マルトロス・サリヤン(アルメニア語: Մարտիրոս Սարյան; 1880年2月28日–1972年5月5日)は、アルメニアの画家であり、近代アルメニア視覚芸術の発展に中心的な役割を果たした。ロシア帝国時代のノル・ナキチェヴァンに生まれ、明るく高彩度の風景画と、自然の形態を装飾的で表現力のある色面へと整理した構図で知られる。
生涯と教育
サリヤンは1897年から1904年までモスクワ絵画彫刻建築学校で学び、ヴァレンティン・セロフやコンスタンチン・コローヴィンといった著名なロシア人画家の教室に入った。これらの形成期に、彼はヨーロッパ美術の最新の動向に触れ、ポール・ゴーギャンやアンリ・マティスを敬愛しながら、後期印象派とフォーヴィスムの要素を吸収し、独自の色彩と構図を築いた。
様式と主題
彼の作品は、強い、しばしば自然主義に依らない色彩、平面的な画面構成、そして厳密な写実よりも調和と気分を重視するリズミカルな形態配置で見分けられる。画業の中心は風景であり、山々、村、果樹園、そしてコーカサスやアルメニア高地特有の光が繰り返し主題となった。また、民俗装飾、アルメニアの図像、室内場面も取り入れ、近代主義と民族的モチーフを結びつけた視覚言語を形づくった。
- 鮮やかで表現力のある色彩と簡略化された形態
- アルメニアの風景や文化的場面への集中
- 絵画、水彩、挿絵、装飾芸術にわたる制作
サリヤンはコーカサス、近東、さらにその外へも広く旅し、さまざまな風景や人々から着想を得た。後年はソビエト・アルメニアに居を構え、エレバンのアトリエと自宅は保存され、現在では彼の生涯と仕事を示す証しとして公開されている。
キャリアと遺産
長い画業の中で、彼はロシア国内と国外の双方で展示を行い、イーゼル画だけでなく公共装飾のためのデザインも手がけ、近代的で民族的基盤を持つ芸術を求める世代のアルメニア人芸術家に影響を与えた。彼は20世紀アルメニア絵画の中心人物として記憶されており、大胆な色彩と、近代ヨーロッパの潮流とアルメニアの主題を統合した手法は、国民的モダニズムの流れを形づくる助けとなった。
略伝と作品画像については、博物館および人物紹介資料を参照。マルトロス・サリヤン邸博物館と略伝概要。