ダークスカイ保護区(暗黒天保護区・DSP)とは?定義・種類とカナダの基準
ダークスカイ保護区の定義・種類と世界で唯一の厳格なカナダ基準を解説。光害対策や認定の違い、選定方法まで詳しく紹介。
DSP(dark-sky preserve)とは、人間による光害が極力ないように管理される保護区のことです。こうした地域は、観測や天文学の普及・教育、夜空の景観保存のために利用されます。名称や認定の仕組みは国や団体によって異なり、混同を避けるために国際暗黒星協会(IDA)は用語を明確に区別しています。IDAは暗黒天について、park(パーク)やreserve(リザーブ)といった区分を定めており、呼称の混同を避けるためにそれぞれ別のカテゴリで扱います。
暗黒天保護区の種類(国際的な分類)
- International Dark Sky Reserve(国際ダークスカイリザーブ):広い「コア(最も暗い領域)」と周辺の「バッファーゾーン」があり、地域全体で暗い空を保護するための計画がある場所。
- International Dark Sky Park(国際ダークスカイパーク):公園や自然保護区など、一般の来訪者向けに夜空観察と教育を行う施設や地域。
- Dark Sky Community / Sanctuary / Urban Night Sky Place:町や都市、特別保護区など、用途や規模に応じた別カテゴリがある(IDAの分類参照)。
カナダの「暗黒天保護区(DSP)」の基準と特徴
カナダでは、カナダ王立天文学会(RASC)などが主導して、地域の夜空を守るための厳格な基準と手続きが整備されています。カナダのプログラムは、次のような特徴を持ちます。
- 暗さの評価:衛星データや地上での測定(Sky Quality Meter 等)を用いて、地域の空の明るさや近隣都市からのスカイグローを評価します。
- ゾーニング:通常「コア(最も暗い中心部)」とそれを取り巻くバッファー(保護)ゾーンを設定し、両者に対する光管理方針を明確にします。
- 照明管理:外灯の設計基準(全周遮光・適切な色温度・必要最小限の光量・タイマーやセンサーの活用など)を義務付けることが多いです。
- 文書化とコミットメント:地域の管理主体(自治体、公園管理者、地元団体等)が照明方針、監視計画、教育・周知活動を含む正式な管理計画を提出・実行することが求められます。
- 継続的な監視と更新:指定後も定期的な測定や報告、必要に応じた対策の更新が必要です。
取得手順と必要な取り組み(概略)
- 現状評価:空の明るさ測定、近隣の光源や夜間照明の現状把握。
- 管理計画作成:照明規制、設置基準、周知・教育活動、監視方法を含めた計画を用意。
- 地元の合意形成:自治体・土地所有者・市民団体との協力と正式なコミットメント。
- 申請と審査:所定の手続きを踏んで申請し、審査を受ける(国内プログラムやIDAの認定は別のプロセス)。
- 認定後の維持:定期測定、報告、改善活動を続けることで認定を維持します。
光害の測定と評価方法
- 地上機器:Sky Quality Meter(SQM)などで天頂の明るさを測定します。これにより現場ごとの暗さが定量化されます。
- 衛星データ:人工衛星による夜間光の分布データ(例:VIIRS)で広域の光害状況を把握します。
- モデルとマッピング:Cinzanoらのスカイグローモデルなどを使って、都市からの影響の予測や保護範囲の設計に用います。
- 主観評価:来訪者や天文愛好家の観察報告(ボートル級(Bortle)など)も参考にされます。
対策と管理の具体例
- 全周遮光(フルシールド)器具の採用で光を地面側に向ける。
- 色温度の制御(低色温度、暖色系の灯りを推奨)で青白い光の拡散を抑える。
- 必要最小限の照度、点灯時間の制限、動作センサーやタイマーの導入。
- 条例やガイドラインによる照明規制と設置監査。
- 教育・観光:ナイトスカイ観察会や看板、解説を通じた市民理解の促進。
暗黒天保護区がもたらす利点
- 天文学・教育:観測環境の確保と市民向け天文教育の場となる。
- 生態系保護:夜行性動物や生態リズムへの悪影響を減らす。
- 省エネルギー:無駄な照明削減でエネルギーとコストの節約に繋がる。
- 観光振興:星空観光(アストロツーリズム)の促進で地域活性化。
よくある誤解
- 「暗黒天保護区」と名乗る場所が必ず同じ基準で厳格に管理されているわけではありません。特に国や団体によって認定基準が異なるため、どの基準で指定されたかを確認することが重要です。
- カナダのDSP制度は比較的厳密で体系化されていますが、国際的に統一された一つの基準があるわけではありません。IDAの認定(International Dark Sky認定)と国内プログラムの要件は別途確認してください。
まとめると、DSPはただ暗ければ良いというだけでなく、測定・管理・コミュニティの合意と継続的な監視によって成り立つ取り組みです。暗い夜空を守ることは、科学・自然・文化の多方面に利益をもたらします。興味がある地域や団体は、まず現状の光環境評価と地域内の利害関係者との協議から始めると良いでしょう。

チリのパラナル天文台は暗黒天の保護区になっているため、質の高い天文利用が可能です。
質問と回答
Q:ダークスカイ保護区とは何ですか?
A: 暗黒星空保護区とは、人間による光害のない保護区域のことです。天文学の普及のために利用されています。
Q:国際ダークスカイ協会(IDA)は保護区をどのように呼んでいるのですか?
A: IDAでは、ダークスカイ保護区を公園や保護区ではなく、保護区という言葉で呼んでいます。これは、国際ダークスカイ保護区(IDSR)と国際ダークスカイ公園(IDSP)を混同しないようにするためです。
Q: カナダではどのようなプログラムを使って暗黒天空保護区を作るのですか?
A:カナダでは、カナダ王立天文学会(Royal Astronomical Society of Canada)の仕事に基づいて、非常に厳格な暗黒飛行場(area dark-sky preserves)の作り方がある。その地域の光の量と、その地域に近い市や町からのスカイグローの量に基づいて、プログラムが組まれています。
Q:このプログラムはカナダ独自のものですか?
A: はい、カナダのプログラムは、地域をダークスカイ保護区にする世界で唯一のものです。
Q:カナダ以外の暗黒星空保護区はすべて正式なものなのですか?
A: いいえ。カナダ以外の国で暗黒界保護区と呼ばれている地域は、公式の暗黒界保護区や本当の暗黒界保護区とは限りません。
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