ルパート・シェルドレイク(1942年生)— モルフィックレゾナンス(形態的共鳴)提唱の英国生化学者・作家

ルパート・シェルドレイク(1942年生)— 英国の生化学者・作家。モルフィックレゾナンス理論や著書『A New Science of Life』『The Science Delusion』、TEDx論争の経緯を解説。

著者: Leandro Alegsa

アルフレッド・ルパート・シェルドレイク(Alfred Rupert Sheldrake、1942年6月28日生まれ)は、イギリス出身の生化学者・作家であり、科学と意識、動物行動、パラサイコロジーに関する著作で知られる人物です。ケンブリッジ大学で学び、生化学と細胞生物学の研究に従事した後、1970年代にインドでの研究活動にも携わりました。1981年に初めて主要著作となるA New Science of Life(邦訳『新しい生命科学』等)を発表し、以後さまざまな論争的テーマを提起してきました。

略歴と経歴

シェルドレイクはケンブリッジで学位を取得し、1967年から1973年までケンブリッジ大学の生化学者、細胞生物学者として研究に従事した時期があります。1974年から1978年にかけてはインドでフィールドワークや研究活動を行い、帰国後も執筆と研究を続けました。研究者としての出自を持ちつつ、著述活動を通じて科学哲学や意識の問題、生物学の基礎概念に対する独自の視点を提案しています。

モルフィックレゾナンス(形態的共鳴)理論

シェルドレイクの最も有名な提案は「モルフィックレゾナンス(形態的共鳴)」という仮説です。簡潔に言えば、同種の系(例えば同じ種の生物や結晶構造)は、過去に存在した同様のパターンと非因果的に「共鳴」することで、新しい系の形成や行動の傾向が影響を受ける、という考え方です。彼はこの考えを用いて、生物の発生、行動の学習、習慣の伝播などを説明しようとしました。

この理論は伝統的な遺伝学や発生生物学の枠組みとは大きく異なり、多くの科学者からは反証困難であることや経験的裏付けの不足を理由に批判され、しばしば疑似科学的だと評されます。一方で、シェルドレイクは理論の検証を促す実験的提案も行い、支持者や関心を持つ一般読者を得ています。

論争と受容

シェルドレイクの主張は学術界で激しい議論を呼び、支持と批判が混在しています。たとえば、彼の代表作A New Science of Lifeは科学誌や評論で強い批判にさらされることがあり、2009年にはNature誌の副編集長であるアダム・ラザフォード(Adam Rutherford)が彼と同著についてGuardian紙に批評を寄せ、批判的な評価を示しました(反論や擁護も存在します)。

また、2013年に行った講演が注目を集めました。シェルドレイクはTEDxで自身の著書The Science Delusion(英題)に基づく講演を行いましたが、その映像は後にTEDの公式サイトから削除されました。TED側は「組織の基準に合わない」として削除理由を示し、これをめぐって表現の自由や科学的基準に関する議論が起きました。

主な著作

  • A New Science of Life(1981)— モルフィックレゾナンス理論の提唱。
  • The Presence of the Past(1988)— モルフィックレゾナンスの発展的議論。
  • Seven Experiments That Could Change the World(1994)— 彼が提案する実験の紹介。
  • The Sense of Being Stared At, and Other Aspects of the Extended Mind(2003)— 意識や拡張された心の現象の検討。
  • The Science Delusion / Science Set Free(2012–2013)— 現代科学の前提に対する批判と代替案の提示。

評価のまとめ

シェルドレイクの仕事は、学術的主流からは批判されることが多い一方で、科学の哲学的・文化的側面を問い直す刺激的な議論を提供してきました。支持者は新しい視点や実験的なアイデアを評価し、批判者は方法論的厳密さや再現性の欠如を問題視しています。彼の理論が今後どのように検証され、受容されるかは継続的な実験と議論に委ねられています。

私生活

シェルドレイクは英国国教会の信徒であり、ジル・パースと結婚しています。科学界と一般社会の接点に位置する論客として、執筆と講演活動を続けています。



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