ヴェルサイユ宮殿『時計キャビネット』完全ガイド — 天文時計の歴史と見どころ
ヴェルサイユ宮殿の『時計キャビネット』徹底ガイド:パッセマン設計の天文時計の歴史・仕組み・見どころを写真とともに分かりやすく解説。
時計のキャビネット(Cabinet de la Pendule)は、ヴェルサイユ宮殿の王の私的空間にある代表的な一室で、中央に18世紀の名高い天文時計が据えられています。ルイ15世は天文学に大きな関心を持ち、王の科学的好奇心を反映してこの複雑かつ精巧な装置が導入されました。時計は単なる時刻表示にとどまらず、天体の運行や暦に関する情報を視覚化する芸術品でもあります。
時計の特徴と機能
この天文時計は、時刻・曜日・月・年に加え、月の満ち欠け(四分の位を含む)など、暦や天象に関する多様な情報を表示します。上部に配された水晶の地球儀では、コペルニクスによると、太陽の周りを回る惑星の模型が再現され、当時の最新の天文学的理解(地動説)を表現しています。装置全体の高さは約2メートル以上に達し、複数の歯車や表示機構が組み合わさった精巧な構造です。
制作者と装飾
- 設計: 国王の技師であったクロード=シモン・パッセマン(Claude‑Siméon Passemant)による設計。
- 機構製作: 時計職人ルイ・ドーティアウ(Louis Dauthiau)による製作。
- 外装: ブロンズのケースはジャックとフィリップ2世・カフィエリ(Jacques & Philippe‑II Caffieri)兄弟の工房が担当し、彫刻や装飾が施されています。
この組合せにより、機械技術と彫刻美術が高い水準で融合した作品となっています。
歴史的経緯と役割
この時計は1749年8月にフランス学術アカデミーによって審査・承認され、1750年9月7日にショーヌ公爵がルイ15世に贈呈しました。1754年には現在の「時計のキャビネット」に納められ、王室の私的空間で用いられました。王国全体の標準時刻や暦を決める参照として利用されたことから、当時の国家と科学の結びつきを象徴する重要な器具でもありました。
部屋の変遷と内装
この部屋はもともと1692年に控えの間として使用され、ルイ14世の芸術内閣の一部を成していました。1738年に楕円形の応接室へと改装され、1760年に現在に近い形に整えられました。室内の羽目板(パネル)はヴェルベルクとルソーによるもので、壁面や天井の装飾には当時の格式と美的趣向が反映されています。
屋外(おそらく近接する建築要素や庭園の関連箇所)には、ブシェール(Boucher)が描いたダイアナの物語の複製が見られます。室内家具には、ルイ15世がスロッツ、フォリオ、ルーミエに注文した狩猟用のテーブルが含まれ、さらにセーヴルのビスク製の馬術師像(フレデリック2世像)や、ルイ15世を描いた小さな馬術像(ブシャールドン像の複製、ヴァッセ制作)などが配されています。
保存・展示と見どころ
現在、この天文時計はヴェルサイユ宮殿の公開エリアで見学可能で、王の私室群を巡る際の重要な見どころとなっています。以下は観覧時のポイントです:
- 機構の観察: 歯車や文字盤の細部、月と惑星を示す表示をじっくり見ると、18世紀の精密工学と天文学への関心が伝わります。
- 装飾との一体感: ブロンズ装飾や室内の羽目板、家具との調和を確認すると、時計が単独の機械というより部屋全体の表現であることが分かります。
- 歴史的文脈: ルイ15世の科学的関心や宮廷の文化的気風を踏まえて見ると、時計の設置が単なる贅飾でなく王室の知的ステータスを示す行為であったことが理解できます。
補足情報
この時計は制作以来、時折修復や整備が行われています。見学の際は展示解説や音声ガイド、専門の展示解説資料を参照すると、機構の詳細や設計意図についてより深く理解できます。なお、見学条件(撮影可否・立入制限など)は宮殿側の規定に従うため、訪問前に公式情報を確認することをおすすめします。
時計キャビネット
ギャラリー
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天文時計 by Passemant
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天文時計 by Passemant
質問と回答
Q:「クロック・キャビネット」とは何ですか?
A: 時計台はヴェルサイユ宮殿の一室で、ルイ14世の美術工芸品の一部でした。クロード=シメオン・パッセマンが設計し、ルイ・ドーティオが製作した天文時計と、ジャックとフィリップ2世カフィエリによるブロンズ製の筐体が収められています。
Q: 天文時計は何を示しているのですか?
A: 天文時計は、時刻、曜日、月、年、月の満ち欠けを表示します。また、上部にはクリスタル製の地球儀があり、コペルニクスの理論に従って、太陽の周りを動く惑星が表示されています。
Q: この時計はいつ承認されたのですか?
A: 1749年8月、科学アカデミーがこの時計を審査し、承認しました。
Q: 誰がルイ15世にこの時計を贈ったのですか?
A: ショーヌ公爵が1750年9月7日にルイ15世に贈呈しました。
Q: この部屋の名前の由来は?
A: この部屋の名前の由来は、羽目板にある大きな天文時計の文字盤が、毎日、日の出と月の出を表示していたためです。
Q:楕円形の応接室に改装されたのはいつですか?
A: 1738年に楕円形の居間に改造されました。
Q: この部屋の家具は誰が作ったのですか?
A: この部屋の家具は、ルイ15世がスロッツ、フォリオ、ルーミエに注文したものです。
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