加線(五線譜で範囲外の高低音を示す短い補助線)

加線(ledger line)は、音符の高さが高すぎたり低すぎたりして、五線譜のどの線にも乗せられない音を正確に表すために楽譜に引かれる短い補助線です。五線の線と平行に、音符より少し長めの短い線を引き、その線上またはその上・下のスペースに音符の頭(または音符全体)を配置します。加線は五線と同じ間隔で引かれ、見た目や読みやすさを保つように細く描かれるのが一般的です。

書き方と実際の使い方

  • 加線は通常、音符の中心を貫く位置に引かれる。上側の加線は音符の真ん中を横切り、下側の加線も同様に音符の中央付近を通る。
  • 加線の長さは音符の頭よりわずかに長く、五線の線と視覚的に整合するように揃えられる。あまり短すぎると読みにくく、長すぎると混乱を招く。
  • 和音(複数の音を同時に示す記譜)の場合、必要に応じて複数の加線を各音に対して使うが、できるだけ整然と並べることが重要。
  • 通常、加線は1~2本なら自然に読めるが、3~4本以上になると読みづらくなるため、実務上は避けることが多いです。

代替方法と実務上の注意

加線が多くなる場合は、別の記譜法を使う方が望ましいです。たとえば、低音域と高音域で読みやすさを確保するために音部記号を変えることがよく行われます。もう一つの一般的な手段は「8ヴァ」記号(「オッタヴァ」記号)などのオクターヴ記号を使う方法で、記号が五線の上に付くとその音は1オクターブ高く、五線の下に付くと1オクターブ低く演奏することを意味します。さらに極端な高さや低さを示す場合、二度のオクターブを示す「15ma(15ヴァ)」なども用いられます。

実際の作曲・編曲では、読み手(演奏者)の利便性を優先して加線の本数を最小限にし、必要ならば音部記号を変えるかオクターヴ記号を使って記譜するのが一般的です。また、印刷や配布を前提とする場合は、加線の太さや間隔、音符のサイズを適切に調整して視認性を確保することが重要です。

補足

  • 装飾音や装置音(トリルやグリッサンド)などで一時的に極端に高低の音を示す場合は、短い加線を使用することが多い。
  • 歴史的な楽譜や特殊な楽器表記では、加線の使い方に流儀の違いが見られることがある。
  • 楽譜ソフトやワープロで加線を自動生成する場合、設定によって加線の長さや位置を調整できるので、最終的な見栄えを確認してから印刷・配布することをおすすめします。
例 このAマイナースケールの下降は、最初は五線譜にフィットしますが、6番目の音(Middle C)は、1つの導線が必要です。次の音(B)はその下のスペースに、最後の音(A)は2つの導線が必要です。Zoom
例 このAマイナースケールの下降は、最初は五線譜にフィットしますが、6番目の音(Middle C)は、1つの導線が必要です。次の音(B)はその下のスペースに、最後の音(A)は2つの導線が必要です。

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