概要

『ジキル博士とシスター・ハイド』は、1971年の英国SFホラー映画で、ハマー・フィルム・プロダクションズが製作し、ロイ・ウォード・ベイカーが監督した。ロバート・ルイス・スティーヴンソンの1886年の中編小説『ジキル博士とハイド氏の奇妙な事件』を下敷きにしているが、よく知られた二面性を、怪物的なもう一つの自己を女性の人格であるシスター・ハイドへと変える形で再解釈している。ゴシック調の雰囲気、時代考証の細部、そしてハマーが後期に探求した、より露骨な感覚が組み合わされた作品である。

筋書きと主題

物語は、生命を延ばし病を治すことを目的とした薬を追い求める科学者を描く。だが彼は、その血清が別個の女性人格を生み出すことを発見する。こうして、抑圧された欲望と体面ある公的生活の分裂という古典的な主題は、性別、アイデンティティ、欲望をめぐる問いによって複雑化される。霧の立ちこめる街路、影に沈む室内、道徳的な曖昧さを強調した、ヴィクトリア朝ゴシックのムードが印象的である。

キャストと製作

ラルフ・ベイツが苦悩する医師を演じ、マルティーヌ・ベズウィックが表題のシスター・ハイドを演じる。助演にはジェラルド・シムやルイス・フィアンダーなどが名を連ねる。作品は、様式化されたホラーと文学作品の映画化で長く知られるスタジオ、ハマーによって撮影・宣伝された。ジャンル映画に通じたベテラン監督ロイ・ウォード・ベイカーは、現代的な特殊効果よりも、雰囲気と時代劇的なミザンセーヌを重視している。

原作小説との違い

  • 映画は分裂した自己という核心的な発想は保ちながら、もう一人の自我を女性にすることで道徳的・心理的な焦点を変えている。その結果、19世紀の原作には明示されない、性的指向や社会的役割をめぐる問いが生まれる。
  • 物語上の装置や登場人物は、映画としてのテンポとハマー流の作風に合わせて圧縮されたり創作されたりしており、厳密な翻案作品の多くとは異なる独自の物語になっている。

受容と遺産

公開当時の評価は、演技と刺激的な再解釈を好意的に見るものから、より原作に忠実な翻案を望む声まで分かれた。その後は、ハマー作品の愛好家や、ジェンダーとホラーの関係に関心を持つ研究者たちによって、スティーヴンソンの物語を特徴づける独自の解釈として再評価されている。とりわけ、印象的な主演演技と、社会的不安を探るためにホラーという枠組みを積極的に用いている点がしばしば指摘される。

特記事項

この作品は、古典的ホラー素材がいかにして新しい主題の切り口へと作り替えられるかを論じる際に、広く引用される。ジキルとハイドものの長い映像化史、そして映画が変身や他者性をどのように表現するかという議論にも直接つながっている。原作者についてはロバート・ルイス・スティーヴンソン、助演俳優の一人についてはルイス・フィアンダーを参照。