ミート・ミー・イン・セントルイス(1944年)—ジュディ・ガーランド主演の名作ミュージカル映画
1944年の名作ミュージカル『ミート・ミー・イン・セントルイス』を詳解。ジュディ・ガーランドの名歌「The Trolley Song」「Have Yourself a Merry Little Christmas」、ミネリ監督の夢幻的演出と受賞・保存の栄誉を紹介。
『ミート・ミー・イン・セントルイス』は1944年のMGMミュージカル映画です。物語は1904年のルイジアナ購入博覧会(セントルイス万国博覧会)を控えたミズーリ州セントルイスに暮らす一家の一年間を描いています。主演はジュディ・ガーランドとマーガレット・オブライエンで、ガーランドは「The Trolley Song」と「Have Yourself a Merry Little Christmas」を歌い、両曲とも映画とともに広く愛されるヒットになりました。
あらすじ
物語は1903年から1904年にかけての季節の移り変わりを背景に、スミス一家(母、父、そして四人の娘たち)が日常の喜びや恋、将来に揺れる様子を家庭の細やかな視点で描きます。長女の恋や次女の独立心、末娘の無邪気さなど、家族それぞれの出来事を通して当時のアメリカ中産階級の生活や風俗が温かく、時にユーモラスに表現されています。クライマックスは万国博覧会をめぐる出来事で、家族の将来を左右する選択が迫られます。
キャストとスタッフ
- 監督:ヴィンセンテ・ミネリ(Vincente Minnelli)。撮影現場で主演のジュディ・ガーランドと出会い、その後結婚しました。
- 主演:ジュディ・ガーランド(娘の一人を演じ、圧倒的な歌唱と演技で作品の中心となる)
- 共演:マーガレット・オブライエン ほか
原作と脚本
この映画はサリー・ベンソンの一連の短編小説を原作としています。これらの物語は元々ニューヨーカー誌に掲載され、その後まとめて5135ケンジントンのタイトルで刊行されました。映画化にあたり、原作の家庭的でノスタルジックなトーンを活かしつつ、ミュージカルとしての舞台演出や楽曲が強調されています。
楽曲
サウンドトラックは映画の魅力を決定づける重要な要素です。特に以下の楽曲が広く知られています:
- The Trolley Song — 力強いリズムと印象的な振付で人気を博しました。
- Have Yourself a Merry Little Christmas — 映画の一場面で歌われたこの曲は、クリスマスの定番歌として世界中で歌い継がれています。
評価・受賞・遺産
批評家からは当時より高い評価を受け、今日でもアメリカ映画ミュージカルの傑作として評価されています。リチャード・シッケルは2005年に本作について、「素晴らしい楽曲とジュディ・ガーランドによる甘く神経質になりすぎない演技があり、ノスタルジックな魅力に加えて、ミネリはところどころ夢のようでシュールな影を差し込み、この作品は多くの人にとってアメリカ映画ミュージカルの最高傑作の一つであり続けている」と評しています。
アカデミー賞では、本作は複数の部門でノミネートされました。1994年には米国議会図書館によって重要文化財として選ばれ、米国国立フィルム登録簿(National Film Registry)に保存されることが決まりました。
アメリカン・フィルム・インスティテュート(AFI)は本作を「最も偉大な映画ミュージカル」ベストテンにランクインさせています。また映画からの2曲がAFIの100 Years...100 Songsリストに選出され、26位に「The Trolley Song」、76位に「Have Yourself a Merry Little Christmas」がランクインしました。
影響と今日的意義
『ミート・ミー・イン・セントルイス』は、家族の物語と季節感を巧みに織り込んだ脚本、印象的な楽曲、そしてジュディ・ガーランドの象徴的なパフォーマンスにより、世代を超えて支持されています。映像美や舞台設計、振付も高く評価され、後世のミュージカル映画や舞台作品に影響を与え続けています。
本項では主要なポイントを概説しましたが、作品の細部や楽曲の背景、各キャストの演技や制作の舞台裏についてはさらに多くの資料や評論が存在します。興味があれば、当時のレビューや制作ノート、音楽関係の研究も参照してください。
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