ジェームズ・サワービー(1757–1822)英国の博物学者・植物画家|『English Botany』挿絵担当
ジェームズ・サワービー(1757–1822)—英国の博物学者・植物画家。『English Botany』など精緻な手彩色挿絵で英国植物学史を彩った生涯と代表作を紹介。
ジェームズ・サワービー(James Sowerby、1757年3月21日 - 1822年10月25日)は、イギリスの博物学者、イラストレーターです。彼は多くの出版物の挿絵を担当し、とくに植物図版で高く評価されました。代表作には『イングリッシュ・ボタニー』(English Botany)や『A Specimen of the Botany of the New Holland』があり、これらの図版は18〜19世紀の博物学普及に大きな影響を与えました。
経歴と活動
サワービーはロンドンで活動し、職人技と観察眼を生かして植物や菌類の図版制作に従事しました。若い頃にウィリアム・カーティスの下で働き、カーティス編集のボタニカル・マガジン(Botanical Magazine)初期の巻には、彼の挿絵が約70点掲載されており、ここでの経験がその後の大型プロジェクトにつながりました。
主要な仕事と出版物
1790年以降、サワービーは大規模な図版シリーズに着手します。特に『English Botany』(通称 "Sowerby's Botany")では、手彩色の銅版図版が大量に製作され、合計で2592点にのぼる手彩色彫刻が含まれているとされています。本文は多くがジェームズ・エドワード・スミス(James Edward Smith)によって執筆され、サワービーの詳細な図版がその記載を補完しました。
また、A Specimen of the Botany of the New Hollandは、ジェームズ・エドワード・スミスによる文章に、ジェームズ・サワービーが挿絵を付した作品で、オーストラリアの植物学に関する初期のモノグラフの一つです。サワービーの手彩色の図版は、イギリスに持ち込まれた海外のスケッチや標本を基に描かれ、当時のヨーロッパで新植物に対する関心と需要を満たしました。
作風と技法
サワービーの図版は精緻な彫刻(エングレービング)に基づき、職人による手彩色が施されたことが特徴です。細部まで忠実に観察・描写する手法は学術的価値が高く、同時に一般読者にも魅力的に映る色彩表現により、自然史の普及に貢献しました。彼の図版は植物の形態や質感を分かりやすく示し、標本の補完資料としても重宝されました。
家族と系譜
サワービーは自身の仕事を家業として次世代に引き継ぎ、サワービー家はイラストレーターや自然史家の王朝と称されるほど世代を超えて活動しました。彼らは18世紀後半から19世紀のロンドンに住み、出版・図版制作の分野で重要な役割を果たしました。息子たちも図版制作や博物学研究を続け、家族全体で多くの書物と図版を残しています。
学術的貢献と影響
サワービーの図版は単なる美術作品にとどまらず、新種の記載や種の普及に寄与しました。多くの植物が彼の図版を通じて初めて広く紹介され、その図像資料は標本と並んで当時の博物学者や園芸家にとって重要な情報源となりました。彼の丁寧で魅力的なプレートと平易な解説は、自然史に興味を持つ一般読者層を拡大する役割も果たしました。
遺産と所蔵
サワービーの図版は現在、各種博物館や図書館、大学のコレクションに保存されており、研究資料としても高く評価されています。原典図版はデジタル化されることも多く、現代の研究や教育にも引き続き利用されています。
主要著作(抜粋)
- English Botany(イングリッシュ・ボタニー) — 大規模な手彩色図版集、本文は主にJames Edward Smith
- A Specimen of the Botany of the New Holland — オーストラリア植物の図譜(挿絵:James Sowerby)
- その他:菌類やキノコに関するカラー図鑑や解説書(複数巻)など
ジェームズ・サワービーは、正確な観察と高い美術性を兼ね備えた図版を通じて、18〜19世紀の博物学の発展と普及に大きく貢献しました。その仕事は多くの後進に影響を与え、サワービー家としての長い活動とともに現在まで評価されています。
質問と回答
Q: ジェームズ・サワビーとは何者か?
A: ジェームズ・サワービーは、18世紀後半から19世紀にかけてのロンドンで活躍したイギリスの博物学者でイラストレーターです。イギリスの植物学』や『ニューホランドの植物学』など、多くの出版物の挿絵を担当した。
Q: 『サワービーズ・ボタニー』とは何ですか?
A: 『サワービーの植物学』は、24年の歳月をかけて出版された全36巻の英国植物学の著作です。2592点の手彩色図版が収録されており、テキストはジェームズ・エドワード・スミスが執筆しています。
Q: 「Coloured figures of English fungi or mushrooms」とは何ですか?
A: 『Coloured figures of English fungi or mushrooms』は、ジェームズ・サワービーが『English Botany』を補うために書いた全4巻の著作です。自然史に興味を持つ読者が増える中、詳細な説明と鮮やかな色彩の魅力的な図版が収録されています。
Q: 『ニューホランドの植物標本』とは何ですか?
A: 『A Specimen of the Botany of New Holland』は、ジェームズ・エドワード・スミスが執筆し、ジェームズ・サワービーが挿絵を描いたオーストラリアの植物相に関する単行本です。この本は、対蹠的な植民地からの「開花種に対する一般的な関心とその伝播」に応えることを目的としていました。
Q: サワビー家はどのようにして知られるようになったのですか?
A: サワビー家は、ウィリアム・カーティスと共同で『Flora Londinensis』を制作したほか、『Coloured Figures Of English Fungi Or Mushrooms』『A Specimen Of The Botany Of New Holland』などの独自のプロジェクトにより、イラストレーターや自然史家の一族として知られるようになった。
Q: ジェームズ・サワービーはいつからウィリアム・カーチスと仕事を始めたのですか?
A: ジェームズ・サワビーは、1790年にウィリアム・カーティスと仕事を始め、カーティス編集の『植物誌』初期巻の挿絵を担当するようになりました。
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