本文へ移動

グラスホフ数:自然対流における浮力と粘性力の無次元比

グラスホフ数は、流体中の浮力と粘性力の比を表す無次元数である。自然(自由)対流の特性評価に用いられ、レイリー数およびプラントル数と関係する。

概要

グラスホフ数(Gr)は、流体力学および伝熱において、流体中の粘性力に対する浮力によって生じる力の相対的な重要性を定量化するために用いられる無次元パラメータである。自然(自由)対流を評価する主要な判定基準の一つであり、値が大きいほど浮力の影響が強く、温度差または濃度差によって駆動される対流運動が生じやすいことを示す。

定義と式

熱対流におけるグラスホフ数は、一般に Gr = g・β・ΔT・L3/ν2 と表される。ここで、gは重力加速度、βは流体の熱膨張係数、ΔTは代表温度差、Lは代表長さ、νは動粘性係数である。この数は無次元であり、局所的な値(Grx)として定義することも、形状に応じて異なるLを選択することもできる。

物理的解釈

グラスホフ数は、密度勾配が存在する際に流れを駆動する浮力と、粘性による減衰とを比較する。Grが小さい場合は粘性力が支配的となり、運動は抑制される。Grが大きい場合は浮力が粘性抵抗を上回り、活発な対流運動が発達する。熱問題でGrを適用する際には、通常、相対的な密度変化が小さいとするブシネスク近似が仮定される。

関連する無次元数

  • レイリー数:Ra = Gr・Pr。浮力と熱拡散の影響を組み合わせた数であり、Prはプラントル数である。
  • リチャードソン数:Ri ≈ Gr/Re2。主流が存在する場合に、自然対流と強制対流の影響を比較するために用いられる。Reはレイノルズ数である。
  • 溶質グラスホフ数:溶質膨張係数と濃度差を用い、濃度差によって生じる物質移動の浮力に対して定義される類似の形式である。

用途と例

グラスホフ数は、建物の自然換気、電子機器筐体の冷却、加熱された平板や円柱に沿う自由対流、密閉空間内の伝熱、太陽熱集熱器、地球物理学的流れなど、多くの系の設計と解析を導く。技術者はGrを、しばしばRaおよびPrとともに用いて、熱伝達係数の相関式を選定し、流れが層流となるか、あるいは乱流への遷移を生じるかを予測する。具体的な臨界範囲は、形状および境界条件に依存する。

歴史と限界

グラスホフ数は、19世紀の技術者フランツ・グラスホフにちなんで名付けられた、対流伝熱における古典的な手法である。その使用は連続体としての挙動を前提とし、通常は密度変化が小さいこと、すなわちブシネスク近似を仮定する。温度差が非常に大きい場合、圧縮性、放射、または物性値の変化により、単純なGrに基づく相関式が妥当でなくなることがある。より詳細な解説や相関式については、標準的な伝熱の教科書または技術資料を参照すること:参考資料を見る。

関連項目

著者

AlegsaOnline.com グラスホフ数:自然対流における浮力と粘性力の無次元比

URL: https://ja.alegsaonline.com/art/40365

共有