チャームクォーク(cクォーク)とは?性質・電荷・発見とJ/ψ・D中間子

チャームクォーク(cクォーク)は、6つのクォークの中で上から数えて3番目に重い(第2世代の「アップ型」)クォークです。電荷はアップ・クォークと同じく+2/3の電荷を持ち、フェルミオンに属するため、そのスピンは1/2です。質量はエネルギー換算でおおよそ1.27 GeV/c²(短絡的な値で表現)とされ、強い相互作用(色荷)を持つため単独で自由に存在することはできず、必ず他のクォークと結びついてハドロン(中間子やバリオン)を形成します。

主な性質

  • 電荷:+2/3 e(素電荷単位)
  • スピン:1/2(フェルミオン)
  • 世代:第2世代のアップ型クォーク
  • 質量の目安:約1.27 GeV/c²(符号付きの誤差や測定方法による差がある)
  • 相互作用:強い相互作用により「色」を持ち、グルーオンを介して他のクォークと結合する

チャームを含む代表的なハドロン(中間子)

チャームクォークは様々なハドロンを作ります。代表例として:

  • チャーモニウム(charmonium):チャームと反チャームが結合した系(c c̄)。最も有名なのがJ/ψ中間子で、質量は約3.097 GeV/c²、幅が非常に狭い(寿命が比較的長い)のが特徴です。
  • D中間子:チャームと軽い反クォーク(ū, d̄)からなる中間子。例としてD0(cū)やD+(c d̄)があり、質量は約1.86 GeV/c²、寿命は10^−13〜10^−12秒程度です。

生成と崩壊

チャームクォークは高エネルギーの衝突で生成されます。実験的には粒子加速器での衝突や宇宙線などで作られ、特に電子・陽電子衝突や陽子・陽子衝突で明瞭に観測されます。ここでの「原子を超高速で衝突させる装置」という説明は、加速器でビーム同士をぶつけて高いエネルギー密度を作り出すことを指します。

チャームクォークを含むハドロンは主に弱い相互作用により崩壊します(例:c → s + W+ → 最終的にカイオンやパイオンなど)。崩壊過程の時間スケールが短くないため、検出器では中間子の崩壊点が一次反応点から離れて観測される(displaced vertex)ことが多く、これがチャームの識別に用いられます。

発見と「11月革命」

1974年に、チャームを含む新しい中間子が独立に二つの研究グループによって観測されました。一方は Brookhaven の Samuel C. C. Ting(名称は "J")、もう一方は SLAC の Burton Richter(名称は "ψ")による観測で、同じ新粒子(現在の J/ψ)を示していました。この出来事は素粒子物理学における重要な転換点となり、「11月革命」と呼ばれています。J/ψ の発見はチャームクォーク存在の確証となり、標準模型の発展やクォークモデルの広範な受け入れを促しました。

物理学における役割と応用

チャームクォークとチャームハドロンは、量子色力学(QCD)の検証やハドロン構造の研究、味(フレーバー)物理学の実験に重要です。チャーム生成は重イオン衝突でのクォーク・グルーオンプラズマの性質を調べるプローブとしても使われます。また、D中間子系での混合やCP対称性の破れは標準模型の精密検査につながります。

要点まとめ

  • チャームクォークは第2世代のアップ型クォークで、電荷は+2/3。
  • 単独では観測されず、J/ψなどのチャーモニウムやD中間子などのハドロンとして存在する。
  • 1974年のJ/ψ発見(「11月革命」)はチャームの存在を確立し、素粒子物理学の発展に大きく貢献した。
  • 実験では加速器を用いた高エネルギー衝突で生成され、崩壊の特徴(寿命・離れた崩壊点)を手がかりに研究される。

質問と回答

Q:チャームクォークとは何ですか?


A: チャームクォークは、素粒子と考えられている6種類のクォークのうちの1つで、分割することができないものです。電荷は+2/3、スピンは1/2です。

Q: チャームクォークの質量はどのくらいですか?


A: チャームクォークは、6種類のクォークの中で3番目に質量が大きいです。

Q: チャームクォークはどこで見つけることができますか?


A: J/ψ中間子やD中間子など、粒子加速器で作られたチャーミングな粒子の中に含まれていることがあります。

Q: チャームクォークは自然界に普通に存在するのですか?


A: チャームクォークは極端に多いわけではありません。

Q:チャームクォークとJ/ψ中間子の発見の意義は何ですか?


A: チャームクォークとJ/ψ中間子の発見により、11月革命と呼ばれる一連の科学的ブレークスルーが急速に進みました。

Q: チャームクォークの電荷は何ですか?


A: チャームクォークの電荷は+2/3で、アップクォークと同じです。

Q: チャームクォークとはどのような粒子ですか?


A: チャームクォークはフェルミオンであり、その粒子が同じ場所に同時に複数存在することができない粒子です。

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