圧縮とは?意味・種類(データ/音声/画像/機械)と仕組みを解説

圧縮の意味もある。

圧縮とは何か

「圧縮(あっしゅく)」は、対象のサイズや体積、情報量を小さくすることを指す広い概念です。文脈によって意味が変わり、主に以下の三つの領域で使われます。

  • デジタルデータやファイルのサイズを小さくする「データ圧縮(情報圧縮)」
  • 音声や音楽で不要な情報を取り除いて容量を減らす「音声圧縮」
  • 画像や映像の画素情報を削減する「画像圧縮」
  • 物理的な物体・気体を押し縮める「機械的/物理的圧縮」

圧縮の基本原理

圧縮の基本は、冗長性(繰り返しや不要な情報)の除去と、必要に応じて人間にとって知覚しにくい情報の削減です。情報理論の観点では「エントロピー」を下げることが重要で、これにより同じ情報をより少ないビットで表現できます。

  • 可逆圧縮(lossless):元に戻せる(例:ZIP、PNG、FLAC)
  • 非可逆圧縮(lossy):一度失われた情報は元に完全復元できないが、より高い圧縮率を得られる(例:JPEG、MP3、AAC)

データ圧縮(ファイル・テキスト・一般データ)の仕組みと代表例

データ圧縮は、繰り返しパターンや出現頻度の偏りを利用して短いコードに置き換える手法が中心です。

  • ランレングス圧縮(RLE):同じデータが連続する場合にまとめる(例:単純な画像データで有効)
  • 辞書式圧縮(LZ系):過去に出現したパターンを参照して短く表現する(例:ZIP、gzip、LZ77/LZ78、LZW)
  • 統計的符号化:出現確率に応じて短いコードを割り当てる(例:ハフマン符号、算術符号化)

代表的な形式:ZIP、gzip、7z、tar.gz。用途はバックアップや転送、アーカイブなど。

音声圧縮の特徴と代表的方式

音声圧縮では、人間の聴覚特性(マスキング効果など)を利用して、聞こえにくい成分を捨てることで高い圧縮率を実現することが多いです。

  • 可逆音声圧縮:FLACやALACなど。音質を完全に保ちながら容量を下げる
  • 非可逆音声圧縮:MP3、AAC、OGGなど。心理音響モデルに基づき不要成分を除去して高圧縮

主要な技術:フレーム分割、周波数変換(FFTやMDCT)、量子化、符号化。用途に応じてビットレート(音質と容量のトレードオフ)を選ぶ。

画像・映像圧縮の仕組みと代表例

画像圧縮では空間的・色成分の冗長性や、人間の視覚の感度差を利用します。映像ではさらに時間方向(フレーム間)の冗長性を利用します。

  • 可逆画像圧縮:PNG(可逆のフィルタ+圧縮)
  • 非可逆画像圧縮:JPEG(離散コサイン変換→量子化→符号化)
  • 映像圧縮:MPEG、H.264/AVC、H.265/HEVC、AV1 など。フレーム間予測、動き補償、ブロック変換などを組み合わせる

非可逆圧縮では圧縮率が高くなるほどブロックノイズやリング状のアーティファクトが出る可能性があるため、用途(写真保存、Web配信、放送)に応じて方式と品質を選ぶ必要があります。

機械的・物理的な圧縮(圧縮力・圧縮率)の説明

物理的・機械的な圧縮は、物体や流体に力を加えて体積を小さくすることを指します。材料工学・構造力学では「圧縮応力」「圧縮強度」「弾性変形」「塑性変形」が重要な概念です。

  • 例:スプリングを押し縮める、ガスをピストンで圧縮する、金属やコンクリートに圧縮荷重をかける
  • 特性:材料ごとに圧縮強度やヤング率が異なり、破壊や座屈(細長い部材が横方向に曲がる現象)に注意
  • 圧縮比(例:エンジン)や圧縮率は効率や挙動に直接影響する

圧縮率・評価指標とトレードオフ

  • 圧縮率:元のサイズに対する圧縮後の割合(例:1/10、10%)。高い圧縮率は容量削減に有効だが、非可逆なら品質低下が伴う。
  • 計算コスト:圧縮・解凍にかかる時間や消費メモリ。高圧縮ほど計算負荷が増えることが多い。
  • 遅延(レイテンシ):リアルタイム性が必要な用途(音声通話・ストリーミング)では低遅延が重要。
  • 互換性:フォーマット・コーデックの対応状況。広くサポートされているかどうかで選択が変わる。

よく使われる圧縮フォーマットと用途例

  • ZIP/gzip/tar.gz:一般的なファイル圧縮・アーカイブ
  • PNG:可逆の画像保存(ロゴや図表)
  • JPEG:写真の非可逆圧縮(Web、カメラ)
  • MP3/AAC/OGG:音声配信・音楽(帯域節約)
  • FLAC/ALAC:音質を保ちつつ容量を減らす(音楽アーカイブ)
  • H.264/H.265/AV1:映像配信や録画(高効率圧縮)

実用的なアドバイス

  • アーカイブ目的なら可逆(ZIPやFLAC)を優先して元データを保管する
  • 配信やストリーミングでは非可逆によるビットレート削減と遅延のバランスを考慮する
  • 画像や音声の品質が重要なら、圧縮率を下げて品質優先にする(低圧縮=高品質)
  • 機械・材料の圧縮を扱う場合は、安全率や破壊モード(座屈・圧壊)を必ず考慮する

まとめ

「圧縮」は情報・データのサイズを減らす技術だけでなく、物理的な体積・材料の変形を指す場合もあります。用途ごとに可逆/非可逆、アルゴリズム、圧縮率、遅延、計算コストといったトレードオフを理解し、最適な方式を選ぶことが重要です。

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