キルタル山脈(パキスタン):地理・地形とキルタル国立公園の概要
キルタル山脈(パキスタン)の地理・地形、保護区としてのキルタル国立公園の野生動物や観光見どころを分かりやすく解説。
キルタル山脈はパキスタンのバロチスタン州とシンド州にある。この山脈は、バロチスタン中東部のムラ川から、アラビア海に面するカラチのムバラク村近くのモンゼ岬(ムアリ)まで、約190マイル(300km)南下しています。
キルタル国立公園は、パキスタンのシンド州にある主要な野生動物保護区のひとつです。キルタル山脈は、東のインダス平原と西のバローチスターン南部の境界を形成しています。南は標高4,000フィート(1,200m)から北は8,000フィート(2,500m)近くまで、岩山が平行に連なる尾根を形成しています。
地理・地形の特徴
キルタル山脈は南北に延びる乾燥した山地で、急峻な尾根と谷(nallah)からなります。地質は主に石灰岩や砂岩などの堆積岩が占め、浸食による断崖や台地、石灰岩地形に由来する小さな洞窟や裂け目が見られます。山脈北部はより高く冷涼で、南部は低く海に近いため気候や植生に段差があります。
気候と植生
- 気候:全体として半乾燥〜乾燥性で、夏は非常に高温、冬は山地で冷涼になります。降水は少なく、季節的なにわか雨やモンスーンの弱い影響、そして西からの前線(ウェスタン・ディスト―バンス)により断続的に降る程度です。
- 植生:乾燥に強い低木草本のステップ的植生が主体で、アカシア類やバラ科低木、砂漠性の草本、乾燥地に強い多肉植物などが分布します。峡谷や湧水点周辺には比較的豊かな遷移植生が見られ、季節的に緑が戻ります。
生物多様性(動植物)
キルタル山脈および国立公園は、乾燥地域特有の哺乳類・鳥類・爬虫類の重要な生息地です。特に以下の種が知られています:
- シンド・アイベックス(Sindh ibex):山岳地帯を代表する種で、急斜面での生息が確認されています。
- チンカーラ(インドガゼル)や小型有蹄類:開けた場所や谷間で見られます。
- 肉食獣類:インドオオカミ、シマハイエナ、ゴールデンジャッカルなどが生息し、カラカルや希にヒョウの存在が報告されることもあります(個体数は少ない)。
- 鳥類:猛禽類(ワシ類・タカ類)、砂漠・半砂漠性の渡り鳥や留鳥が観察されます。乾いた谷間の水たまりは渡りの中継点になります。
- 爬虫類:多様なトカゲ類や蛇類が棲息し、乾燥適応種が多いです。
キルタル国立公園の概要と保全
キルタル国立公園は、キルタル山脈の主要部分を保護するために設定された保護区で、パキスタン国内でも重要な自然保護地域の一つです。公園は広大な面積を占め、山地と谷、いくつかの湧水や乾季の水源を包含します。ゴラク(Gorakh)ヒルズなど、公園周辺には標高が高く観光地となっている地域もあります。
保全面では、以下の課題と取組みが挙げられます:
- 課題:密猟・違法狩猟、過放牧、水資源の不足、農地拡大や採掘開発による生息地破壊、外来植物の侵入、住民との人獣衝突など。
- 対策と取組み:監視・巡回の強化、地域住民との協働による保全活動、環境教育、持続可能な利用(例:管理された放牧地の設定)やエコツーリズムの誘導などが進められています。
アクセスと観光情報
最寄りの大都市はカラチで、都市部から車で数時間の距離です。公園内や周辺には日帰りや簡易宿泊が可能な地点があり、ゴラク・ヒルズのような標高の高い地区は特に気候が涼しく景観も良いため観光客に人気です。ただし公園内は乾燥で水が限られるため、訪問時は十分な準備と地元当局への連絡が必要です。
まとめ
キルタル山脈とキルタル国立公園は、パキスタン南部の乾燥山地生態系を代表する地域であり、独自の地形・生物多様性を有しています。保全活動と地域社会の協力を通じて、重要な野生生物の保護と持続可能な地域利用の両立が求められています。

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