過眠症とは?症状・原因・診断・治療をわかりやすく解説(ナルコレプシー含む)

過眠症の症状・原因・診断・治療を図解でわかりやすく解説。ナルコレプシーの違い・対処法まで、受診の目安も紹介。

著者: Leandro Alegsa

過眠症とは、日中に異常な眠気(過度の傾眠)に襲われ、日常生活や仕事・学業に支障をきたす状態を指します。過眠症の人は短時間で眠ってしまったり、集中力が続かなかったりします。夜間に何度も目が覚めて寝付けない状態は不眠症であり、原因や治療が異なります。過眠症は睡眠障害の一つです。

どれくらい多いか(有病率)

過眠症の有病率は文献や定義によって差がありますが、日常的な強い眠気を訴える人は一般人口の数%に上ると報告されています。本記事の冒頭でも述べたように、約5%程度(20人に1人)という推定もありますが、正確な割合は調査条件によって変わります。

主な症状

  • 日中の耐え難い眠気(過度の傾眠):会話中や仕事中、授業中に急に眠気が強くなる。
  • 居眠りや短時間の睡眠(マイクロスリープ):意図しないまま短時間眠ってしまう。
  • 長時間の夜間睡眠をとっても改善しない:十分寝たつもりでも日中の眠気が続く。
  • ナルコレプシーを伴う場合は、カタプレキシー(感情による脱力)、入眠時幻覚(幻視)、睡眠麻痺(入眠時や覚醒時の動けない状態)などが見られます。ナルコレプシーは原発性過眠症の代表例です。

原因(原発性と二次性)

過眠症は原因により大きく2つに分けられます。

  • 原発性過眠症:脳や神経系の機能異常に起因するもの。ナルコレプシー(特にヒポクレチン/オレキシンの不足によるもの)は代表的です。原発性は比較的まれです。
  • 二次性過眠症:別の病気や状態、薬剤が原因で生じるもの。非常に多く見られます。例として:
    • 睡眠時無呼吸症候群(OSA):睡眠中の呼吸障害により睡眠が分断され、日中の強い眠気を生じることが多い。
    • 気分障害(うつ病など):うつ症状に伴う過眠や睡眠構造の変化。
    • てんかんや脳の外傷・炎症などの神経疾患、甲状腺機能低下などの内科的疾患。
    • アルコール・薬物や一部の薬物(睡眠薬、抗ヒスタミン薬、向精神薬など)による副作用。

診断の進め方

過眠症の診断はまず問診と睡眠歴の把握から始まります。医師は症状の発症時期、日常生活への影響、睡眠時間、生活習慣、服薬歴、アルコール・薬物の使用歴などを詳しく聞きます。以下の検査が使われます:

  • 睡眠日誌・覚醒度評価尺度:エプワース眠気尺度(ESS)などで日中の眠気の程度を評価。
  • ポリソムノグラフィー(睡眠ポリグラフ):一晩の睡眠を記録し、睡眠時無呼吸や周期的四肢運動などを調べる。
  • 多眠潜時検査(MSLT):日中の眠気の客観的評価。短い仮眠を複数回行い、入眠までの時間や睡眠時のREM出現を測定する。ナルコレプシーの診断に有用(平均睡眠潜時が短い、睡眠時REMの出現など)。
  • アクチグラフィー:数日〜数週間の睡眠・活動パターンを記録するデバイス。
  • 血液検査や内科的精査:甲状腺機能、貧血、炎症反応、代謝異常などの有無を確認。
  • 必要に応じて脳画像検査(MRI)や専門医(睡眠専門医、神経内科、精神科)への紹介を行います。

治療と対処法

治療は原因に応じて行います。生活改善だけで改善する場合もあれば、専門的な治療が必要な場合もあります。

  • 生活習慣・睡眠衛生の改善
    • 規則正しい睡眠スケジュールの確立(毎日同じ時間に就寝・起床)
    • 日中の適度な運動、就寝前のカフェインやアルコールの制限
    • 短時間の計画的な昼間の仮眠(パワーナップ)を取り入れることで日中の眠気を管理することがある
  • 基礎疾患の治療:睡眠時無呼吸が原因であればCPAP(持続的気道陽圧法)や減量、マウスピースなどの治療が有効です。甲状腺疾患やうつ病が原因ならそれぞれの治療を行います。
  • 薬物療法:過眠やナルコレプシーの症状に対しては以下の薬が用いられます(症状・合併症により選択)。
    • 覚醒促進薬:モダフィニルやアモダフィニル、メチルフェニデート、アンフェタミン系(必要時)
    • 新しい薬剤:ソリアムフェトール、ピトリサンチン(国や時期により利用可否が異なる)
    • ナルコレプシー特有の治療:炭酸水素ナトリウムを含まないソディウムオキシベート(重度の過眠・カタプレキシーに有効)など
    • カタプレキシーや入眠時幻覚には抗うつ薬(TCAs、SNRIs、SSRIなど)が用いられることがある
    注意:薬剤には副作用があり、個々の状況で適切な薬剤と用量を睡眠専門医や主治医と相談して決める必要があります。
  • 心理社会的支援・職場・学校での配慮:日中の眠気が仕事や学業に影響する場合、休憩の確保や勤務条件の見直し、通学・通勤時間帯の調整などの支援が有効です。

注意点・合併症

  • 日中の強い眠気は交通事故や労働災害のリスクを高めます。運転や機械操作の安全確保が必要です。
  • うつ病や不安障害など精神科的疾患を合併することがあり、包括的な評価が重要です。
  • 薬剤による治療は長期管理が必要で、副作用や依存のリスクについて医師と十分に話し合ってください。

いつ受診すべきか(受診の目安)

  • 日常生活や仕事・学業に支障が出ている強い日中の眠気が続く場合
  • 短時間の睡眠で繰り返し居眠りしてしまう、または自分で眠気をコントロールできない場合
  • カタプレキシー(感情で急に力が抜ける)、睡眠麻痺、入眠時幻覚などがある場合
  • 睡眠時無呼吸の疑い(いびき、夜間の呼吸停止、起床時の頭痛など)がある場合

まずはかかりつけ医や睡眠外来に相談し、必要なら睡眠専門医の診察や検査を受けてください。受診前に睡眠日誌をつけると診断がスムーズになります。

まとめ

過眠症は「ただ眠い」だけでなく、生活や安全に重要な影響を与えることがあります。原因は多岐にわたり、適切な診断(問診、ポリソムノグラフィー、MSLTなど)を経て、基礎疾患の治療や生活改善、薬物療法を組み合わせて管理します。気になる症状が続く場合は専門医に相談してください。

過眠症として知られるナルコレプシーを患う10代の女性。Zoom
過眠症として知られるナルコレプシーを患う10代の女性。

質問と回答

Q: 過眠症とは何ですか?


A: 過眠症とは、日中に異常な眠気が生じ、眠りやすくなる病態です。

Q: 不眠症は過眠症とどう違うのですか?


A: 不眠症は、夜通し眠ることができず、頻繁に目が覚めてしまう状態です。過眠症とは異なります。

Q: 過眠症はどのくらい一般的ですか?


A: 過眠症は人口の約5%、つまり20人に1人の割合で発症すると言われています。

Q: 睡眠時無呼吸症候群と過眠症はどのような関係がありますか?


A:睡眠時無呼吸症候群の方は、過眠症になることが多いようです。

Q: 原発性過眠症とは何ですか?


A: 一次性過眠症は、脳や神経系の問題によって引き起こされます。ナルコレプシーは、一次性過眠症の一例です。

Q: 二次性過眠症とは何ですか?


A: 二次性過眠症は、気分障害やてんかんなどの他の疾患や、特定の薬物によって引き起こされます。

Q: 一次性過眠症と二次性過眠症はどちらが多いですか?


A:二次性過眠症は、一次性過眠症よりも一般的です。


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