二項展開では、式を用いて級数や多項式を作ります。( x + y ) n {displaystyle (x+y)^{n}} のような括弧式で表現します。{\displaystyle (x+y)^{n}} 二項展開には主に3種類があります。

定義と基本公式(非負整数の冪)

二項定理(Binomial Theorem):非負整数 n に対して、 (x + y)^n は次のように展開されます。

(x + y)^n = Σ_{k=0}^{n} C(n,k) x^{n-k} y^{k}

ここで C(n,k)(二項係数)は

C(n,k) = n! / (k!(n-k)!)

: (x + y)^3 = x^3 + 3x^2y + 3xy^2 + y^3

二項係数は組合せ(n 個の中から k 個を選ぶ方法の数)を表し、パスカルの三角形とも関係します。

実数・複素数冪の二項級数(無限級数としての展開)

指数が実数や複素数 α のとき、(1 + z)^α は一般化された二項係数を用いて無限級数として展開できます。

(1 + z)^α = Σ_{k=0}^{∞} C(α,k) z^k, ただし |z| < 1

ここで

C(α,k) = α(α-1)(α-2)...(α-k+1) / k!(k ≥ 1)、C(α,0)=1

収束条件:この級数は一般に |z| < 1 の領域で絶対収束します(特別な α の値では端点で収束する場合もあります)。

  • (1 + x)^{-1} = 1 - x + x^2 - x^3 + ⋯ (|x| < 1)
  • (1 + x)^{1/2} = 1 + (1/2)x - (1/8)x^2 + (1/16)x^3 + ⋯ (|x| < 1)

多項定理と一般化(多変数への拡張)

二項展開はさらに一般化されて多項定理(multinomial theorem)になります。m 個の項からなる和の n 乗は、複数の添字を用いた和で表せます。

(x_1 + x_2 + ... + x_m)^n = Σ_{k_1+...+k_m = n} (n! / (k_1! k_2! ... k_m!)) x_1^{k_1} x_2^{k_2} ... x_m^{k_m}

この式は確率論や組合せ論、展開計算で幅広く使われます。

補足:二項係数の性質と計算のコツ

  • 対称性:C(n,k) = C(n,n-k)
  • 漸化式(パスカルの関係):C(n,k) = C(n-1,k-1) + C(n-1,k)
  • 計算の簡略化:部分的に x=1 や y=1 を代入すると合計や差の式が簡単に求まることが多い(例: (1+1)^n = 2^n = Σ C(n,k))。

具体例と応用

  • 代数計算:多項式の展開や係数の比較に使う。
  • 確率・統計:二項分布の確率質量関数は二項係数を含む。(成功確率 p の試行を n 回行って k 回成功する確率は C(n,k) p^k (1-p)^{n-k})
  • 解析学:関数の級数展開(級数近似やテイラー展開)で利用される。

まとめると、二項展開は(1)非負整数冪の有限展開、(2)実数・複素数冪の無限級数展開(一般化された二項係数を使用)、(3)多項定理による多変数への一般化、という3つの観点で理解すると体系的に使えます。具体例や収束条件を押さえると応用範囲が広がります。