サポジラ(チコ)とは|原産地・特徴・食用果実とチクルの用途

フィリピンのチコ(/ˈtʃikəʊ/)とも呼ばれているサポジラ(/ˌsæpəˈdɪlə/)は、南北アメリカの熱帯地域に自生している大きな常緑樹です。食べられる果実を実らせます。樹皮から生成されるチクルは、チューインガムに使われる物質です。

学名と原産地

学名:Manilkara zapota(サポジラ属、英名:sapodilla / chico / naseberry)。
原産地:メキシコ南部、中央アメリカ、カリブ海地域および南アメリカ北部が原産とされ、16〜19世紀ごろから世界の熱帯地域に導入されました。フィリピン、インド、スリランカ、東南アジア、中南米の各地で広く栽培されています。

樹木の特徴

  • 常緑の大型樹木で、成木は高さ10〜30mに達するものもあります。樹冠は濃い緑色で密。
  • 葉は厚く光沢があり、倒卵形から楕円形。若い枝や葉にはやや光沢のある白い樹液(乳液)が出ます。
  • 花は小さく白色〜黄白色で、葉の間に穂状または短い集散花序をつけます。
  • 果実は楕円形〜ほぼ球形で直径4〜8cmが一般的。外皮はざらついた茶色〜黄褐色、果肉は茶色がかった黄色で甘く柔らかい食感。

果実の特徴と食べ方

  • 風味:味は甘く、梨や蜂蜜、カラメルを思わせる香りとコクがあります。熟すととろけるような食感になります。
  • 見分け方:果実が熟すと指で軽く押して少し柔らかくなり、茎元あたりがわずかにしわを寄せることがあります。熟した香りが強くなります。
  • 食べ方:生食が一般的。スプーンで半分に切って種を取り除きそのまま食べます。ジュース、シェイク、アイスクリーム、デザート、ジャムやコンポートにも使われます。
  • 種子:果実中央に黒くて光沢のある種が数個あり、一般に食べられません。種子は苦味や薬効成分を含むとされるため、生食は避けるのが安全です。

栄養と健康

  • サポジラの果肉は糖質(果糖・グルコース)を多く含むためエネルギー源になります。
  • 食物繊維が豊富で消化を助ける効果があるとされます。
  • ビタミン(特にビタミンA前駆体やビタミンC)やカリウム、鉄、カルシウムなどのミネラルを含みます。
  • ただし糖分が高めのため、糖尿病などで糖質管理が必要な人は量に注意してください。

チクル(樹皮の乳液)と歴史的用途

チクルはサポジラの樹皮からとれる天然の樹脂性の乳液(ラテックス)を乾燥させたもので、かつてはチューインガムや噛みタバコの基材として重要でした。19世紀〜20世紀初頭にかけて、天然チクルはガム産業で広く利用されましたが、化学合成されたゴムや合成樹脂の登場により商用利用は減少しました。

現在でも伝統的・クラフト用途や天然素材志向の製品で注目されることがあります。また、樹皮や葉は民間療法で下痢止めや収斂剤として用いられる地域もありますが、医療用途については科学的な根拠が限定的なため、使用には注意が必要です。

栽培と管理のポイント

  • 気候:熱帯〜亜熱帯を好み、寒さや霜には弱い。年間を通して高温多湿な環境が適する。
  • 土壌:水はけの良い深い土壌を好む。排水不良だと根腐れを起こす可能性がある。
  • 繁殖:種まきで比較的容易に増やせますが、実の品質を安定させるには接ぎ木や株分けなどの栽培品種を利用することが一般的です。結実までに数年(一般に4〜8年)かかります。
  • 剪定:風通しと採光を良くするための剪定が有効。過繁茂は病害虫の誘因になります。
  • 病害虫:スケール、シロアリ、果実を食害するコクゾウムシや害虫、葉の病気(葉斑、炭疽病など)が問題になることがあります。適切な管理と早期対応が重要です。

収穫・流通と保存

  • 収穫は生滅果(木で完熟させる)あるいは半熟での収穫後に追熟させる方法がありますが、基本的に熟してから食べるのが美味しいです。
  • 果皮は皮膚がやや傷つきやすく、輸送耐性はあまり高くないため、流通時は衝撃や低温障害に注意が必要です。
  • 保存は冷暗所あるいは冷蔵(短期間)で、長期保存には不向き。加工(ジャム、ピューレ、冷凍)することで保存性を高められます。

品種と地域差

世界各地で地元の品種や栽培系統が存在し、果実の大きさ、果肉の色や甘さ、果肉の繊維質の量などに差があります。フィリピンでは「チコ(chico)」の名で親しまれ、食味の良い地方品種が多く栽培されています。商業栽培では優良な食味と収量を両立する品種選抜が行われています。

注意点と安全性

  • 果肉は食用ですが、種子や未熟果、樹の乳液(生木を切ったときに出る白い樹液)は刺激性があり、直接摂取するのは避けたほうが良い場合があります。
  • 樹液はラテックスに類似しているため、ラテックスアレルギーのある人は接触や摂取に注意してください。

経済的・文化的意義

かつてはチクルの採取が現地経済にとって重要な収入源となり、チューインガム産業とも結びついていました。今日でもサポジラは果樹として地域の食文化に根づいており、地元市場での生食や加工品として流通しています。また、庭木や街路樹、陰樹としての利用も見られます。

このように、サポジラ(チコ)は熱帯地域で古くから親しまれている果樹であり、食用としての価値だけでなく、かつてのチクル産業や民間療法、地域文化とも深く結びついています。

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質問と回答

Q:サポジラとは何ですか?


A:サポジラは北アメリカ、南アメリカ、東南アジアの熱帯地域に自生する常緑の大木です。

Q:フィリピンではどのように知られているのですか?


A:フィリピンでは、サポジラはチコと呼ばれています。

Q:サポジラには何ができるのですか?


A:サポジラには果実があり、食べることができます。また、樹皮からはチューインガムに使われるチクルを出します。

Q:チコにはどんな栄養素があるのですか?


A:鉄分、カルシウム、カリウム、リンなどが含まれています。

Q:サポジラはどこで育つのですか?


A: サポジラは北アメリカ、南アメリカ、東南アジアの熱帯地方で生育しています。

Q:サポジラは食用ですか?


A:はい、食べることができます。

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