はくちょう座OB2(Cygnus OB2)とは|巨大若年OB星団の概要と主な恒星
はくちょう座OB2の成り立ち、主要大質量星(Cyg OB2 #12、NML Cygni等)、隠れた塵雲と総質量推定をわかりやすく解説。
はくちょう座OB2は、はくちょう座にある非常に大きく質量の大きな若い星の集団(OB協会)です。銀河系内でも有数の「巨大若年OB星団(massive OB association)」の一つとされ、多数の高質量星と強い紫外線放射源を含んでいます。
概要と位置
はくちょう座OB2は、より広い星形成領域「白鳥座X」の一部を成しており、周辺の分子雲やHII領域と強く関連しています。白鳥座Xは電波による観測でも明るい領域の一つで、活発な星形成が進行しています。はくちょう座OB2の距離はおおむね約1,400パーセク(約4,600光年)とされますが、視線上の大量の塵や高密度領域のために距離・年齢の推定には不確かさが残ります。
規模・質量・年齢
このOB協会は非常に大きく、O型の高質量星の数は研究によって推定が異なるもののおおむね50〜100個程度と考えられています。総質量の推定も研究によって幅があり、概ね(3–10)×104 太陽質量程度(数万太陽質量)のオーダーと報告されることが多いです。年齢は主星の性質や恒星進化のモデルから数百万年(典型的には1–7百万年程度)と見積もられ、比較的若い星団に分類されます。
観測上の特徴と課題
はくちょう座OB2は「はくちょう座リフト」として知られる大規模な塵の帯(Cygnus Rift)に部分的に覆われているため、可視光での観測は困難です。このため、赤外線、電波、X線など波長の長い観測が重要で、2MASSやSpitzer、Chandraなどの観測で多くのメンバーが同定されました。特にX線観測は高質量星や若い低質量星の同定に有効で、塵に埋もれた未知の多数の星が存在することが明らかになっています。
主な恒星と注目点
- 光度の高い青色変光星 Cyg OB2 #12 — 非常に高光度な青色超巨星/超巨星候補で、LBV(光度変動星)に類する特徴を示す可能性が指摘されています。はくちょう座OB2の代表的な高質量星の一つです。
- NML Cygni — 非常に大きく明るい赤色超巨星(赤色超巨星/ハイパージャイアント)で、位置的にははくちょう座OB2に近接しており関連が議論されますが、メンバーシップは確定していません(距離や動径方向速度の測定による検証が必要)。
- その他、Schulte番号などで呼ばれる多数のO型・B型高質量星群が含まれ、強い紫外線と恒星風により周囲ガスのイオン化や吹き飛ばしが進んでいます。
天文学的意義
はくちょう座OB2は、その大規模さと高質量星の豊富さから、銀河系における高質量星の形成過程や星団の初期進化、恒星風・超新星によるフィードバック効果の研究において重要な観測対象です。塵に隠れた恒星を赤外線やX線で探ることで、初期質量関数(IMF)や星形成効率の評価、周辺分子雲への影響の解明が進められています。
まとめ
はくちょう座OB2は、はくちょう座内の大規模な若年OB協会であり、数万太陽質量の総質量、数十〜百程度のO型高質量星を含む可能性があります。白鳥座Xやはくちょう座リフトと密接に関連し、可視光では塵に隠れて見えにくいものの、赤外線・X線・電波観測によって多くのメンバーが明らかにされつつあります。将来の詳細な測定(例えば高精度な距離測定やスペクトル解析)により、さらなる構造や進化の理解が期待されます。
質問と回答
Q:「はくちょう座OB2」とは何ですか?
A: 白鳥座OB2は、白鳥座にある大きな若い星団です。
Q: この星団はどんな星団ですか?
A: OB星団です。
Q:この星団には、大質量で明るい星があるのでしょうか?
A: はい、白鳥座OB2星団には、最も質量が大きく、最も明るい星がいくつか見つかっています。
Q: 銀河団で発見された青色変光星の例を教えてください。
A: 白鳥座OB2星団には、青色変光星の疑いがあるCyg OB2 #12という星が見つかっています。
Q: 銀河団の中で最も大きい恒星の名前は何ですか?
A: はくちょう座OB2星団の中で最も大きな恒星のひとつは、NML Cygniと呼ばれています。
Q: この星域の中にある、さらに大きな星形成領域の名前は何ですか?
A: この領域は、「はくちょう座X」と呼ばれるさらに大きな星形成の領域の中にあります。
Q: この領域は、私たちからどのくらい離れているのですか?
A: 約1,400パーセク離れています。
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