マウント・バーノン(ジョージ・ワシントン邸) — 歴史・建築・概要
マウント・バーノン(ジョージ・ワシントン邸)の歴史・建築・見どころを詳解。ジョージアン様式や遺産登録、保存活動、見学・アクセス情報まで観光の魅力を紹介。
マウント・バーノンは、アメリカの初代大統領ジョージ・ワシントンのプランテーションである。バージニア州アレクサンドリアの近く、ポトマック川のほとりに位置しており、ワシントン自身が設計に携わりながら、1757年に木造で建てられた主要な居住部を起点として拡張・改修が行われてきました。建物は新古典主義の要素を取り入れたジョージアン建築様式を基調としており、河岸側に面した広いポーチ(ピアッツァ)や対称性のある外観などが特徴です。1960年に国定歴史建造物(National Historic Landmark)に指定され、国家歴史登録財にも登録されています。現在はThe Mount Vernon Ladies' Associationが所有し、管理・保存を行っており、年間を通して一般公開されています。マウント・バーノンは米国の世界遺産暫定リストにも登録されています。
歴史
この土地はもともと「リトル・ハンティング・クリーク・プランテーション」と呼ばれていましたが、ジョージの異母兄ローレンス・ワシントンが、英国海軍の司令官エドワード・バーノンにちなんで名称を改め「マウント・バーノン」としました。ローレンスは1753年に亡くなり、最終的にジョージがこの地を相続して以降、居館や庭園、付属建物の整備・拡張を続け、ライフワークとしての農園経営と設計改良を行いました。ワシントンは軍人、政治家としての活動の合間にもこの地を拠点とし、独立戦争や大統領在任中の関係者の往来、外交的な接待などにも使われました。
建築の特徴
マウント・バーノンの邸宅は、典型的なジョージアン様式の対称性を保ちつつ、木造の細部装飾やヴェランダ(ピアッツァ)など南部植民地の気候に合わせた設計が見られます。内部にはワシントン一家の居室や応接間、書斎、食堂などがあり、当時の家具や調度品が配置されています。屋敷周辺には温室、製粉所、厩舎、アイスハウス、作業小屋などの付属建物が残り、プランテーションの機能的な配置を今に伝えています。
プランテーションと奴隷制
マウント・バーノンは単なる邸宅ではなく、広大な農園として稼働していました。労働力の多くは奴隷に依存しており、耕作、家事、建築、製粉や漁業など多岐にわたる仕事を担っていました。ワシントン自身の奴隷に対する態度は生涯を通じて変化が見られ、晩年には奴隷制度に対する見直しを示唆する記録も残されています。ワシントンは自身が所有していた奴隷の多くを遺言によって解放することを定めましたが、マーサの持参奴隷(ダウアー・スレーヴと呼ばれるもの)の多くは解放対象とならず、複雑な法的・社会的背景がありました。現在、マウント・バーノンでは奴隷の生活や労働を再評価し、奴隷墓地や出土資料、文献に基づく展示と教育プログラムを通じてその歴史を伝えています。
保存と公開
19世紀中頃、開発の危機に瀕したマウント・バーノンを救ったのは民間の女性有志によるThe Mount Vernon Ladies' Associationでした。協会は1858年に邸宅と周辺地を取得し、その後保存・修復と管理を継続してきました。これはアメリカにおける初期の大規模な歴史保存運動の一つであり、今日まで邸宅と博物館、庭園の管理運営を行っています。館内ではワシントンの遺品、書簡、家具、武具類のコレクションが展示され、ガイドツアーや教育プログラム、特別展が年間を通して開催されています。
墓所・コレクション・研究
ジョージ・ワシントンとその妻マーサの墓所は敷地内にあり、多くの訪問者が訪れる場所です。また、邸宅や付属建物の発掘調査や保存修復が継続して行われており、出土資料や文献史料に基づく学術研究も盛んです。展示収蔵品には当時の生活用品、農具、軍装、肖像画や書簡などが含まれ、ワシントン個人の生活だけでなく18世紀の植民地社会を知る上で貴重な資料群となっています。
訪問案内と意義
現在、マウント・バーノンは一般公開されており、年中無休(季節による開館時間の変動あり)で見学が可能です。敷地内にはビジターセンター、博物館、ガーデン、カフェテリア、ギフトショップなどの施設が整備されています。訪問前には公式サイトや案内で開館情報、チケット、アクセス方法を確認することをおすすめします。マウント・バーノンはアメリカ建国期の重要人物の暮らしと思想、植民地・初期合衆国の社会構造を学べる場として国内外から高い評価を受けており、保存活動の先駆例としても歴史的意義が大きい場所です。


マウントバーノン
ギャラリー
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ポトマック川に面した東側ファサード
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ポトマックから見た家と敷地
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質問と回答
Q: マウント・バーノンに住んでいたのは誰ですか?
A: ジョージ・ワシントン(初代アメリカ合衆国大統領)はマウント・バーノンに住んでいました。
Q:マウントバーノンはどこにあるのですか?
A: バージニア州のアレクサンドリア近郊にあります。
Q: バーノン山はどのように設計されたのですか?
A: バーノン山は、ジョージ・ワシントンが設計し、1757年に新古典主義のジョージアン建築様式で木造で建てられました。
Q:マウント・バーノン・レディース・アソシエーション(Mount Vernon Ladies' Association)とは何ですか?
A: マウント・バーノン・レディース・アソシエーションは、マウント・バーノンを信託財産として所有し、維持管理している団体です。
Q: バーノン山は国定歴史建造物に指定されていますか?
A: はい、マウント・バーノンは1960年に国定歴史建造物に指定され、国家歴史登録財に登録されています。
Q:マウント・バーノンを見学することはできますか?
A: はい、マウント・バーノンは年中無休で一般公開されており、見学することが可能です。
Q: 「マウント・バーノン」という名前にはどのような意味があるのでしょうか?
A: 元々はリトル・ハンティング・クリーク・プランテーションと呼ばれていましたが、ジョージ・ワシントンの異母兄であるローレンス・ワシントンによって、英国海軍の司令官であったエドワード・バーノンにちなんで改名されました。ローレンス・ワシントンの死後、ジョージがこの土地を受け継いだので、この名前が残ったのです。
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