾何学を結びつけるものでした。
業績の意義と影響
ワイルズの成果は単に一つの古典的問題を解決しただけでなく、数論の複数の分野を統合する新たな方法論を生み出しました。テイラー=ワイルズ法はその後の数論・代数幾何学の研究に大きな影響を与え、モジュラリティ定理の拡張やガロア表現の研究など、多くの重要な発展を促しました。
受賞・栄誉
- アーベル賞(2016年) — フェルマーの最終定理の証明に対して授与されました。
- ナイト(KBE)などの栄誉や、王立協会(FRS)会員としての選出など、国際的に高い評価を受けています。
- さらに、各国の学術団体から名誉会員や外国人会員として迎えられるなど、多数の栄誉を持っています。
その後の活動
ワイルズは証明後も研究活動を続け、整数論や数論幾何学の発展に寄与しています。またその業績は教育・啓発面でも大きな影響を与え、若い研究者たちにとってのロールモデルとなっています。
まとめ
サー・アンドリュー・ワイルズは、古典的な難問であったフェルマーの最終定理を解決したことで数学史に名を残す人物です。彼の業績は単なる一件の解決にとどまらず、現代数論の方向性を決定づけるほどの深い影響を与えました。

