MATEとは — GNOME 2 ベースの Linux デスクトップ環境の解説
GNOME 2 を継承する軽快で伝統的な Linux デスクトップ MATE の特徴、導入法、カスタマイズと互換性を分かりやすく解説。
MATEはLinuxのデスクトップ環境で、古いバージョンのデスクトップ環境である GNOME の「GNOME 2」をベースにしたフォークです。多くの Linux コミュニティの人々は GNOME 3(GNOME Shell)の見た目やワークフローを好まず、従来の GNOME 2 スタイルのデスクトップを求めていました。そのため、既存の GNOME の一部プログラムから機能を分岐(フォーク)して維持する必要が生じ、これが MATE の成り立ちにつながりました。Arch Linux ユーザーが作った MATE は、南アメリカ原産の植物「Yerba Mate」とそこから作られるお茶「mate」にちなんで名付けられています。
特徴
- 従来のGNOME2の見た目と操作感:クラシックなパネル、メニュー、システムトレイなど、GNOME 2 に慣れたユーザーに親しみやすい。
 - 軽量で安定:比較的リソース消費が少なく、古いハードウェアや低スペック環境にも向く。
 - 高いカスタマイズ性:パネルやアプレットの配置、テーマやアイコンの切り替えが容易。
 - モジュール式の構成:ファイルマネージャやテキストエディタ、ウィンドウマネージャなどが独立したコンポーネントとして提供され、必要なものだけを導入できる。
 - オープンソースで継続開発:コミュニティ中心でメンテナンス・改善が続けられている。
 
主なコンポーネント(代表例)
- caja — ファイルマネージャ(Nautilus のフォーク)
 - marco — ウィンドウマネージャ(Metacity のフォーク)
 - mate-panel — 上下のパネルやアプレットを管理
 - pluma — テキストエディタ(gedit のフォーク)
 - atril — ドキュメントビューア(Evince のフォーク)
 - mate-terminal — ターミナルエミュレータ
 
歴史と技術的経緯
- MATE は GNOME 3 の導入で従来の GNOME 2 スタイルが失われたことに反応して登場しました。当初は GTK+ 2 を使って実装されていましたが、その後の互換性向上やテーマ対応のために GTK+ 3 へ段階的に移行が行われています。
 - 各コンポーネントは GNOME の対応するアプリケーションをフォークして独自に保守・改良されており、古い使い勝手を残しつつ現代のライブラリや環境にも合わせられています。
 
どのディストリビューションで使えるか
多くの主要ディストリビューションで MATE を公式またはコミュニティスピンとして提供しています。例として、Linux Mint(MATE エディション)、Ubuntu MATE、Fedora の MATE スピンなどがあり、Arch Linux や Manjaro、Debian でもパッケージが整備されています。
インストールの概略
- 各ディストリビューションのパッケージ管理システムから導入できます(パッケージ名はディストリごとに異なります)。
 - Ubuntu 系では「ubuntu-mate-desktop」や「mate-desktop-environment」というパッケージ名が用意されていることが多く、Arch 系ではグループ「mate」「mate-extra」が使われます。
 - 導入後はログイン画面でセッションに「MATE」を選択して起動します。
 
長所と短所(参考)
- 長所:使い慣れた伝統的なデスクトップ、軽量、高い安定性とカスタマイズ性。
 - 短所:モダンな統合機能(例:GNOME Shell の拡張機能や一部の最新ユースケース)には対応しない場合がある。テーマやアプリ間の見た目の統一で手作業が必要になることもある。
 
コミュニティとライセンス
MATE はオープンソースプロジェクトで、主にGPL やその他のフリーソフトウェアライセンスで配布されています。世界中の開発者や各ディストリビューションのメンテナが貢献しており、ユーザーからのフィードバックやパッチも活発に受け入れられています。
まとめ
MATE は「安定性」「軽さ」「慣れ親しんだ操作感」を重視するユーザーに向いたデスクトップ環境です。古い GNOME 2 の操作性を保ちつつ現代の Linux 環境でも問題なく動作するようメンテナンスが続けられており、特にリソースの限られたマシンや、従来のデスクトップ操作を好むユーザーに適しています。
付属するプログラム
MATE には GNOME の古典的なプログラムからフォークされたプログラムが付属し ており、それらは GNOME にあったときとあまり変わっていません。中には GNOME のプログラムを元にしているのではなく、ゼロから作られたものもあります。フォークされたプログラムは、MATE 自体と同じようにスペイン語で名付けられました。
- カハ(箱)-(ノーチラス社より)
 - Pluma(羽ペン) - テキストの変更と表示(Geditから)
 - Eye of MATE - 画像ファイルを見る (Eye of GNOME から)
 - アトリル(演台) - 資料の閲覧(エヴィンスより)
 - Engrampa(ステープル) - デジタルアーカイブを開く、変更する(ファイルローラーより)
 - MATE Terminal - コマンドプロンプトまたはコンソール (GNOME Terminalから)
 - Marco (フレーム) - ウィンドウマネージャ (Metacity から)
 
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