ガスタービン(燃焼タービン)とは|構造・動作原理・用途・種類を解説

ガスタービン(燃焼タービン)の構造・動作原理・用途・種類を図解でわかりやすく解説、発電や輸送への応用も網羅。

著者: Leandro Alegsa

ガスタービンは、燃焼タービンとも呼ばれ、内燃機関の一種です。最も基本的な構成は、以下の3つの主要部品からなります。

  • 空気を圧縮する回転式ガスコンプレッサー(図中のSP)
  • 燃料を噴射し燃焼を行うコンバスター(燃焼室、図中のKS)
  • コンプレッサーと同じ軸に接続されるタービン(図中のTG)

構造と主要部品の役割

ガスタービンは、圧縮機(コンプレッサー)、燃焼室(コンバスター)、および高温高圧ガスを膨張させて仕事を取り出すタービンで構成されます。コンプレッサーで大気圧の空気を高圧に圧縮し、燃焼室で燃料を噴射・混合して燃焼させると、気体は高温・高圧になります。その高温高圧ガスがタービンを通過して膨張し、回転エネルギーを取り出します。この回転は発電機やプロペラ、車輪などの負荷を直接駆動するか、別軸の機械に伝達されます。

動作原理(ブルートンサイクルの概略)

ガスタービンの基本的なサイクルはブレイトンサイクル(Brayton cycle)で表されます。順序としては次の通りです。

  • 吸気:外気を取り込む
  • 圧縮:コンプレッサーで空気を高圧にする
  • 燃焼:燃料を噴射し燃焼させ、温度とエネルギーを上げる
  • 膨張(出力取得):高温高圧ガスがタービンを回し仕事を取り出す
  • 排気:膨張後の低圧ガスを大気へ排出する

実際には、圧縮比や燃焼温度、回転速度、段数(多段の軸流圧縮機やタービンなど)によって性能が大きく変わります。タービン翼は高温に耐えるために特殊合金や表面コーティング、内部冷却孔などが用いられます。

用途(主な採用分野)

ガスタービンはその高出力対重量比と高速回転特性から、さまざまな分野で利用されています。

  • 発電:単独の簡易サイクルでのピーク負荷用や、排熱を利用するコンバインドサイクルでの基幹電源(発電)
  • 航空機の推進:ジェットエンジン(ターボファン、ターボジェット)として使用
  • 海洋・船舶:高速船舶や軍艦の推進(ガスタービン主機)
  • 機械駆動:ガスタービン駆動のコンプレッサーやポンプ、また鉄道・道路車両向けの大トルク駆動(2軸構成で低速大トルクを得る用途、トルクが必要な場面)
  • コージェネレーション(熱電併給):発電と同時に排熱を給湯や暖房に利用しエネルギー効率を高める

種類と設計の違い

代表的な分類は軸構成、流体方向、用途別の設計です。

  • 軸構成:1軸式(シングルシャフト)と2軸式(ツインシャフト) — 1軸は発電機などと同一軸で直接駆動、2軸はコンプレッサーと負荷を別の軸で駆動するため回転数の最適化が可能。低速高トルクが必要な場合は2軸が有利です。
  • 圧縮機/タービンのタイプ:軸流式(大型高効率)と遠心式(小型・簡便)
  • 用途別:航空用(高推力・軽量化重視)、発電用(長寿命・高効率・低燃費重視)、産業用(負荷変動対応やメンテ性重視)
  • 熱利用方式:単純サイクル(単独)とコンバインドサイクル(排熱を蒸気タービンで回収)— コンバインドサイクルは熱効率が大幅に向上し、近年の大型発電所で主流

利点と課題

利点:

  • 高出力対重量比で小型軽量
  • 起動・停止が比較的短時間で可能(ピーク電源に適する)
  • 振動が少なく連続運転に向く
  • 燃料柔軟性:天然ガス、軽油、航空燃料、バイオ燃料や水素混焼の検討も進む

課題:

  • 小規模では効率が低下しがち(コンバインドでの効率向上が必要)
  • 高温部材・冷却技術が重要で、製造・保守コストが高い
  • 燃焼によるNOxなどの有害排出物対策が必要
  • 吸気温度や高度など運転条件に敏感で、性能が変動する

実運転でのポイント

長期安定運転のためには定期的な点検、タービン翼の外観検査、クリーニング、圧縮機の目詰まり管理、燃焼室ライナーの摩耗監視、軸受・潤滑系の管理などが重要です。さらに、排熱を有効活用する熱回収システムや排ガス後処理(触媒・脱硝装置など)の導入で環境性能と効率を高められます。

まとめ

ガスタービンは構造が比較的シンプルで出力密度が高く、発電、航空、海洋、産業用など幅広い用途に使われています。設計や運用により単独での簡易運転から、高効率のコンバインドサイクルまで適用できる点が特徴です。一方で高温材や排ガス対策など技術的課題もあり、用途に応じた最適設計と運用が求められます。

ガスタービンの簡略図Zoom
ガスタービンの簡略図

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質問と回答

Q:ガスタービンとは何ですか?


A: ガスタービンは内燃機関の一種で、回転するガス圧縮機、燃料を噴射する燃焼器、圧縮機と同じ軸にあるタービンを備えています。

Q: ガスタービンの3つの主要部品は何ですか?


A: ガスタービンの3つの主要部品は、空気を圧縮するための回転するガス圧縮機、燃料を噴射する燃焼器と呼ばれる燃焼室、そして圧縮機と同じ軸にあるタービンです。

Q: ガスタービンで回転するガス圧縮機の目的は何ですか?


A:ガスタービンの回転式ガス圧縮機は、空気を圧縮して圧力と温度を高め、燃焼器で燃料に着火しやすくするためのものです。

Q: ガスタービンの燃焼器とは何ですか?


A: ガスタービンの燃焼器は、燃料を噴射し、コンプレッサーからの圧縮空気と混合する部屋です。混合燃料は点火され、タービンを流れる高温のガスを発生させます。

Q: ガスタービンのタービンの目的は何ですか?


A: ガスタービンのタービンは、燃焼器から発生する高温ガスからエネルギーを取り出し、そのエネルギーを発電機などの負荷を駆動する回転運動に変換します。

Q: 単軸ガスタービンとは何ですか?


A: 1軸ガスタービンは、1つのタービンで圧縮機と発電機などの負荷の両方を駆動するタイプのガスタービンです。

Q: 2軸ガスタービンとは何ですか?


A: 2軸ガスタービンは、コンプレッサと負荷を駆動するタービンが分かれているタイプのガスタービンです。2軸タービンは、低速でより大きなトルクを得られるため、道路や鉄道車両の駆動に適しています。


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