エンタングルメントとは|定義・意味(量子もつれ含む)と主な用例
エンタングルメントの定義から量子もつれの仕組み、実用例まで図解でわかりやすく解説。初心者にも理解しやすい総合ガイド。
エンタングルメントとは、以下のことを指す場合があります。
定義・概要
エンタングルメント(entanglement)は、直訳すると「絡み合い」や「もつれ」を意味する英語由来の言葉で、文脈によって指す内容が異なります。一般には複数の要素が互いに切り離せない状態で結びついていることを指す言葉として使われます。
主な用例
- 量子もつれ(量子エンタングルメント)
量子力学におけるエンタングルメントは、二つ以上の量子系(例えば電子や光子)が互いに強く相関した状態を指します。個々の系を単独で見ても決まった状態を持たず、片方に対する測定結果がもう片方の結果と即座に相関するという特徴があります。これはEPRパラドックスやベルの不等式に関わる重要な概念で、量子通信や量子計算の基盤技術になっています。 - 比喩的・一般的用法
人間関係、組織、制度、経済などで「複雑に絡み合っている」ことを表すときにも使われます(例:「政治的エンタングルメント」「経済的エンタングルメント」)。この場合は「相互依存」「複雑な結びつき」といった意味合いです。 - 情報科学・ソフトウェア設計における関連用語
直訳の「もつれ」から派生して、モジュール間の強い依存関係(高い結合度)を指すことがあります。設計上は避けるべき状態として扱われることが多いです。 - 物理・材料科学での応用
物性物理や量子化学では、エンタングルメントを用いて系の相関や相変化を解析します。例えば「エンタングルメントエントロピー」は物質の相や臨界現象を調べる指標として使われます。
量子もつれ(もう少し詳しく)
量子エンタングルメントは次の性質を持ちます:
- 複数の量子ビット(qubit)が一つの量子状態として記述され、個々の部分状態だけでは系全体を記述できない。
- 片方の測定結果が確定すると、瞬時にもう片方の統計的性質に影響を与えるように見える(ただし、これによる情報の超光速伝達は不可能)。
- ベルの不等式を用いた実験で古典的な局所実在論と区別できる相関を示す。
実用面では、量子暗号(量子鍵配送:QKD)、量子テレポーテーション、量子コンピューティングのゲートや誤り訂正などでエンタングルメントは資源として重要です。逆に、外部環境との相互作用(デコヒーレンス)によりエンタングルメントは失われやすいため、その生成・維持が研究課題になっています。
日常での使い方例(例文)
- 「この二国間の経済的エンタングルメントが解消されるまで交渉は続くだろう。」
- 「量子もつれを利用した通信実験で、遠隔の光子が相関を示した。」
- 「古いコードはエンタングルメントが強く、機能の分離が難しい。」
よくある誤解・注意点
- 超光速通信ではない:量子もつれは瞬時の相関を示しますが、それだけで情報を伝える手段にはなりません。古典的な通信経路を併用する必要があります。
- すべての相関がエンタングルメントではない:系間の単なる統計的相関はエンタングルメントとは限らず、量子的特性を満たすかどうか(例えばベル不等式の違反など)で区別されます。
- 一般語としての曖昧さ:日常語として使うときは「絡み合っている」「複雑に結びついている」という意味合いで使われるため、量子物理の厳密な意味とは区別して理解する必要があります。
歴史メモ(簡潔に)
「エンタングルメント」という概念は、1935年にアインシュタインらが提起したEPRパラドックスや、同年にエルヴィン・シュレーディンガーが提唱した V erschränkung(ドイツ語:もつれ)に由来します。1964年にジョン・ベルが提唱したベルの定理により、実験的に量子相関と古典的局所実在論の違いが検証可能になりました。
参考(応用分野の例)
- 量子通信・量子暗号
- 量子計算(量子アルゴリズム、量子誤り訂正)
- 物性物理・統計物理(エンタングルメントエントロピー)
- 哲学・認知科学(因果や相関の議論における比喩的使用)
まとめると、エンタングルメントは「もつれ・絡み合い」を示す広い概念で、特に量子力学における量子もつれは物理学と技術応用の重要な基礎です。一方、日常語としては複雑な相互依存を表す比喩としても多用されます。
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