カセグレン式望遠鏡とは:構造・原理・利点をわかりやすく解説

カセグレン式望遠鏡の構造・原理・利点を図解と実例でやさしく解説。初心者から天文ファン、研究用途まで選び方と注意点が一目で分かる。

著者: Leandro Alegsa

カセグレン式望遠鏡の概要

カセグレン式望遠鏡は、主鏡(大きな凹面鏡)と副鏡(小さな凸面鏡)の2枚の曲面鏡を組み合わせて像を結ぶ反射式望遠鏡です。主鏡が集めた光を副鏡で反射させ、主鏡中央にあけた開口(穴)を通して筒尾側に像を作ります。この「光路を折りたたむ」構造により、望遠鏡本体を短くコンパクトにできることが特徴です。

基本的な構造と動作原理

構造の要点は次の通りです。

  • 主鏡:通常は凹面(放物面や球面、楕円面など)で、入射した平行光を集束させます。
  • 副鏡:主鏡で集められた光の前で配置され、集束光を主鏡裏側の開口に向けて反射します。副鏡は凸面が多く、形状によって補正効果が変わります。
  • 主鏡の中央開口:副鏡で反射された光はここを通って焦点面へ到達します。筒尾側に接眼部やカメラを取り付けます。

この配置により、実効焦点距離は主鏡の焦点距離に副鏡による拡大係数がかかった値になり、見かけ上は非常に長い焦点距離を得られますが、物理的な筒長は短く済みます。

「真のカセグレン」とその製作の難しさ

伝統的に「真のカセグレン(classical Cassegrain)」は、主鏡が放物面、そして副鏡が双曲線(ハイパーボラ)という組み合わせを指します。こうした非球面(特に双曲面)は光学的に良好な像を与えますが、研削・研磨や検査が難しく、高度な製作技術を要求します。

一方、球面曲面は製作が簡単でコストも抑えられますが、球面収差や像のぼやけが問題になります。これを補うためにレンズを組み合わせた設計(カタディオプトリック)が発展しました。代表的なものに シュミット・カセグレン(Schmidt-Cassegrain)マクストフ・カセグレン(Maksutov-Cassegrain) があり、前面に補正板(またはメニスカスレンズ)を置くことで球面鏡の収差を補正します。

代表的なバリエーション

  • クラシック(古典)カセグレン:主鏡放物面+副鏡双曲面。高性能だが製作が難しい。
  • リッチー=クレチアン(Ritchey–Chrétien, RC):主鏡・副鏡とも双曲面。広い良像視野とコマの除去に優れ、研究用大望遠鏡で多く採用される(ハッブル宇宙望遠鏡はRC型)。
  • ダル=カークハム(Dall–Kirkham):主鏡が楕円面、副鏡が球面。製作が比較的容易で軸上性能が良いが、周辺像にコマが残る。
  • シュミット=カセグレン(SCT):前面にシュミット補正板、鏡は球面。コンパクトで広く普及、アマチュア向けの定番。
  • マクストフ=カセグレン:メニスカス型補正板と球面鏡。高コントラストで惑星観望に向く。

利点

  • 短い筒長で長い実効焦点距離を得られるため、持ち運びや設置がしやすい。
  • 装置取り付け空間(バックフォーカス)が確保しやすいので、カメラや分光器などを併用しやすい。
  • 遮蔽を除けば開口比を稼げる(大きな主鏡を効率的に使える)。
  • カタディオプトリック設計だと、球面鏡の製作性の良さと良好な像を両立できる。
  • 形状のバリエーションが豊富で、惑星観測、二重星観測、天体撮影、研究用途など目的に合わせて選べる。

欠点と注意点

  • 中央遮蔽(副鏡による開口の遮り)があるため、コントラストが低下し微細構造の見え方に影響が出る。特に暗い拡散した対象では差が出やすい。
  • 副鏡支持(スパイダー)や主鏡の中心開口により、回折による光条や回折パターンが現れることがある。
  • 設計によっては視野周辺の像質(コマ、像面湾曲、非点収差など)が問題になる場合がある。広視野撮影には補正光学や専用設計が必要。
  • 非球面鏡の製作は高価で、特に双曲面を用いる高性能機は価格が上がる。
  • コリメーション(光軸調整)が必要。副鏡や主鏡の微調整が甘いと像が劣化する。

天文観測や撮影での用途

カセグレン系は実効焦点距離が長く取りやすいので、惑星や月の拡大観望・高分解能撮影、スペクトログラフィー、二重星観測などに向きます。逆に、広くて明るい星雲や天の川の大領域撮影には、より広視野の屈折望遠鏡やリフレクタ(ニュートン)+ワイドフィールド補正光学が適する場合があります。

選び方のポイント(アマチュア向け)

  • 用途を明確にする:惑星観望/撮影が主なら長焦点のカセグレン系、広視野撮影が主なら短焦点や補正付きを検討。
  • サイズと携行性:カセグレン系は同口径のニュートンより筒が短く扱いやすい。
  • 補正やアクセサリ:フォーカルレデューサー、フィルター、オートガイダー用のバックフォーカスを確認。
  • 予算とメンテナンス:高級非球面鏡は高価。コリメーションの容易さや鏡筒の遮蔽(鏡筒内の散乱光対策)も確認。

設置・運用・メンテナンスの注意点

  • 冷却時間の確保:鏡筒と鏡が周囲の温度に慣れるまでに時間がかかるため、観測前に十分な放置が必要です。
  • コリメーション:副鏡と主鏡の光軸合わせは定期的に点検。わずかなズレでも像質に影響します。
  • 防露対策:特に補正板や開口部に結露が生じやすいので、ヒーターやドライエア対策が有効です。
  • 清掃は最小限に:鏡面や補正板の清掃は慎重に。専門家に相談するのが安全です。

まとめ

カセグレン式望遠鏡は、短い筒長で長い実効焦点距離を得られる「折りたたみ型」の反射望遠鏡です。コンパクトさと高い焦点距離効率が利点で、惑星観測や高倍率観測、装置を取り付けた高度な撮影や分光などに適しています。一方で中央遮蔽によるコントラスト低下や周辺像の補正、非球面製作の難易度などの注意点もあります。用途・予算・取り扱いやすさを考えて機種を選ぶことが重要です。

カセグレン式望遠鏡の種類

カセグレンに似た望遠鏡はたくさん発明されています。ここではそのいくつかを紹介します。

  • シュミットカセグレン(SCT)。主鏡は球面カーブを描いている。これを前面の薄い補正レンズで補正する。
  • マクソトフ・カセグレン(Mak)。主鏡、副鏡ともに球面カーブを持っています。今回は特殊な「メニスカス」型レンズで補正しています。副鏡はメニスカスレンズの上に光点があるだけということもあります。レンズもミラーもすべて球面カーブを描いているため、SCTより安く作ることができる。
  • リッチー・クレティアン(RCT)。どちらのミラーも双曲線になっています。そのため、視界の端でも星が鋭角に見える。ハッブル宇宙望遠鏡をはじめ、科学者が作る大型望遠鏡はほとんどがRCTです。
  • ダル・カークハム(DK)。主鏡はパラボラ状のカーブ。副鏡は球面状のカーブ。RCTより作りやすいが、端の星がぼやけてしまう。このボケた星を修正するために、望遠鏡の後方にレンズを付けることができる。それが補正ダール・カーカム(CDK)であろう
  • シーフスピグラー(チーフ)。副鏡が主鏡の前に出ないように、鏡が傾いています。また、主鏡の裏側には穴が開いていません。そのため、明るい画像が得られますが、鏡が傾いていることによる歪みもあります。


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