ララとは モロッコのアマジー族で用いられる女性の敬称と由来

ララとは何かを解説 モロッコのアマジー族で用いられる女性敬称の歴史と由来を紐解き 貴族やムハンマドの子孫との関係や社会的役割を分かりやすく紹介

著者: Leandro Alegsa

ララ(ベルベル語:ⵍⴰ)は、モロッコを中心とする北アフリカのアマジー(アマジーグ、ベルベル)社会で用いられる女性への敬称です。一般に名前や個人名の接頭辞として用いられ、名前の前につけて呼ぶことで、貴族や王族出身の女性、あるいは年長や尊敬すべき女性に対する敬意を示します。とくに、ムハンマドの子孫とされる女性に対して使われることがあり、その場合は高い敬意を伴います。同様に、ムハンマドの子孫とされる男性はシディ(Sidi)やより格式の高い称号であるムーレイ(Moulay)と呼ばれます。

用法と社会的意味

ララは日常的な敬称としても用いられ、年長女性や地域の有力者の妻、あるいは聖者(女性の聖人)を指す場面でも見られます。モロッコでは宮廷や公的場面での正式な称号として、また親しみを込めた呼び方としても使われます。西洋語での「Lady」や英語圏の「Mrs./Madam」に近い機能を持ちますが、宗教的・血統的な意味合いが強い場合もある点が特徴です。

地名・聖地との結びつき

モロッコ各地には「ララ」を冠した地名や聖廟(マウソレウム)、湧水、祭礼の場が多数あり、地域の女性聖人の墓や祈祷の場が「Lalla ~」の名で呼ばれることが多いです。これらの場所は地元住民から敬意を込めて守られており、巡礼や祭礼の対象となることがあります。

由来(語源)

ララの語源については諸説あります。アマジー語(ベルベル語)由来とする見方、あるいはアラビア語圏の敬称と影響し合って形成されたという見方があり、はっきりとした単一の起源は確定していません。いずれにせよ、長い歴史を通じて北アフリカの社会文化に定着した敬称です。

実例と現代の使われ方

  • 王族や上流階級の女性に対する公式な敬称(例:王妃や王族の一部は公的文書や報道で「Lalla + 名前」と表記される)。
  • 地域の有力女性や年長の女性への尊称として日常的に使用。
  • 女性の聖人(聖女)の墓所や聖地の名前として地名化。

以上のように、ララは単なる敬称を越えて、血統・宗教・地域社会の敬意や身分を示す文化的なシンボルとなっています。用法や意味合いは文脈や地域によって変わるため、呼びかけや表現を使う際は相手や場面に配慮することが重要です。



百科事典を検索する
AlegsaOnline.com - 2020 / 2025 - License CC3