ブラジル連邦議会(国会)とは:二院制の構成・下院と上院の役割
ブラジル連邦議会の二院制を詳解:下院・上院の構成・選出・任期・権限と立法プロセス、歴史と本部所在地までわかりやすく解説。
ブラジル国民議会は、ブラジルの国会であり、二院制を採用しています。構成は、代議院(Câmara dos Deputados)と上院(Senado Federal)の2院です。上院議長は国民議会議長(Congresso Nacionalの議長)を兼ね、両院の合同会議を主宰します。
構成と任期
代議院(Câmara dos Deputados)
- 定数:513名の代議員(deputados)。
- 任期:4年。
- 選出方法:比例代表制度(開放名簿制)で選挙が行われ、各州および連邦直轄区に割り当てられた議席数に基づき配分されます。各州の議席数には下限と上限(通常は最低8、最高70)があります。
上院(Senado Federal)
- 定数:81名(各州および連邦直轄区から3名ずつ選出)。
- 任期:8年。
- 選出方法:各州から同数(3名)を選出する多数代表制。上院選は4年ごとに交互に行われ、ある選挙では各州から1名、次の選挙では各州から2名が選ばれます。
主な役割・権限
- 立法:法律案の審議・採決。通常はいずれの院でも立法開始が可能ですが、租税・歳入に関する法案は代議院が起案する慣例があります。
- 予算と財政の承認:連邦予算案の審査・承認を行います。
- 監督権・調査権:政府の行為に対する監督、議会調査委員会(Comissão Parlamentar de Inquérito, CPI)による調査などを通じて行政を監督します。
- 人事承認:上院は大使や高級官僚、特定の司法・行政ポストに対する大統領の指名を承認する権限を持ちます。
- 弾劾手続き:代議院が訴追(起訴)を可決し、上院が裁判を行って罷免の可否を判断する仕組みになっています(大統領や閣僚などに適用)。
- 憲法改正:憲法改正案は両院で定められた多数(通常は各院で3分の2以上)による承認が必要です。
立法手続きの概略
法律案は代議院または上院から提出できます(租税関連は代議院が優先)。提出後、委員会で審査され、各院の本会議で採決されます。両院で可決された法案は大統領に送られ、大統領は署名して成立させるか、部分的または全面的に拒否(拒否権)できます。大統領の拒否権は議会で覆され得ます(所定の多数で破棄可能)。
国会の所在地と建物
国民議会の本部はブラジリアの「三権広場(praça dos três poderes)」に位置します。国会議事堂はオスカー・ニーマイヤー(Oscar Niemeyer)設計による特徴的な建築で、二つの塔と上院の丸いドーム、代議院の逆ドーム(ボウル形)から成る象徴的な外観を持ち、1960年代のブラジリア移転後に建設・稼働しました。
歴史的背景(概略)
ブラジルの立法制度の起源は帝政期にさかのぼり、1824年憲法の下で議会制度が整備されました。共和制の成立や憲法改正を経て、今日の連邦議会は連邦制と三権分立の下で運営され、国政における立法・監督の中心機関として機能しています。
補足(実務的ポイント)
- 代議院は国民の代表として多数派形成が政策決定に直結し、政府の立法方針に影響を与えます。
- 上院は州代表としての性格が強く、長期任期により継続性と安定性を担保します。
- 議会は複数の委員会を通じて専門分野ごとの詳細審査を行い、法案の吟味や政府監視を行います。
まとめ:ブラジル国民議会は代議院と上院から成る二院制の連邦立法機関であり、法律制定、予算承認、行政監督、人事承認、弾劾手続きなどの重要な権限を持っています。所在地はブラジリアの三権広場にある国会議事堂で、歴史的には帝政期の制度を起源としつつ現在の共和制の枠組みで運営されています。
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