アロハ (2015年映画) — キャメロン・クロウ監督のロマンティック・コメディ・ドラマ、批評・興行の失敗とホワイトウォッシュ論争
『アロハ』(2015年)—キャメロン・クロウ監督のロマンティック・コメディ。批評・興行の大失敗とエマ・ストーン出演を巡るホワイトウォッシュ論争の全貌を検証。
アロハ』(Aloha)は、2015年に公開されたアメリカのロマンティック・コメディ・ドラマ映画で、監督はキャメロン・クロウ、製作はスコット・ルーディンが担当しました。映画は2015年5月29日に限定的に公開され、舞台はハワイを中心にしたロケーションで展開します。物語は元軍事請負業者がハワイに戻り、かつての恋人と再会するとともに新たな恋や人生の選択に直面するという、恋愛と人間関係、自己再生を描く内容です。
出演
- 主演はブラッドリー・クーパー(ほかに主要キャストとしてエマ・ストーン、レイチェル・マクアダムス、ビル・マーレイらが出演)
- 美しいハワイの風景や地元の文化を背景に、登場人物たちの感情的なやり取りが描かれます
批評と興行成績
公開後、批評家からは概ね否定的な評価を受け、レビュー集積サイトのRotten Tomatoesでは約20%台の支持率にとどまりました。批評ではストーリーのトーンの不均衡や脚本の散漫さが指摘される一方、撮影されたハワイの風景や一部キャストの演技は好評を得た点もありました。
興行面でも振るわず、製作費の約3700万ドルに対して全世界興行収入は約2630万ドルに留まりました。ハリウッド・レポーターは、劇場公開終了時点での最終的な損失が約6,500万ドル近くに達すると推定しています。
キャスティング論争(ホワイトウォッシュ)
本作は公開前後にキャスティングをめぐる論争に巻き込まれました。登場人物の一人であるアリソン・ング(劇中表記はAllison Ng)は、脚本上では部分的にハワイの先住系やアジア系の血を引く混血の女性として設定されていたにもかかわらず、実際には白人の女優エマ・ストーンがその役を演じたため、アジア系アメリカ人の団体や批評家から「ホワイトウォッシュ(白人化)」の批判が起きました。特に、アジア系アメリカ人のための団体であるMedia Action Network for Asian Americans(MANAA)は、映画のキャスティングが多様性を無視しているとして抗議を表明しました。
批判を受けて、監督のキャメロン・クロウは声明を出し、「皆さんの声と失望を受け止め、キャスティングについて不快に感じたすべての方に心から謝罪する」といった趣旨の謝罪を述べました。一方、エマ・ストーンも後のインタビューなどでミスキャストだったことを悔いており、ハリウッドにおける人種・民族表現のあり方について問題意識を示しています。
論争の背景と評価
この論争は、ハリウッド映画における人種表現やキャスティング慣行をめぐるより大きな議論の一部となりました。批評側は、設定上アジア系・先住系の要素を持つキャラクターに白人俳優を起用することが機会損失や文化的表現の希薄化を招くと主張しました。製作側は多くの場合「演技力」や「興行的理由」を挙げることがありますが、本作のケースは業界全体でのキャスティング改善を求める声を強める契機となりました。
まとめ
『アロハ』は、監督・キャメロン・クロウの商業的かつ演出的な試みを含む作品でしたが、批評的評価と興行成績の双方で期待を下回り、さらにキャスティングをめぐる人種問題が大きな注目を浴びました。映画自体はハワイの風景や一部の演技に光る点がある一方で、物語の一貫性や登場人物設定に関する批判が作品の受容に影を落とす結果となりました。
キャスト
- ブライアン・ギルクレスト役のブラッドリー・クーパー
- アリソン・ウン警部役のエマ・ストーン
- トレイシー・ウッドサイド役のレイチェル・マクアダムス
- ビル・マーレイ(カーソン・ウェルチ役
- ジョン・クラシンスキー(ジョン・クラシンスキー) ジョン・"ウッディ"・ウッドサイド役
- レイシー大佐"フィンガーズ"役のダニー・マクブライド
- ディクソン将軍役のアレック・ボールドウィン
- ボブ・ラージェント役のビル・キャンプ
- ロイ役のマイケル・チェルヌス
- イェーデン・リーバーハー(ミッチェル役
- ダニエル・ローズ・ラッセル(グレース役
- カーティス中佐役のエディ・ガテギ
- 自身としてのボコボコカナヘレ
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