エセル・マーマンとは ブロードウェイの伝説的女優歌手 生涯と代表作
エセル・マーマン(1908年〜1984年)はアメリカの女優、歌手であり、力強いベルティング(張りのある歌声)と舞台上での圧倒的な存在感で知られるブロードウェイの大女優である。彼女は多くのミュージカル劇で主役を務め、何曲もの名曲を初演したことで歴史に名を残した。特に「There's No Business Like Show Business」は彼女の代名詞的なナンバーとなった。
生涯と経歴の概要
クイーンズ区アストリア出身のマーマンは、早くからショー・ビジネスの世界で頭角を現し、ナイトクラブやヴォードヴィルを経てブロードウェイへと進出した。1930年代から1950〜60年代にかけて数多くのヒット作に出演し、舞台の顔として長年にわたり活躍した。
代表的な舞台と役柄
マーマンはコミカルで豪快な演技、そして観客に訴えるダイナミックな歌唱で知られる。彼女のキャリアを象徴する主な舞台には次のようなものがある。
- 初期のブレイク:ミュージカル作品で多くの重要なナンバーを初演し、注目を集めた。
- 『ジプシー』:マーマンの最も記憶に残る演技のひとつは『ジプシー』でのステージ・マザー(ローズ)役である。舞台版での演技によりトニー賞にノミネートされたが、映画化の際にはその映画版の役がロザリンド・ラッセルに渡ったことを、マーマンは「私の人生におけるプロとしての最大の失意」と語っている。
- 『サウンド・オブ・ミュージック』について:舞台化やキャスティングの過程では、親しい友人であるメアリー・マーティンが主役に選ばれたこともあり、そうした出来事もマーマンのキャリアに影響を与えた。
演技と声の特徴
マーマンの声は非常にパワフルで、マイクが一般的でない時代にも観客の心を鷲掴みにした。台詞まわしの切れ味やコミカルな間(ま)も評価され、舞台役者としての幅広い表現力で観客を魅了した。映画やテレビにも活動の場を広げ、多くの録音が残されているため、彼女の歌声は現在でも聴き継がれている。
代表作と主なナンバー
- Anything Goes(レノー・スウィーニー役) — コール・ポーターの名曲群を生き生きと歌い上げた。
- Girl Crazy — 初演で重要なナンバーを披露し、注目を集めた。
- Annie Get Your Gun(アニー・オークリー役) — 「There's No Business Like Show Business」などを代表曲としている。
- Gypsy(ローズ役) — 舞台版での演技は高く評価され、後の世代にも強い影響を与えた。
遺した影響
エセル・マーマンは「ブロードウェイの顔」として、アメリカのミュージカル史に大きな足跡を残した。派手で力強い歌唱法、舞台上の確固たる存在感、観客を惹きつけるエンターテイナー性は、多くの歌手や女優に影響を与え続けている。舞台史の重要人物として、現在でもその名前と歌声は語り継がれている。
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再生メディア 恋人と呼ばせて (1932年)
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再生メディア ユー・トライ・サムバディ・エルス (1932)
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再生メディア タイム オン マイ ハンズ (1932年)
私生活
マーマンは4回の結婚と離婚を経験した。
- ウィリアム・スミス(演劇エージェント)(1940-1941年
- 新聞社幹部 ロバート・レビット氏(1941~1952年)
- ロバート・シックス コンチネンタル航空社長(1953~1960年)
- 1964年、俳優のアーネスト・ボーグナイン。マーマンはその32日後に離婚を申請した。
マーマンはレヴィットとの間にエセル(1942年7月20日生まれ)とロバート・ジュニア(1945年8月11日生まれ)の二人の子供をもうけた。エセル・レヴィットは1967年8月23日、薬物の過剰摂取により死去した。マーマンの息子は、女優のバーバラ・コルビーと結婚していた。彼女は1975年にロサンゼルスで動機不明のまま射殺された。