ゴシック・リバイバル建築とは|定義・歴史・特徴をわかりやすく解説

ゴシック・リバイバル建築の定義・歴史・特徴を図解と事例でわかりやすく解説。起源から代表作、意匠の見分け方まで初心者向けの入門ガイド。

著者: Leandro Alegsa

ゴシック・リバイバル建築とは、中世に発達したゴシック様式の意匠を模し、18世紀後半から20世紀初頭にかけて再び流行した建築の潮流を指します。見た目は中世のゴシック建築を彷彿とさせますが、実際には近代の技術や用途を取り入れて新たに建てられた建築物が多く含まれます。ゴシック様式の原型はおおむね1140年頃から1550年頃のヨーロッパで形成されましたが、リバイバル運動ではその要素を選択的に引用・再解釈することが一般的でした。教会聖堂、大学、タウンホール、そして時には住宅などに広く採用されました。

定義と特徴

ゴシック・リバイバル建築は以下のような特徴を持ちます。

  • 尖頭アーチ(尖ったアーチ)やリブ・ヴォールト、フライング・バットレスなど、伝統的なゴシックの造形を取り入れること。
  • ステンドグラスや装飾的なトレーサリー(窓飾り)などの装飾性が強いこと。
  • 縦方向への強調(尖塔やピナクルなど)により、視覚的に高く伸びる印象を与えること。
  • 中世の構造を模していても、内部の平面計画や機能(暖房・配管・近代的な利用)には近代の技術を用いることが多いこと。
  • 材料や工法では、鋳鉄や鋼材、後には鉄筋コンクリートなど近代的素材が併用される場合があること。
  • 様式の受容の仕方に地域差や時代差があり、厳密な再現からロマン主義的な解釈まで幅があること。

歴史的背景と展開

18世紀後半、イギリスでロマン主義的な中世崇拝の潮流と相まってゴシックの意匠が再評価され始め、代表的な初期例にホーレス・ウォルポールの「Strawberry Hill House」(1749年頃着手)が挙げられます。19世紀になると宗教的・道徳的価値観を建築に反映しようとする運動(例:教会派の影響)や、国民的アイデンティティを表現する手段としてゴシックが用いられるようになりました。

重要な理論家・実践者としては、オーガスタス・ウェルビー・ノートン・ピュージン(Augustus Pugin)、評論家のジョン・ラスキン(John Ruskin)、フランスのユージェーヌ・ヴィオレ=ル=デュク(Eugène Viollet-le-Duc)などがいます。ヴィオレ=ル=デュクは修復理論や構造の合理化を通じてゴシックの理解に影響を与え、ピュージンはゴシックを道徳的に優れた建築と位置づけてその普及を促しました。

19世紀中葉から後半にかけて、イギリスの「ハイ・ヴィクトリアン・ゴシック」やアメリカの「カレッジ・ゴシック(Collegiate Gothic)」など多様な派生形が現れ、20世紀初頭まで公共建築や大学建築、教会建築の主要な様式の一つとして用いられました。その後モダニズムの台頭で新築における主流性は薄れましたが、教会建築や象徴的建造物、大学キャンパスなどでは引き続き採用され続けました。

代表的な意匠要素(具体例)

  • 尖頭形の入口・窓、複数連の尖塔や大きな中央尖塔
  • リブ・ヴォールト(肋骨状の天井)と交差ヴォールト
  • フライング・バットレス(飛梁)や外部の支持構造
  • 縦長の窓と豊かなステンドグラス、装飾的なトレーサリー
  • 彫刻や彫りの細かい肘掛、ピナクル、尖塔飾り
  • 色彩や素材の対比(ポリクロミー)を強調することがある(特にハイ・ヴィクトリアン期)

主な代表作と建築家(概観)

以下はゴシック・リバイバルを代表する建築や関係者の一例です。

  • Strawberry Hill House(ホーレス・ウォルポール) — 初期のゴシック・リバイバルの先駆例。
  • Palace of Westminster(国会議事堂、チャールズ・バリーとA.W.N.ピュージン) — 19世紀イギリス・ゴシック復興の象徴的建築。
  • St Pancras Renaissance Hotel(ジョージ・ギルバート・スコット) — ヴィクトリア朝ゴシックの華やかな例。
  • Notre-Dameの修復(ヴィオレ=ル=デュク)やケルン大聖堂の完成など — 中世の遺構とリバイバルが交差する事例。
  • アメリカの教会建築や大学(リチャード・アップジョン、ラルフ・アダムス・クラムら) — コロニアル以降の米国で発展したコレジエイト・ゴシック。
  • ワシントン大聖堂(20世紀にかけて建設) — 近代における大規模なゴシック・リバイバルの例。

ゴシックとゴシック・リバイバルの違い

中世ゴシックは宗教的・建築的な技術革新(例:構造力学に基づく大空間の成立)から生まれた様式で、機能と構造が様式を生んだ側面が強いのに対し、ゴシック・リバイバルは歴史的美学や文化的な意味(ロマン主義・国民意識・宗教復興など)を重視して再現・再解釈されたものが多い点で異なります。また、リバイバル期には近代の材料や設備を組み合わせるため、内部構造や施工法では中世と異なる部分が多く見られます。

保存・活用と現代への影響

今日ではゴシック・リバイバル建築は多くが文化財として保護され、修復や保存が行われています。保存にあたってはオリジナルの意匠を尊重しつつ安全性や現代的機能をどう両立させるかが課題になります。近年は歴史的建築の改修・用途変更(コンバージョン)を通じて、ホテルや図書館、オフィスなど新たな役割を与える例も増えています。

まとめると、ゴシック・リバイバル建築は中世の美的言語を現代に蘇らせた運動であり、様式的特徴を通して文化的・社会的なメッセージを伝えてきました。外観の美しさだけでなく、建築史や技術史、保存の観点からも重要な意味を持つ様式です。

ウェストミンスター宮殿、ヴィクトリア・タワー(左)とクロック・タワー(右Zoom
ウェストミンスター宮殿、ヴィクトリア・タワー(左)とクロック・タワー(右

オックスフォード大学ケブル・カレッジのカレッジ・チャペルZoom
オックスフォード大学ケブル・カレッジのカレッジ・チャペル

マンチェスター博物館(イングランド、マンチェスターZoom
マンチェスター博物館(イングランド、マンチェスター

ゴシック・リバイバルの有名な例

  • ロンドン近郊のトゥイッケナムにあるストロベリー・ヒルは、ゴシック・リバイバル様式で設計された最初の住宅のひとつです。
  • ロンドンの国会議事堂(Houses of Parliament
  • セント・ジョン・ザ・ディバイン大聖堂(ニューヨーク
  • シドニー大学
  • サンパウロ大聖堂(ブラジル
  • イェール大学シカゴ大学のキャンパス

質問と回答

Q: ゴシック・リバイバル建築とは何ですか?


A: ゴシック・リバイバル建築とは、中世の建築様式を踏襲しながらも、それよりもずっと後に建てられた建築物であることを特徴とする建築様式です。

Q: ゴシック・リバイバル建築はいつ、どこで始まったのですか?


A: ゴシック・リバイバル建築は、1740年代後半にイギリスで始まりました。

Q: 19世紀初頭にゴシック・リバイバル建築が盛り上がったのはなぜですか?


A:ネオ・ゴシック様式の本格的な愛好家たちが、中世のゴシック建築を復活させようとしたことが、19世紀初頭のゴシック・リバイバル建築の勢いを加速させたと考えられます。

Q: ゴシック様式の建築物はいつ頃ヨーロッパで建てられたのですか?


A: ゴシック様式の建築物は、1140年頃から1550年頃までの間にヨーロッパで建てられました。

Q: ゴシック・リバイバル建築が流行した同時期に、他のどんな建築様式が流行したのですか?


A: ゴシック様式が流行した同時期には、古典様式やルネサンス様式も復活しています。

Q:ゴシック・リバイバル様式は、どのような建築物に多く採用されているのですか?


A: ゴシック・リバイバル様式は、教会、大聖堂、大学、市庁舎、そして時には住宅によく用いられました。

Q: ゴシック・リバイバル建築の共通点は何ですか?


A: ゴシック・リバイバル様式の建物には、尖ったアーチ、リブ・ヴォールト、バットレス、装飾的なトレースリーなど、本物のゴシック建築のような特徴がよく見られます。


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