デジタルフォレンジック入門:定義・目的・手法・eDiscoveryと侵入検知

デジタルフォレンジック入門:定義・目的・手法、eDiscoveryや侵入検知まで、証拠収集と解析の基本を実務向けにわかりやすく解説。

著者: Leandro Alegsa

デジタル・フォレンジックとは、犯罪解決のために専門家がコンピューター・デバイスを調べる科学的な捜査です。携帯電話やタブレット、サーバ、外部記憶装置、クラウドサービスなど、多様なデジタル媒体が対象となります。デジタル・フォレンジックを行う専門家は、しばしば「アナリスト」または「捜査官」と呼ばれ、依頼を受けて行う作業全体が「調査」と呼ばれます。

定義と目的

デジタル・フォレンジックの主な目的は以下のとおりです。

  • 事件やインシデントに関連するデジタル証拠の発見・保全・解析。
  • 証拠の真正性(改ざんがないこと)や時系列を示し、法的手続きや社内対応で使用できる形で提示すること。
  • 侵入の原因や経路、範囲を特定して再発防止に役立てること。

どのような場合に行うか

代表的なケースは次の通りです。

  • 犯罪捜査:不正アクセス、詐欺、児童虐待、知的財産侵害など。
  • 民事紛争(民法関係):取引トラブルや労使問題での記録確認(これが「eDiscovery」に該当することが多い)。
  • セキュリティインシデント対応:マルウェア感染や不正侵入(侵入検知後の詳細解析)。

主な手法とプロセス

調査は慎重な手順で行い、証拠の信頼性を保つ必要があります。一般的な流れは次のとおりです。

  • 初期収集(Identification/Preservation):対象デバイスやログを特定し、変更や消失を防ぐために電源管理やネットワーク切断などの措置を取る。
  • イメージ取得(Imaging):現場の媒体を丸ごとコピー(ビット単位イメージ)して解析用の複製を作成。原本は封印して保全する。
  • 解析(Analysis):ファイル復元、ログ解析、タイムライン作成、メモリダンプ解析、マルウェア解析などを行い、事実関係を明らかにする。
  • 報告(Reporting):調査結果を分かりやすく整理し、必要に応じて法廷で説明できるように文書化する。
  • 証拠保全(Chain of Custody):証拠の管理記録を残し、誰がいつどのように扱ったかを証明する。

解析の種類(代表例)

  • 静的解析(Dead/Forensic Image Analysis):オフラインで保存データを解析。
  • 動的解析(Live Forensics):稼働中のシステムからメモリやネットワーク接続情報を取得して解析(サーバ停止が許されない場合など)。
  • モバイルフォレンジック:スマートフォンの内部データ、SMS、通話履歴、位置情報、アプリデータの復元と解析。
  • クラウドフォレンジック:クラウド上のログやオブジェクトストレージ、APIアクセス履歴の収集と分析。
  • ネットワークフォレンジック:ネットワークトラフィックやファイアウォール/IDSログを解析して侵入経路やデータ漏えい経路を特定。

よく使われる技術・ツール

  • イメージ作成ツール(例:dd、FTK Imager、Guymagerなど)
  • 解析プラットフォーム(例:Autopsy/Sleuth Kit、EnCase、X-Ways Forensics)
  • マルウェア解析環境(サンドボックス、逆アセンブラ、デバッガ)
  • ログ集約・SIEMツール(例:ELK、Splunk)やネットワーク解析ツール(Wireshark)

eDiscovery(電子情報開示)とは

企業や個人の間の紛争(民法と呼ばれる)で行われる調査は、必ずしも犯罪捜査ではありません。訴訟や調停のために、関係者の電子メール、文書、チャット履歴、ファイルシステムなどから証拠を特定・抽出する手続きを「eDiscovery」と呼びます。eDiscoveryでは、関連範囲の定義(スコープ)、保存命令(litigation hold)、レビューと特権情報のフィルタリングが重要です。

侵入検知とその後のフォレンジック

「侵入検知」は、ハッカーがコンピュータ・ネットワークに侵入したと疑われる場合に発生します。侵入が検知された後の作業は次のようになります。

  • 侵入の兆候(不審なログイン、異常なトラフィック、未知のプロセス)を特定。
  • 被害範囲の特定:どの端末やアカウントが影響を受けたかを明らかにする。
  • 原因分析:脆弱性の特定や攻撃手法(フィッシング、脆弱性悪用など)を解析。
  • 封じ込めと根絶:感染マシンの隔離、攻撃者のアクセスを遮断、バックドアの除去。
  • 復旧と改善:被害復旧後、再発防止のためのセキュリティ強化(パッチ適用、認証強化、ログ監視の強化)を実施。

法的・倫理的配慮

デジタル・フォレンジックは法廷で使用されることが多く、手順と記録が重要です。主な注意点:

  • 証拠保全の手順を遵守し、改ざんやデータ損失を防ぐ。
  • 捜査は適切な権限(捜査令状や当事者の同意など)に基づいて行う。
  • プライバシー保護と不要な情報の露出を避ける(必要最小限のデータ収集)。
  • 調査報告は客観的かつ再現可能な方法で作成する。

調査報告と証拠の提示

調査の最終段階では、発見事項をわかりやすくまとめた報告書を作成します。報告書には次を含めるのが一般的です。

  • 調査の目的とスコープ
  • 使用した手順とツールの記録(再現性)
  • 取得した証拠の一覧とその保全状況(Chain of Custody)
  • 主要な解析結果と時系列(タイムライン)
  • 結論と推奨される対策

学習と専門性の向上

デジタル・フォレンジックは技術の進化に伴って常に変化します。学習のポイント:

  • 基礎(OS、ファイルシステム、ネットワーク、ログ)を理解する。
  • ツール操作だけでなく、手法と理論(例えばタイムライン解析やメモリ解析)を学ぶ。
  • 法的側面や倫理、報告書作成のスキルも重要。
  • 実践的な演習やCTF、公式資格(GIAC、EnCEなど)で経験を積む。

まとめ

デジタル・フォレンジックは、犯罪捜査や民事紛争、セキュリティインシデント対応に不可欠な科学的手法です。証拠の発見・保全・解析・報告という一連の流れを厳密に行うことで、事実関係の解明や再発防止、法的手続きでの証明が可能になります。調査には技術的知識だけでなく、法的・倫理的配慮と正確な記録管理が求められます。

質問と回答

Q: デジタルフォレンジックとは何ですか?


A: デジタルフォレンジックとは、専門家が犯罪を解決するためにコンピューターデバイスを調べる法医学である。

Q: デジタル・フォレンジックを行う専門家は誰ですか?


A: デジタルフォレンジックを行う専門家は、しばしば「アナリスト」または「インベスティゲーター」と呼ばれます。

Q: デジタル・フォレンジックにおける調査とは何ですか?


A: 専門家がコンピュータを見ることを依頼されたとき、それは「調査」と呼ばれます。デジタル・フォレンジックの調査は、コンピュータを使用することを含む犯罪で誰かが非難されたときに行われます。

Q: 専門家はデジタル・フォレンジック調査で何をするのですか?


A: 専門家は、犯罪に関する証拠を探します。その人が非難されるべきかどうかを証明しようとするのです。

Q: eDiscoveryとは何ですか?


A: 企業間や個人間の紛争(民法として知られている)で調査が行われることがあります。これらは犯罪を伴わないかもしれません。その代わりに、専門家は、個人や企業のコンピュータを見ることで、その企業に関する情報を見つけるよう依頼されます。このような調査には「eDiscovery」という特定の言葉が使われます。

Q: デジタル・フォレンジックにおける侵入検知とは何ですか?


A: 侵入検知は、デジタル・フォレンジックのもう一つの用途です。ハッカーがコンピュータネットワークに侵入した後に起こります。侵入された後、専門家がネットワーク上のコンピュータを見て、どのようにそれが起こったかを調べるよう依頼されることがよくあります。

Q: デジタル・フォレンジック調査は、コンピュータにしかできないのですか?


A: いいえ、デジタル・フォレンジック調査には携帯電話も含まれます。


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