デストリエ(デストリア)とは:中世の騎士用軍馬の定義と特徴

デストライアは、中世の軍馬の中で最もよく知られたタイプである。戦闘、トーナメント、馬上槍試合の際に騎士を乗せた。その重要性から、現代の資料では「偉大なる馬」と表現されている。

デストリアの語源は、「右側」という意味のヴァルガー・ラテン語dextarius(現代のdexterousやdexterityと同じ語源)である。これは、騎士の右側で従者が先導すること(あるいは右手で先導すること)、あるいは馬の歩様、(おそらく右で先導すること)を指しているのだろう。

デストリアは騎士や武士に珍重されたが、あまり一般的ではなかった。ほとんどの騎士や騎兵は他の軍馬、例えばクーサーやルーンスィーに乗っていた。この3種類の馬はしばしばチャージャーと呼ばれた。

定義と役割

デストリア(デストリエ)は、主に中世ヨーロッパの重装騎兵が用いた大型で力強い戦闘用馬を指す歴史用語である。戦場での突撃(チャージ)、個人間の決闘、そしてトーナメントや馬上槍試合での主要な乗用馬として評価された。単に「大きな馬」ではなく、突進力、俊敏性、耐久力を兼ね備えた調教済みの軍馬を意味する。

外見と体格

中世の記録や美術表現から、デストリアは次のような特徴を持つと考えられている:

  • 筋肉質で頑丈な体躯。肩や後肢が発達しており、重い騎士装備と鎧を支えて突進できる力がある。
  • 寸法については諸説あり、現代の大型馬ほど巨大ではないが、平均的には中~大型(おおむね14〜16ハンド、約145〜165cm前後)の個体が好まれたと推定される。
  • 脚は強く、歩行や急停車(停止)・方向転換に耐える構造。被毛の色は様々で、黒や栗毛なども多く描かれる。

装備(馬具)と護具

戦闘やトーナメントでは、馬も騎士同様に装備されることが多く、これを総称してバーディング(馬鎧)と呼ぶ。実際には以下のような装備が用いられた:

  • 鞍(重心を安定させる堅牢なタイプ)と鐙(あぶみ)— 騎士が槍や剣を扱いやすくするために重要。
  • チャングロンやシャフロン(馬の頭部を守る盾状の金具)や胸当て・側面当てなどの金属製または革製の馬鎧。
  • 装飾的な布覆いや紋章入りのカバー(トーナメントでの視認性・身分表示のため)。

訓練と性格

デストリアは単に大きいだけでなく、特別に調教された馬である。主な訓練項目は:

  • 衝突に耐える冷静さ(大勢の馬や武器に囲まれても動じない心性)。
  • 騎乗者の合図に応じた速い加速と急停止、方向転換の習得。
  • 槍による突進での衝撃を受け止めるためのバランス感覚と前肢の強さ。

このため、訓練には時間と熟練が必要であり、専任の馬丁や従者(先導役)による日常的な管理が行われた。

経済的・社会的地位

デストリアは非常に高価で、騎士や貴族のステータスシンボルでもあった。良質なデストリアの購入、維持、装備には大きな費用がかかり、一般の農民や軽騎兵が所有することはほとんどなかった。伯爵や王侯が戦時に備えて馬を蓄えることも多く、馬の取引や種馬の管理は中世社会で重要な産業の一つとなった。

他の軍馬との違い

本文で触れられているように、デストリアはクーサー(courser)やルーンスィー(rouncey)と区別される。簡単に言えば:

  • デストリア:重装騎兵用の戦闘馬、突撃向き、比較的少数で高価。
  • クーサー:速さと持久力に優れ、追撃や偵察、軽装騎兵にも用いられる。
  • ルーンスィー:汎用の軍馬。比較的安価で数を揃えやすく、農作業とも兼用されることもあった。

描写と歴史的変遷

文献・詩歌・写本の挿絵・石像などに描かれるデストリア像は、おおむね勇壮で装飾された姿が多い。十字軍やノルマン征服を経て、西欧の馬術・馬種改良は進み、スペインや中東の品種が影響を与えたとする説もある。ただし、今日の視点で「デストリア=特定の血統」という証拠は限定的で、実際は機能(戦闘に適する馬)による分類であった可能性が高い。

衰退と近代以降

火器の普及や戦術の変化、騎兵の役割縮小により、重厚なチャージ用馬の需要は徐々に減少した。ルネサンス以降は儀礼用や馬術競技として形を変え、産業革命期以降は軍馬の形態も大きく変わった。しかし、トーナメント文化や歴史再現においてデストリアのイメージは今日まで影響を残している。

現代の復元と研究

現代の歴史再現や学術研究では、アンダルシア種やフリージアン、コールドブラッドと軽種の交配などを用いてデストリアの再現が試みられている。史料批判や考古学的発見、家畜遺伝学の進展により、当時の馬の体格や用途についての理解は深化している。

まとめ

デストリア(デストリエ)は中世ヨーロッパの重装騎兵を支えた代表的な軍馬であり、戦術的・社会的に高い価値を持っていた。その実像は地域や時代によってばらつきがあり、現代の研究でも議論が続いているが、一般には「戦闘に優れた大型で調教された馬」という理解で説明される。

馬上槍試合に臨み、相手を倒すウィリアム・マーシャル。Zoom
馬上槍試合に臨み、相手を倒すウィリアム・マーシャル。

デストリアの特徴

デストリエという言葉は品種を指すのではなく、最高級で最強の軍馬の一種を指す。この馬は通常、種馬であり、戦争のために特別に仔馬から繁殖させ、育てた。デストリエは馬上槍試合に最も適した馬とされ、クーサーは他の戦いに好まれたようである。デストリアは力強い後肢を持ち、停止、回転、旋回、前進のために容易に巻き取り、跳ね上げることができた。また、短い背中と筋肉質な腰、丈夫な骨、よく曲がった首が特徴である。中世の美術品によると、デストリアの頭部は直線的かわずかに凸型で、顎は強く、幅が広く、目と目の間の幅も十分であったようである。

デストライアは戦闘やトーナメントで使用するためのもので、騎士は普段の乗馬にはパルフライを使用し、荷物はサンプターホース(またはパックホース)、あるいは荷馬車で運んだのである。

質問と回答

Q: デストリエとは何ですか?


A: デストライアは中世の戦い、トーナメント、馬上槍試合で騎士が使用した軍馬の一種です。

Q: なぜデストライアは重要視されたのですか?


A:デストライアが重要視されたのは、デストライアが「偉大なる馬」と形容され、騎士や軍人に珍重されたからです。

Q: デストリアの語源は?


A: デストリアの語源はヴュルガー・ラテン語のdextariusで、「右側」という意味であり、従者が騎士の右側で馬を導くこと、あるいは右側で馬を導くことを指していると思われる。

Q: 騎士や武士は皆、デスタリアに乗っていたのですか?


A:いいえ、すべての騎士や軍人がデストロイヤーに乗っていたわけではありません。ほとんどの騎士は他の軍馬、例えばクーサーやルウンスィー(チャージャーとも呼ばれた)に乗っていました。

Q:中世の騎士や軍人がよく乗っていた馬には、他にどんな種類がありますか?


A:中世の騎士や軍人がよく乗っていた馬の種類はカウサーとルウンスィーで、チャージャーとも呼ばれていました。

Q:デストリエは今でも使われているのですか?


A:いいえ、デストリエは現代では使われていません。中世特有の馬です。

Q:デストリアの語源は何ですか?


A:デストリアの語源は、「右側」を意味するヴュルガー・ラテン語のdextariusで、現代語のdexterousやdexterityと同じ語源です。

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