慣性モーメント(角質量 kg·m²)とは:定義・単位・計算式と例
慣性モーメント(角質量)とは何かを定義・単位・計算式と具体例で分かりやすく解説。公式の導出や応用例、単位変換も網羅。
慣性モーメント(I {displaystyle I} )は、「角質量」(kg-m2 )とも呼ばれ、回転体の回転に対する慣性のことである。
回転体の角加速度または減速度に対する抵抗で、質量と回転軸からの垂直距離の2乗の積に等しい。
定義と基本式
慣性モーメント I は、質量分布と回転軸からの距離によって決まります。離散質点系では次の式で表されます:
I = Σ mi ri2
連続体の場合は積分で表します:
I = ∫ r² dm
ここで r は各質量要素から回転軸までの垂直距離、dm はその質量要素です。密度が一様な場合は dm = ρ dV を用いて体積要素ごとに積分します。
単位と次元
- SI単位は kg·m²(キログラム・平方メートル)。
- 次元は [M][L²](質量×長さ²)です。
- 慣性モーメントは力学的には「回転に対する慣性の度合い」を表し、トルク τ と角加速度 α の関係は τ = I α で与えられます。
代表的な形状の慣性モーメント(回転軸が図示の中心軸または明記した軸)
- 細長い均質棒(長さ L)を中心軸(棒の中点、軸は棒に垂直)で回す: I = (1/12) m L²
- 同じ棒を端点を軸に回す(剛体回転の平行軸の定理適用): I = (1/3) m L²
- 一様な円筒(軸方向回転、半径 R、質量 m): I = (1/2) m R²
- 薄い円環・薄い円筒(質量が半径付近に集中): I = m R²
- 一様な球(中心回転、半径 R、質量 m): I = (2/5) m R²
- 薄い球殻(中心回転): I = (2/3) m R²
- 長方形板(辺 a, b、中心を貫く垂直軸): I = (1/12) m (a² + b²)
並進との類似と回転エネルギー
慣性モーメントは回転運動における「質量」の役割を果たします。運動エネルギーは次の式で与えられます:
回転エネルギー = (1/2) I ω²
ここで ω は角速度です。これにより、同じ角速度でも慣性モーメントが大きいほどエネルギーが大きくなります。
平行軸の定理(シュタインヘルの定理)
慣性モーメントは軸の位置に依存します。ある物体の重心を通る軸に対する慣性モーメント ICM が分かっているとき、重心から距離 d 離れた平行な軸に対する慣性モーメント I は:
I = ICM + m d²
(m は物体全体の質量)
計算例
- 離散点の例:質量 2 kg の点が軸から 0.5 m、質量 3 kg の点が軸から 1.0 m の位置にある場合、
I = 2×0.5² + 3×1.0² = 2×0.25 + 3×1 = 0.5 + 3 = 3.5 kg·m² - 連続体の例:質量 5 kg、半径 0.2 m の一様な円筒(中心軸まわり)では
I = (1/2) m R² = 0.5 × 5 × 0.2² = 0.5 × 5 × 0.04 = 0.1 kg·m²
実務上の注意点
- 距離 r は必ず回転軸に対する「垂直距離」を使うこと(軸方向の成分は寄与しない)。
- 質量分布が非一様な場合は密度分布 ρ(r) を用いて積分する必要がある。dm の表現を正しく選ぶこと。
- 形状や軸の取り方により値が大きく変わるため、軸位置の明示が重要。
慣性モーメントは回転機械設計、振動解析、ロボットアームの制御など多くの分野で重要な量です。適切な式や定理を用いて計算・概算を行うことで、力学系の挙動を正確に予測できます。
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アイススケート選手の角運動量は保存される。手足を縮めると慣性モーメントが減少するが、それを補うように角速度が増加する。
関連ページ
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質問と回答
Q: 慣性モーメントとは何ですか?
A: 慣性モーメントとは、回転体の回転に対する慣性のことです。
Q: 慣性モーメントの別名は何ですか?
A: 慣性モーメントの別名は「角質量」です。
Q:慣性モーメントの測定単位は何ですか?
A:慣性モーメントの単位はkg-m2です。
Q: 慣性モーメントの意味は何ですか?
A:慣性モーメントは、回転体の角度の加速・減速に対する抵抗力を表します。
Q: 慣性モーメントの計算式は?
A: 慣性モーメントの計算式は、I = mr^2 です。ここで、m は回転体の質量、r は回転軸に垂直に測った半径です。
Q: 質量は慣性モーメントにどのような影響を与えるのですか?
A: 回転体の質量は、慣性モーメントの計算式の一部であるため、慣性モーメントに直接影響します。
Q: 半径は慣性モーメントにどのような影響を与えますか?
A: 回転体の半径は、慣性モーメントの計算式でその値の2乗を乗じるので、間接的に慣性モーメントに影響を与えます。
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