バート・D・エルマン — 新約聖書学者・本文批判と初期キリスト教研究の権威

バート・D・エルマン:新約聖書学の権威。本文批判、歴史的イエス、初期キリスト教研究の第一人者でベストセラー著者、UNC教授としての業績と洞察を紹介。

著者: Leandro Alegsa

バート・デントン・エーマン(1955年10月5日生まれ)は、アメリカの著名な新約聖書学者で、新約聖書の本文批判、歴史的イエス研究、および初期キリスト教の起源・発展を専門としている。大学の教科書3冊を含む30冊以上の著作を執筆・編集しており、一般向けの書籍も多数発表している。学術的業績と一般向け著作の双方が評価され、計6作品がニューヨーク・タイムズ紙のベストセラーに選ばれた。現在はノースカロライナ大学チャペルヒル校でジェームズ・A・グレイ特別教授(宗教学)を務め、研究・教育・公開講演を通じて広く発信している。

経歴と研究領域

エルマンは福音派の背景で育ち、聖書学を学んだ後、学術的な本文批判と歴史的研究の道を進んだ。古代ギリシャ語原典資料、写本の系譜、初期教父の引用、そして文献学的手法を用いて本文の伝承過程を分析することに長けている。研究テーマは大きく分けて、(1)新約写本の伝写過程と書き換え・改変の性格、(2)初期キリスト教内の多様な教派(失われた福音や異端思想を含む)の実態、(3)歴史的イエス像の再構成、の三点に集中している。

方法論と主要な貢献

エルマンの本文批判では、写本のテクスト比較を通じて誤写(誤記)、意図的改変(神学的・神格化のための改変)、そして編集の痕跡を区別することを重視する。彼は多数の写本断片と古代翻訳(ラテン語、コープト語、シリア語など)、初期教父の引用を総合的に検討することで、今日我々が手にする新約聖書本文がどのように形成され、変容してきたかを示した。特に、写本誤りの頻度とその影響、そして教義的対立が本文の改変に与えた影響に関する分析は学界・一般読者双方に大きな影響を与えた。

一般向けの影響と批評

エルマンは学術書に加え、一般読者向けの著作や講演を通して、本文批判や初期キリスト教史の知見を広く普及させた。代表作のいくつかはベストセラーになり、聖書の成立やその解釈に関する社会的議論を活発化させた。一方で、彼の著作は平易で刺激的な書き方をするため、保守的な神学者や一部の専門家からは「議論を過度に単純化している」「結論の仕方に論争の余地がある」といった批判も受けている。学術界では、彼の実証的データや写本に関する貢献は広く評価されつつ、解釈面では多様な意見が存在する。

主な著作(抜粋)

  • The Orthodox Corruption of Scripture(1993) — 初期の論争が写本に与えた影響を論じた学術的研究
  • Lost Christianities(2003) — 初期キリスト教の多様性を紹介する一般向け読み物
  • Misquoting Jesus(2005) — 新約写本の変転とその意義を平易に解説したベストセラー
  • God's Problem(2008) — 聖書における「悪と苦しみ」の問題を探る一般向け著作
  • Jesus, Interrupted(2009) — 聖書テキストの矛盾や歴史的問題点を論じた著作
  • Forged(2011) — 偽作と帰される文書の問題を扱った一般向け書
  • How Jesus Became God(2014) — イエスの神格化の過程を歴史的に検討した著作

教育・公開活動

大学での講義のほか、公開講演、テレビ・ラジオ番組、ポッドキャストや書籍を通じて幅広い聴衆に向けて研究成果を発信している。自身の研究と教育を通じて、本文批判や初期キリスト教研究が宗教一般や文化理解にとっていかに重要かを示している。

エルマンの仕事は、新約聖書のテキストが単一的・不変的なものではなく、歴史的過程の中で形成・変容してきたことを明らかにし、学術的議論と一般の理解の双方に重要な示唆を与えている。

バイオグラフィー

1978年、イリノイ州のウィートンカレッジを卒業、学士号を取得。プリンストン神学校で博士号(1985年)と修士号を取得し、ブルース・メッツガーのもとで聖書の本文批判、新約聖書正典の発展、新約聖書のアポクリファを研究した。学士号、博士号ともに優秀な成績で授与された

ラトガース大学で4年間教鞭をとった後、1988年からノースカロライナ大学チャペルヒル校で教鞭をとっている。ノースカロライナ大学では、大学院のディレクターと宗教学部の学部長を務めている。現在は、New Testament Tools, Studies, and Documents (E. J. Brill) の共同編集者、Vigiliae Christianae誌の共同編集長、その他いくつかの雑誌、モノグラフの編集委員を務めている。また、Journal of Biblical Literature誌の書評編集者、モノグラフシリーズThe New Testament in the Greek Fathers (Scholars Press)の編集者も務めている。

2006年には、著書『Misquoting Jesus』のプロモーションのため、The Colbert ReportとThe Daily Showに出演し、2009年には『Jesus, Interrupted』のリリースに伴い、The Colbert Reportに再登場している。エールマンは、ヒストリーチャンネル、ナショナルジオグラフィックチャンネル、ディスカバリーチャンネル、A&E、Dateline NBC、CNN、NPRのFresh Airに出演し、その著作はタイム、ニューズウィーク、ニューヨークタイムズ、ニューヨーカー、ワシントンポストで紹介されている。



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