ダンダラカマイルカ(砂時計型イルカ Lagenorhynchus cruciger)南極の生態と特徴

砂時計型のイルカLagenorhynchus cruciger)は、南極域に生息する小型のイルカで、白と黒のはっきりした体色が特徴です。体は他のイルカに比べてやや短く幅が広く見え、体側に見られる白い斑紋が「砂時計(アワーグラス)」の形に似ていることからこの和名・英名(Hourglass dolphin)がついています。19世紀初頭(1820年代)に描かれた図が最初期の記録の一つとされますが、極域に住むため科学的な観察例は限られており、個体群の生態についてはまだ不明点が多く残されています。彼らの生息域は通常人の乗る小型船があまり入らない遠洋で、周辺の平均海水温はほぼ氷点近く(約0.1~0.3℃)に達します。南極の寒冷な海を中心に環境適応した種です。

外見と大きさ

成体はおおむね体長約1.8m/体重90~120kg程度で、小型のイルカに分類されます。体色は黒地に白の斑紋が入り、胸側から腹にかけて白い「砂時計状」の模様が目立ちます。背びれはやや高めで三角〜湾曲した形をしており、泳ぐ際に黒白のコントラストがよく目立ちます。

行動と社会性

砂時計型イルカは一般的に小規模な群れで行動し、通常5~10頭程度の群れが報告されています。ただしまれに数十頭(記録では60頭程度)で群れることもあります。船の舳先(ボウ)に乗って進行波に乗る「ボウライディング」を好む個体が多く、海上からの観察では活発に泳ぐ姿が見られます。観察例が限られるため詳細な社会構造や移動パターンは十分に解明されていませんが、他の大型クジラと一緒に見られることもあります(例として、しばしば周辺で見られる大型クジラと行動をともにすることがあるとされます)。ナガスクジラと同所的に観察される記録もあります。

食性

主に小魚、イカ、甲殻類などを捕食すると考えられています。歯は円錐形で、獲物をつかんで飲み込むのに適しています。一部では甲殻類の殻を砕くのではないかと推測されることもありますが、確実な証拠は限られています。餌資源や採食方法の詳細は今後の調査が必要です。

生息域と分布

分布は南極海域を中心とした環状(サーキュンポーラー)で、南極収束付近や周辺海域に広がります。極域に特化した種であるため、観察や標本収集が難しく、個体群の規模や季節的な移動については未解明の部分が多いです。稀に南方の離島周辺や大陸棚縁での観察例があり、ニュージーランドチリの南方海域で目撃された記録も報告されています。

繁殖・寿命

繁殖に関しては他のイルカ類と同様に妊娠期間はおおむね約10~12か月程度と推定されますが、具体的な出産周期や成長速度、寿命については確定的なデータが少なく、おおよその推定に留まります。子育ては母系の小群で行われると考えられています。

脅威と保全

遠隔地に生息するため人間活動の直撃を受けにくい面はありますが、以下のような要因が懸念されます。

  • 気候変動による海水温や餌生物の分布変化
  • 漁業による混獲や漁具への絡まり(座礁・混獲のリスク)
  • 海洋汚染(重金属や有機汚染物質の蓄積)や騒音被害

現時点では個体群全体の動向を示す十分な長期データが乏しく、詳細な保全評価にはさらなる調査が必要です。

観察のポイント

観察は主に南極クルーズや科学調査航海で行われます。穏やかな日よりには群れがボウライディングをすることがあり、黒白のコントラストで比較的見つけやすいですが、海況や季節によって出現は不規則です。研究者は遠隔からの写真撮影や音響観測、生体試料の採取を通じて生態の解明を進めています。

砂時計型イルカは極域の過酷な環境に適応した魅力的な種であり、生態の多くが未解明であるため今後の研究が期待されます。

質問と回答

Q: 砂時計型イルカとは何ですか?


A: 砂時計イルカは、他のイルカに比べて小さく幅が広いイルカの一種です。

Q:砂時計イルカはどこに住んでいるのですか?


A:砂時計イルカは南極の極寒の海域にしか生息していません。

Q: 科学者はどのようにして砂時計イルカについて初めて知りましたか?


A:1820年に砂時計イルカの絵が描かれたとき、科学者たちは初めて砂時計イルカのことを知りました。

Q: これまで何頭の砂時計イルカが科学者によって調査されましたか?


A: 科学者によって調査された砂時計イルカは6頭だけです。

Q: 砂時計イルカが生息する場所の平均水温はどのくらいですか?


A:砂時計イルカの生息する場所の平均水温は0.1~0.3度です。

Q:砂時計イルカは何を食べているのですか?


A:砂時計イルカは小魚や甲殻類、イカなどを食べると考えられています。円錐形の歯は甲殻類の殻を割るのに使われるようです。

Q: 砂時計型イルカが目撃された場所はどこですか?


A: ニュージーランドやチリの南部で目撃されたこともありますが、通常は南極周辺に生息しています。

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