ピサの斜塔(鐘楼)とは:歴史・構造・傾斜と修復の概要

ピサの斜塔の歴史、構造、傾斜の原因と修復の詳細を年表・写真でわかりやすく解説。

著者: Leandro Alegsa

ピサの斜塔は、イタリアのピサにある建物です。鐘楼であり、垂直ではないことで世界的に有名です。1990年頃には約5.5度傾いており、倒壊の危険性が高まったため長期にわたる保存・補強工事が行われました。塔は1990年に一般公開を一時中止され、修復工事の後に再開されました。最後の足場は2011年4月26日に取り外され、外観を完全に見ることができるようになりました。

基本データ

塔の地上からの高さは約56メートル、重量は約14,500トンと推定されます。内部には294段の階段があり、頂上の鐘楼へと続きます。かつての最大傾斜は約5.5度でしたが、修復の結果、現在の傾斜は約3.99度程度にまで戻されています。

歴史と建設経緯

塔の建設は1173年に始まりました。建設は数度にわたって中断され、約100年に及ぶ長期工程の中で徐々に完成に近づきました。初期の工事で地盤沈下が発生し、1178年ごろに塔が傾き始めたと記録されています。建設の遅れは、当時のピサ共和国が近隣都市(ジェノバ、ルッカ、フィレンツェなど)と度重なる紛争に巻き込まれていたことも一因です。

構造と建築様式

斜塔はピサの大聖堂(ドゥオモ)の鐘楼(カンパニーレ)として設計され、ピサ・ロマネスク様式の典型的な要素を備えています。円柱やアーケードが連なる外観、白い大理石が用いられている点が特徴です。基礎は浅く、約3メートルほどの深さしかないため、柔らかい地盤との相性が悪く、これが傾斜の主な原因となりました。塔には複数の鐘があり、伝統的に7つの鐘が音階に合わせて設置されているとされています(歴史的に配置や数に変化あり)。

傾斜の原因

  • 軟弱な地盤:塔が建つ場所は、粘土や砂、海底堆積物などで構成された軟らかい地盤であり、均一でない支持力のために一方へ沈下が生じました。
  • 浅い基礎:基礎の深さが小さく、地盤の不均一な沈下に対して十分な抵抗力がありませんでした。
  • 段階的な建設:建設が何十年もかかったため、異なる時期に生じた荷重や地盤条件の変化が影響しました。

修復と安定化の取り組み

20世紀後半から21世紀初頭にかけて、斜塔の倒壊防止・安定化を目的とした大規模な保存工事が実施されました。主な対策は次の通りです。

  • 引張ケーブルによる仮固定:鋼製ケーブルで塔を一時的に固定し、作業中の安全を確保しました。
  • 鉛の対抗錘:一時的に塔の高い側に鉛の重しを置いて傾きを抑える工法が使われました。
  • 地盤改良(除土法):最終的には、塔の低い側地下から土を慎重に除去することで、塔をわずかに戻す「土壌抽出」工法が採用され、効果的に傾斜が軽減されました。

これらの工事により、塔は安定化し、長期保存が可能と判断されて再び一般公開されました。多くの専門家チーム(考古学者、構造工学者、保存修復専門家など)が国際的に協力して施工されました。

ガリレオの逸話について

ガリレオ・ガリレイがピサの斜塔から物体を落として自由落下の法則を示したという話は広く知られていますが、この出来事が実際に行われたかどうかは歴史的に議論の余地があります。ガリレオ自身が著作で同様の実験を示唆しているものの、直接的な一次資料は十分でないため、伝説的なエピソードとして伝えられることが多いです。

文化的意義と見学

ピサの斜塔はピサ大聖堂と洗礼堂を含む「奇跡の広場(Piazza dei Miracoli)」の中心的存在で、1987年にユネスコの世界遺産に登録されました。観光客にとっては象徴的な建築物であり、写真の被写体としても人気があります。塔内部への入場は安全管理のため人数制限や時間予約が行われることが多く、狭い階段や急な段差があるため、見学に際しては注意と体力が必要です。

以上がピサの斜塔(鐘楼)についての概要です。保存と修復の努力により、斜塔は今後も歴史的・文化的価値を保ちながら観光資源として公開され続ける見込みです。

質問と回答

Q: ピサの斜塔とは何ですか?


A: ピサの斜塔は、イタリア・ピサにある鐘楼です。

Q:なぜ有名なのですか?


A:この塔が有名なのは、垂直ではなく、斜めに傾いているためです。

Q:1990年当時、塔はどのくらい傾いていたのですか?


A: 1990年には5.5度傾いていました。

Q: タワーが完全に倒れるのを防ぐために、どのようなことが行われたのですか?


A: 多くの修復作業が行われ、20年間、塔の周りに足場が組まれました。

Q: タワーから足場が外されたのはいつですか?


A: 2011年4月26日に足場が撤去されました。

Q: タワーには何段の階段がありますか?


A: タワーには294段の階段があります。

Q: なぜタワーは傾き始めたのですか?


A: 2階を建てるときに塔が傾き始めたのは、軟弱地盤に3mの小さな基礎を置いていたためで、これは設計上の問題でした。


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