アルキメデス数(Ar)とは|粘性流体力学の定義・式・応用

アルキメデス数(Ar)の定義・導出式・粘性流体力学での応用を図解と計算例で分かりやすく解説。密度差と重力が流れに与える影響と実務活用法も紹介。

著者: Leandro Alegsa

アルキメデス数はギリシャのアルキメデスにちなんで命名されています。

粘性流体力学では、流体の運動が密度差によって影響を受ける場合にアルキメデス数(Ar)が用いられます。これは無次元数であり、粘性力に対する重力(浮力)力の比を表します。浮力駆動の流れ(自然対流、粒子の沈降・流動化など)を解析・スケーリングする際に重要な指標です。

定義と式

アルキメデス数 (Ar) の代表的な定義は次の通りです:

Ar = (g · (ρ_s − ρ_f) · L^3) / (ρ_f · ν^2)

  • g:重力加速度(m/s^2)
  • ρ_s:固相(例:粒子)の密度(kg/m^3)
  • ρ_f:流体の密度(kg/m^3)
  • L:代表長さ(例:粒子直径 d)(m)
  • ν:流体の動粘性係数(kinematic viscosity)(m^2/s)

簡潔に書けば、Ar = g·Δρ·L^3 / (ρ·ν^2) で、Δρ = ρ_s − ρ_f を表します。式の形は、熱膨張係数と温度差を用いるグラショフ数(Gr)に類似しています(Gr は g·β·ΔT·L^3/ν^2)。

物理的意味・解釈

  • Ar が大きい(≫1):重力(浮力)力が粘性力より支配的。粒子の沈降や慣性支配の流れが起きやすい。
  • Ar が小さい(≪1):粘性力が支配的で、緩やかな流れやストークス流(低レイノルズ数)に近い挙動になる。
  • Ar は粒子の大きさ・密度差・粘性の組合せをまとめた指標で、粒子終端速度の推定や流動化・沈降の境界判定に用いられます。

応用例

  • 粒子の沈降・終端速度の推定:多くの経験式や相関式は Ar を用いて粒子のレイノルズ数 Re_p や終端速度を与えます。低 Re 領域ではストークスの法則が使われますが、より高い Ar(大きな粒子や低粘性流体)では非線形な抵抗が支配します。
  • 流動層(fluidized bed)の設計:流動化開始や均一流動の条件評価に Ar を含む相関式を使うことがあります。
  • 自然対流の類推:温度差による密度差の代わりに直接の密度差を扱う場合、Gr の代わりに Ar を用いて類似解析を行えます。

関連無次元数

  • Grashof 数(Gr):熱膨張を伴う自然対流の指標。形式は Gr = g·β·ΔT·L^3/ν^2 で、Ar と数学的に類似。
  • Rayleigh 数(Ra):Ra = Gr·Pr(Pr はプラントル数)。熱対流の強さを評価する。
  • Reynolds 数(Re):慣性力と粘性力の比。粒子の挙動を記述する際、Ar と Re の関係(経験相関)が利用される。

数値例(簡単な計算)

例:水中で密度 ρ_s = 2500 kg/m^3 の粒子(直径 d = 1 mm)を考える。水の密度 ρ_f = 1000 kg/m^3、動粘性係数 ν = 1.0×10^−6 m^2/s、g = 9.81 m/s^2 とすると、

Δρ = 1500 kg/m^3、d^3 = (1.0×10^−3 m)^3 = 1.0×10^−9 m^3、ν^2 = 1.0×10^−12 m^4/s^2 より、

Ar = 9.81 × 1500 × 1.0×10^−9 / (1000 × 1.0×10^−12) ≒ 1.47×10^4

この値はかなり大きく、粘性力より重力(浮力)が支配的な領域であることを示します(沈降が速く、非線形な抵抗が重要)。

注意点

  • Ar は定義の仕方(代表長さ L の選び方や密度・粘性の評価方法)によって数値が変わるため、文献ごとの定義に注意してください。
  • Ar のみで流れのすべてが決まるわけではなく、Re やボルツマン数、粒子間相互作用など他の因子も重要です。

まとめると、アルキメデス数(Ar)は密度差に起因する浮力と粘性力の比を表す無次元数であり、粒子の沈降や流動化、自然対流のスケール解析に広く用いられます。

質問と回答

Q:アルキメデス数とは何ですか?


A:アルキメデス数とは、粘性流体力学において重力と粘性力の比を表すために用いられる無次元数です。

Q:アルキメデスとは誰ですか?


A:アルキメデスは紀元前3世紀に生きたギリシャの数学者であり科学者です。

Q:Arは何を表すのですか?


A:Arは粘性流体力学における重力と粘性力の比を表しています。

Q:Arと他の変数との関係は?


A:Arと他の変数との関係は、gL3ρℓ(ρ-ρℓ)/μ2(gは重力、Lは長さ、ρℓは液体の密度、ρは密度、μは粘性)の形をしています。

Q:Arはどのように使われるのか?


A:密度差によって流体の運動が影響を受ける場合、Arを利用することができます。


Q:Arを計算することは可能ですか?


A:はい、重力、長さ、密度、粘度が既知の場合、上記の式でArを算出することができます。


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