過眠症とは?症状・原因・診断・治療をわかりやすく解説(ナルコレプシー含む)
過眠症の症状・原因・診断・治療を図解でわかりやすく解説。ナルコレプシーの違い・対処法まで、受診の目安も紹介。
過眠症とは、日中に異常な眠気(過度の傾眠)に襲われ、日常生活や仕事・学業に支障をきたす状態を指します。過眠症の人は短時間で眠ってしまったり、集中力が続かなかったりします。夜間に何度も目が覚めて寝付けない状態は不眠症であり、原因や治療が異なります。過眠症は睡眠障害の一つです。
どれくらい多いか(有病率)
過眠症の有病率は文献や定義によって差がありますが、日常的な強い眠気を訴える人は一般人口の数%に上ると報告されています。本記事の冒頭でも述べたように、約5%程度(20人に1人)という推定もありますが、正確な割合は調査条件によって変わります。
主な症状
- 日中の耐え難い眠気(過度の傾眠):会話中や仕事中、授業中に急に眠気が強くなる。
- 居眠りや短時間の睡眠(マイクロスリープ):意図しないまま短時間眠ってしまう。
- 長時間の夜間睡眠をとっても改善しない:十分寝たつもりでも日中の眠気が続く。
- ナルコレプシーを伴う場合は、カタプレキシー(感情による脱力)、入眠時幻覚(幻視)、睡眠麻痺(入眠時や覚醒時の動けない状態)などが見られます。ナルコレプシーは原発性過眠症の代表例です。
原因(原発性と二次性)
過眠症は原因により大きく2つに分けられます。
- 原発性過眠症:脳や神経系の機能異常に起因するもの。ナルコレプシー(特にヒポクレチン/オレキシンの不足によるもの)は代表的です。原発性は比較的まれです。
- 二次性過眠症:別の病気や状態、薬剤が原因で生じるもの。非常に多く見られます。例として:
診断の進め方
過眠症の診断はまず問診と睡眠歴の把握から始まります。医師は症状の発症時期、日常生活への影響、睡眠時間、生活習慣、服薬歴、アルコール・薬物の使用歴などを詳しく聞きます。以下の検査が使われます:
- 睡眠日誌・覚醒度評価尺度:エプワース眠気尺度(ESS)などで日中の眠気の程度を評価。
- ポリソムノグラフィー(睡眠ポリグラフ):一晩の睡眠を記録し、睡眠時無呼吸や周期的四肢運動などを調べる。
- 多眠潜時検査(MSLT):日中の眠気の客観的評価。短い仮眠を複数回行い、入眠までの時間や睡眠時のREM出現を測定する。ナルコレプシーの診断に有用(平均睡眠潜時が短い、睡眠時REMの出現など)。
- アクチグラフィー:数日〜数週間の睡眠・活動パターンを記録するデバイス。
- 血液検査や内科的精査:甲状腺機能、貧血、炎症反応、代謝異常などの有無を確認。
- 必要に応じて脳画像検査(MRI)や専門医(睡眠専門医、神経内科、精神科)への紹介を行います。
治療と対処法
治療は原因に応じて行います。生活改善だけで改善する場合もあれば、専門的な治療が必要な場合もあります。
- 生活習慣・睡眠衛生の改善
- 規則正しい睡眠スケジュールの確立(毎日同じ時間に就寝・起床)
- 日中の適度な運動、就寝前のカフェインやアルコールの制限
- 短時間の計画的な昼間の仮眠(パワーナップ)を取り入れることで日中の眠気を管理することがある
- 基礎疾患の治療:睡眠時無呼吸が原因であればCPAP(持続的気道陽圧法)や減量、マウスピースなどの治療が有効です。甲状腺疾患やうつ病が原因ならそれぞれの治療を行います。
- 薬物療法:過眠やナルコレプシーの症状に対しては以下の薬が用いられます(症状・合併症により選択)。
- 覚醒促進薬:モダフィニルやアモダフィニル、メチルフェニデート、アンフェタミン系(必要時)
- 新しい薬剤:ソリアムフェトール、ピトリサンチン(国や時期により利用可否が異なる)
- ナルコレプシー特有の治療:炭酸水素ナトリウムを含まないソディウムオキシベート(重度の過眠・カタプレキシーに有効)など
- カタプレキシーや入眠時幻覚には抗うつ薬(TCAs、SNRIs、SSRIなど)が用いられることがある
- 心理社会的支援・職場・学校での配慮:日中の眠気が仕事や学業に影響する場合、休憩の確保や勤務条件の見直し、通学・通勤時間帯の調整などの支援が有効です。
注意点・合併症
- 日中の強い眠気は交通事故や労働災害のリスクを高めます。運転や機械操作の安全確保が必要です。
- うつ病や不安障害など精神科的疾患を合併することがあり、包括的な評価が重要です。
- 薬剤による治療は長期管理が必要で、副作用や依存のリスクについて医師と十分に話し合ってください。
いつ受診すべきか(受診の目安)
- 日常生活や仕事・学業に支障が出ている強い日中の眠気が続く場合
- 短時間の睡眠で繰り返し居眠りしてしまう、または自分で眠気をコントロールできない場合
- カタプレキシー(感情で急に力が抜ける)、睡眠麻痺、入眠時幻覚などがある場合
- 睡眠時無呼吸の疑い(いびき、夜間の呼吸停止、起床時の頭痛など)がある場合
まずはかかりつけ医や睡眠外来に相談し、必要なら睡眠専門医の診察や検査を受けてください。受診前に睡眠日誌をつけると診断がスムーズになります。
まとめ
過眠症は「ただ眠い」だけでなく、生活や安全に重要な影響を与えることがあります。原因は多岐にわたり、適切な診断(問診、ポリソムノグラフィー、MSLTなど)を経て、基礎疾患の治療や生活改善、薬物療法を組み合わせて管理します。気になる症状が続く場合は専門医に相談してください。

過眠症として知られるナルコレプシーを患う10代の女性。
質問と回答
Q: 過眠症とは何ですか?
A: 過眠症とは、日中に異常な眠気が生じ、眠りやすくなる病態です。
Q: 不眠症は過眠症とどう違うのですか?
A: 不眠症は、夜通し眠ることができず、頻繁に目が覚めてしまう状態です。過眠症とは異なります。
Q: 過眠症はどのくらい一般的ですか?
A: 過眠症は人口の約5%、つまり20人に1人の割合で発症すると言われています。
Q: 睡眠時無呼吸症候群と過眠症はどのような関係がありますか?
A:睡眠時無呼吸症候群の方は、過眠症になることが多いようです。
Q: 原発性過眠症とは何ですか?
A: 一次性過眠症は、脳や神経系の問題によって引き起こされます。ナルコレプシーは、一次性過眠症の一例です。
Q: 二次性過眠症とは何ですか?
A: 二次性過眠症は、気分障害やてんかんなどの他の疾患や、特定の薬物によって引き起こされます。
Q: 一次性過眠症と二次性過眠症はどちらが多いですか?
A:二次性過眠症は、一次性過眠症よりも一般的です。
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