ドクターイエローとは|新幹線の検測車・走行試験と役割
ドクターイエロー(新幹線検測車)の役割や仕組み、走行検測の秘密を分かりやすく解説。見つけ方や運行情報、歴史まで写真で楽しむ完全ガイド
ドクターイエローは、新幹線の走行試験で使用される日本の電車で、正式には「新幹線軌道・設備検測車」として軌道や架線、信号系統などを実際の営業速度で検査するための車両です。車体は目立つ黄色で塗られており、車内には多種多様な検測機器が搭載されています。名前の由来は、診断や検査を行うことを示す「ドクター」と、特徴的な「黄色い」塗装にあります。塗装は、高速鉄道以前に試験列車で使われていた「青に黄色のストライプ」を反転させた「黄色に青のストライプ」が元になっています。
ドクターイエローの役割
主な目的は、営業運転と同等の速度で走行しながら、線路・架線・信号・通信・電気系統などの状態を総合的に検査・記録することです。日常点検では確認できない実走行時の挙動や、列車走行中に発生する微細なズレや振動を把握することができます。得られたデータは保守計画や補修の判定、将来の設備更新に利用されます。
搭載機器と検測項目
- 軌道の幾何(線形・高さ・左右のズレ、レールの摩耗)を計測する測定装置
- 架線(パンタグラフと接触する状態、張力や高さ、位置ずれ)を調べる装置
- 加速度計やジャイロで車体の振動・傾きを測定する装置
- 高速度カメラやレーザーを使った非接触測定機器
- 信号機や列車制御装置(ATC/ATS等)の動作確認、無線通信の品質測定
- 電力供給系の測定(架線電圧・電流など)
これらの装置で得られたデータは車上で記録され、下車後に解析して問題箇所の補修や重点監視の通知に役立てられます。
運行の特徴と見かける頻度
ドクターイエローは通常の新幹線と同等の速度で走行可能で、営業列車と同じ線路状態で検査を行うため、実際の営業速度で計測します(例:東海道新幹線では最高時速270kmに達するケースがある)。運行は定期的に行われますが、詳しい運行時刻は一般には公開されていないため、偶然見かけると鉄道ファンの間で「幸運の象徴」とされることが多いです。
ドクターイエローは基本的に試験・検査用途のための車両であり、通常の旅客輸送は行いません。ただし、報道関係者や関係者向けに特別に乗車する機会が設けられることは稀にあります。
保有・運用とメンテナンスの役割
ドクターイエローはJR各社(線区により保有・運用会社や車両形式が異なることがある)が維持・運用しており、新線開業や大規模な保守作業後、あるいは定期点検の一環として走行します。走行試験で得た情報は保守周期の決定、補修の優先順位付け、安全対策の強化に直結します。
まとめ
ドクターイエローは、新幹線の安全・信頼性を支える重要な検測車です。派手な黄色い外観と「ドクター」という名称は、その診断的な役割と視認性を象徴しています。日常の旅客輸送とは別に、実走行環境での詳細な計測を行うことで、安全な新幹線運行を下支えしています。

JR東海の923形ドクターイエローのセットT4
質問と回答
Q:ドクターイエローとはどんな列車ですか?
A:ドクターイエローは、新幹線の走行試験で使用される日本の列車です。
Q:ドクターイエローは何を検査するのですか?
A:ドクターイエローは、地上を走る線路や、上空を走る電線などを調べます。
Q:ドクターイエローの名前の由来は?
A:ドクターイエローの名前の由来は、車内にある珍しい装置「ドクター」と、塗られている色「イエロー」からきているそうです。
Q:なぜ、黄色に青のストライプなのですか?
A:高速路線以外の試験列車で使用されていた青に黄色のストライプを、黄色に青のストライプにしたものです。
Q:ドクターイエローはどのくらいのスピードが出るのですか?
A:通常の新幹線と同じで、東海道新幹線では最高時速270kmまで出せます。
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