拷問禁止条約とは 国連採択の1984年国際人権条約とオプション議定書

拷問禁止条約は、1984年12月10日に国連で制定された国際人権法の条約で、あらゆる種類の拷問、残虐な、非人道的な、品位を傷つける刑罰または取り扱いを禁止しています。1987年6月26日に発効した。

条約の正式名称と意義

この条約の正式名称は「拷問及びその他の残虐で、非人道的又は品位を傷つける取扱い若しくは刑罰の防止及び処罰に関する条約」(Convention against Torture and Other Cruel, Inhuman or Degrading Treatment or Punishment、略称:CAT)です。国家は条約を通じて拷問の全面的かつ絶対的な禁止を受け入れ、拷問を予防し処罰するための国内措置を講じる義務を負います。

条約の主な内容(概要)

  • 拷問の全面禁止:拷問はどんな状況(戦時・緊急事態を含む)でも正当化できないと定められています。
  • 義務的措置の導入:締約国は拷問を犯罪化し、責任者の調査・起訴・処罰を行うこと、被害者への救済(補償やリハビリテーション)を確保することが求められます。
  • 非送還(ノン・レフー):外国へ送還・引渡しする際、その相手国で拷問を受けるおそれがあるときには送還を行ってはならない(条約第3条)。
  • 予防措置:拘禁中の人々を保護するため、逮捕・拘留時の適切な手続、弁護人や家族への連絡、独立した医療検査などの保障が重要とされます。

拷問の定義(条約の定義の要点)

条約では「拷問」を、国家の公務員等による故意の行為で、強い肉体的または精神的苦痛・苦悶を与えることを指し、その目的には情報や自白の取得、何らかの懲罰、威嚇、差別などが含まれると定められています。私人間の暴力であっても公的関与があれば条約上の問題となる場合があります。

監視・実施機関

  • 拷問禁止委員会(Committee against Torture, CAT):締約国は定期的に条約の実施状況を報告し、委員会は報告の審査や勧告を通じて履行状況を監督します。
  • 個人通報制度:締約国が選択議定書(個別通報手続の受け入れ)を承認している場合、個人や団体が委員会に個別の被害申立てを行うことができます(条約第22条等)。
  • 調査手続:重大かつ体系的な拷問の疑いがあるとき、委員会は独自に調査することも可能です(条約の関連規定)。

オプション議定書(オプショナル・プロトコル、OPCAT)について

条文に加えて、拷問の予防を強化する目的で設けられた「オプション議定書(OPCAT)」があります。OPCATは国連で採択され、締約国に自国内の拘禁施設について定期的に検査を行う独立した国内機関(National Preventive Mechanisms:NPMs)を設置することを求めます。また、国連の下に設置された常設の予防機関(Subcommittee on Prevention of Torture:SPT)が締約国を訪問・助言し、拘禁環境の改善を支援します。OPCATは予防的・継続的な監視を通じて、拷問の発生を未然に防ぐことを目的としています。

拘禁状況の改善に関する実務的な措置(例)

  • 逮捕・拘留時の迅速な記録化と外部への通報義務(誰が、いつ、どこで拘束したかを明確にする)
  • 弁護人や家族への迅速なアクセス、独立した医師による身柄検査
  • 映像記録や拷問防止のための研修、取調べの可視化(録音・録画)
  • 被害者への補償・医療・心理的支援プログラムの整備

国際的な実効性と課題

条約は強力な国際基準を提供しますが、実効性確保のためには国内法への適切な導入、十分な資源と独立した監視機関の設置、司法と行政の協力、そして透明性が不可欠です。国家によっては実施・監視体制が不十分な場合があり、国際的な助言や圧力、国内外の市民社会の監視が重要です。

参考(条約に基づく主な救済手続き)

  • 国家の立法化と刑事手続の整備(拷問の犯罪化)
  • 被害者の補償とリハビリテーション
  • 独立した調査と責任追及
  • 国際審査(拷問禁止委員会による定期報告審査)と必要な勧告の履行

以上のように、拷問禁止条約は拷問を根絶するための国際的枠組みであり、単に禁止規定を置くだけでなく、予防、監視、救済までを含む包括的な制度を求めています。オプション議定書は特に拘禁環境の予防的監視を強化する仕組みであり、実効的な拷問防止のための重要な補完となっています。

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  • トゥルーレ禁止条約

質問と回答

Q:国連の拷問禁止条約とは何ですか?


A:1984年12月10日に国連によって創設された国際人権法の条約で、あらゆる種類の拷問、残虐な、非人道的な、品位を傷つける刑罰や扱いを禁止しています。

Q:条約はいつ発効したのですか?


A:1987年6月26日に発効しました。

Q: 2022年4月現在、何カ国がこの条約を批准していますか?


A: 2022年4月現在、173カ国が批准しています。

Q: 拷問禁止条約に関連する選択議定書とは何ですか?


A: 任意議定書は、国内または国際的な人権調査機関が、議定書を批准している国の刑務所を調査し、条約で禁止されている拷問や非人道的な扱い、刑罰が行われていないかどうかを調べることを可能にするものです。

Q:2022年4月現在、議定書を批准している国はいくつありますか?


A: 2022年4月現在、91カ国が議定書を批准しています。

Q: 拷問禁止条約の履行は誰が監督していますか?


A:条約は拷問禁止委員会によって監督されています。

Q:拷問禁止条約は何を禁止していますか?


A:拷問禁止条約は、あらゆる種類の拷問、人の尊厳を傷つける残虐な、非人道的な、品位を傷つける刑罰や扱いを禁止しています。

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