ケネリー=ヘヴィサイド層(E層)とは:電離層の定義とAM通信への影響

ケネリー=ヘヴィサイド層(E層)の定義と仕組み、AM通信への反射効果と実務的影響をわかりやすく解説。電波伝播と受信改善のポイントも紹介。

著者: Leandro Alegsa

ケネリー=ヘヴィサイド層(E層)は、アーサー・エドウィン・ケネリー(Arthur E. Kennelly)とオリバー・ヘヴィサイド(Oliver Heaviside)の名前にちなむ電離層の一部で、地表からおよそ90~150 kmの高度に存在する電離した大気層です。一般に「E層」と呼ばれ、太陽からの紫外線やX線によって大気分子が電離(電子と正イオンに分離)することで形成されます。

主な特徴

  • 高度範囲:約90~150 km(地域や時間によって変動)。
  • 電離と臨界周波数:電子密度がある値を超えると、その層で反射(厳密には屈折による臨界現象)が起きる周波数(臨界周波数 foE)が決まります。通常のfoEは数百 kHz 〜数 MHz 程度ですが、条件によって変動します。
  • 昼夜変動:日中は太陽放射で電離が強まり、夜間は弱まってE層の影響が減少することが多いです(夜は上位のF層が支配的)。
  • 太陽活動と季節性:太陽黒点や紫外線強度の変化、季節や緯度により電子密度や反射特性が変わります。
  • 突発的E(Sporadic E、Es):短時間に非常に強い局所的な電離領域が現れる現象で、VHF帯(30〜150 MHz など)まで電波を反射し、予期せぬ長距離伝搬や干渉を引き起こします。

電波伝搬のしくみ(簡潔に)

電離層は自由電子の存在により電磁波の屈折率が変わります。電波が電離層に入ると屈折し、その屈折が強まると地表へ戻され、地平線を越えた長距離伝搬(スカイウェーブ)が可能になります。これは単なる「鏡の反射」ではなく、連続的な屈折と臨界角での反射に近い作用です。

AM通信(中波帯)への影響

  • 昼間の伝播:中波(AM放送、約530–1700 kHz)は日中は主に地表波(グラウンドウェーブ)で伝わり、E層による反射の影響は限定的です。さらに下のD層が日中に存在すると低周波数の吸収が起こり、遠距離のスカイウェーブは抑制されます。
  • 夜間の伝播:夜になるとD層の吸収が減り、E層や上層のF層でのスカイウェーブ反射が起こりやすくなります。その結果、AM放送は夜間に数百〜数千キロ離れた地域で受信できるようになり、局間干渉(遠距離の同一周波数局による妨害)が生じやすくなります。
  • 突発的Eの影響:Esが発生すると中波からさらに高い周波数まで予期せぬ長距離伝搬が発生することがあり、短時間のフェーディングや混信を引き起こす場合があります。
  • 実務的対策:放送局や通信事業者は夜間放送の電力や周波数計画、周波数割当でこれらの電離層効果を考慮します。アマチュア無線家(DX愛好家)は夜間やEs期間を狙って遠方通信を楽しみます。

まとめと注意点

  • ケネリー=ヘヴィサイド層(E層)は90〜150 km付近の電離層で、日中の電離、季節・太陽活動による変動、そして突発的Eのような局所現象が特徴です。
  • AM(中波)通信では、昼間は地表波が中心、夜間はE層やF層を使ったスカイウェーブにより長距離伝播と混信が増えます。
  • 電離層の作用は単純な「鏡による反射」ではなく、屈折や臨界角に基づく現象である点に注意が必要です。

このようにE層は無線通信に大きな影響を与え、放送や通信の設計・運用、アマチュア無線の運用時間の選択などに重要な役割を果たします。



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