フランソワ・ルモワン(1688–1737)— ヴェルサイユのロココ画家と大天井画

フランソワ・ルモワン(1688–1737):ヴェルサイユを彩ったロココ巨匠の生涯と大天井画『ヘラクレスの神化』、栄光と悲劇を辿る伝記。

著者: Leandro Alegsa

フランソワ・ルモワンまたはフランソワ・ルモワン(1688年 - 1737年6月4日)は、フランスのロココ画家で、王室の大規模装飾画、とくに寓意画的な大天井画で知られる。生前は王の第一画家に任じられ、宮廷の主要な装飾事業に携わったが、過労と宮廷内の陰謀、さらには私生活の悲劇が重なり、精神を病んで自ら命を絶った。1737年、王の大居室のヘラクレスの間の天井画「ヘラクレスの神化」を描き終えてから半年後、パリで自らを刺して亡くなったと伝えられている。彼の死は、寓意的大天井画の熱潮にひとつの区切りをもたらした。

生涯と経歴

ルモワンは1688年に生まれ、パリで絵画の修業を積んだ後、イタリアに留学して古典的・バロック的な手法を学んだ。帰国後は宮廷や貴族の依頼で教会や宮殿の大規模な装飾画を手がけるようになり、その技量と劇的な表現から高い評価を受けた。やがて王室から重要な仕事を任されるようになり、最終的には王の第一画家(premier peintre du Roi)の地位に就いた。

作風と技法

ルモワンの作風は、ロココ期に見られる軽やかさと古典的な構築力を併せ持つのが特徴である。次のような要素が挙げられる:

  • 躍動感のある身体表現と強い遠近法(フォアショートニング)を用いた劇的な構図。
  • 明るく透明感のある色彩と、光を効果的に扱うことで生まれる空間的広がり。
  • 神話や寓意を題材にした大きな群像で、観者を圧倒するスケール感。

これらはヴェルサイユの大天井に最もよく現れており、当時の宮廷装飾に大きな影響を与えた。

主要作品とヴェルサイユの天井画

彼の代表作は、ヴェルサイユ宮殿王の大居室(Grand Appartement du Roi)に描かれた天井画「ヘラクレスの神化」(L'Apothéose d'Hercule)である。この作品は神話的主題を壮大なスケールで描き、人物群の配置や色彩の巧みさで高く評価された。その他にも教会や貴族邸の装飾画を多数手がけ、大規模な天井・壁画の専門家として知られた。

死と評価・影響

過剰な制作負担、宮廷内での権力闘争、さらに私生活での不幸が重なり、ルモワンは精神的に追い詰められていった。1737年に自ら命を絶ったことは当時大きな衝撃を与え、その後、寓意画的な大天井画の制作は次第に減少していった。ルモワンの作品は、ロココ期の装飾美術における頂点のひとつとされ、後の装飾画や宮廷美術に影響を残した。

まとめ:フランソワ・ルモワンは、劇的で華やかな大規模装飾画を通じてヴェルサイユをはじめとする宮廷空間を彩った画家であり、その生涯と死は18世紀フランス美術の様相に深い跡を残した。

作品紹介

  • ヨーロッパに平和をもたらすルイ15世ヴェルサイユのサロン (1727年)
  • ヴェルサイユ宮殿「エルキュールの間」の天井(1736年)
  • パリのサン・トマス・ダクアン教会アーチ
  • ダイアン・シャッセール
  • レ・ニュンフ
  • ナルシス
  • サン・シュルピス修道院とサン・ジェルマン・デ・プレ修道院にも勤務していた

ギャラリー

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ナルシス(1728年)

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虚偽と嫉妬から真実を救う時間(1737年)画家が自殺する前日に完成した。



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