NCAA男子ディビジョンI選手権(March Madness)とは|概要・歴史・仕組み
NCAA男子ディビジョンI選手権(March Madness)の概要・歴史・出場方式や名場面、大会の魅力を初心者にも分かりやすく解説。
NCAA男子ディビジョンIバスケットボール選手権大会、またはNCAAトーナメントは、68の大学チームが対戦するシングルエリミネーション(試合に負けると出場停止)の大学バスケットボールトーナメントです。全米大学体育協会(NCAA)が1939年に創設しました。1939年の開始当初は8チームしか参加していませんでしたが、年を追うごとに参加校数は増加し、現在の68チーム形式になっています。
大会は毎年3月中旬から4月上旬にかけて開催されるため、英語では「March Madness(3月の狂乱)」と呼ばれ、日本でもその呼称が広く知られています。熱狂的な応援、予想外のアップセット(格下の勝利)、そしてオフィスや友人間でのブラケット(トーナメント表)予想大会がこの時期の特徴です。
仕組み(出場枠・大会形式)
出場には主に2つの方法があります。
- 自動出場(Automatic bids):所属するカンファレンスのトーナメントで優勝したチームが自動で出場します。現在はNCAAディビジョンIの各カンファレンス(約32)に自動枠があります。
- アットラージ(At-large):NCAA選考委員会がシーズン成績や対戦成績、NETランキングなどを総合的に評価して選出する枠です。68チーム中、約36チームがアットラージで選ばれます。
現在の大会フォーマットは次のとおりです:
- First Four:68チームのうち8チームが「ファーストフォー」で4試合を行い、勝者4チームが64チームの本戦に入ります(2011年以降の形式)。
- ラウンド構成:First Four → ラウンド64(First Round) → ラウンド32(Second Round) → Sweet Sixteen → Elite Eight → Final Four → National Championship。すべてのラウンドはシングルエリミネーション方式です。
- シーディングと地域:選考委員会はチームを地域(一般にEast, South, Midwest, West)ごとに1位から16位までシードし、バランスの取れたブラケットを作成します。シード順は対戦カードの組み合わせに大きく影響します。
選考と評価基準
選考委員会は以下の要素を総合してアットラージやシードを決めます:
- NETランキング(NCAA Evaluation Tool)
- 強豪との対戦成績(Quality wins)
- 四象限(Quadrant)による勝利の評価(Quadrant 1〜4)
- 直近の成績、ケガや出場停止状況などの質的要素
選考結果とトーナメント表は「Selection Sunday(選考発表日)」に発表され、この日にはテレビ中継やインターネットでブラケット公開が大きな話題になります。
歴史と主な出来事
- 1939年に大会創設(当初は8チーム)。
- 1985年に64チーム体制が定着し、その後拡大を経て2011年に68チームとFirst Fourが導入されました。
- 最も成功したプログラムはUCLAで、通算優勝回数は11回(ジョン・ウッデン監督時代に多数)。
- 2018年、UMBC(第16シード)が第1シードのバージニアに勝利し、男子トーナメントで史上初めて16位が1位を破るアップセットを記録しました。
- 1983年のNC Stateや2018年のVillanovaなど、下位シードの“Cinderella(シンデレラ)”物語が毎回注目を集めます。
- 2020年はCOVID-19の影響で大会が中止になりました。以降は開催形態や観客制限の対応が行われています。
会場・Final Fourと放送
Final Fourと優勝決定戦は事前に決められた中立地の大規模アリーナで開催され、数万人規模の観客が集まります。放送権はCBSとTurner(TBS、TNT、truTV)などが保有しており、テレビ中継と公式ストリーミングサービス(March Madness Live)で広く配信されます。
文化的影響と人気
March Madnessはアメリカのスポーツ文化に深く根ざしており、以下の点で影響力があります:
- 職場や友人間でのブラケット(勝敗予想)コンテストが非常に人気。
- アップセットや劇的な終盤プレー(バズザービーター)は話題になりやすく、メディアで大きく取り上げられます。
- 大学スポーツの露出と収益(放送権料、スポンサー、観光など)に大きく貢献。
- 有望な大学選手は大会のパフォーマンスがNBAドラフトでの評価に直結することも多く、選手個人のキャリアにも影響。
注目の記録・賞
- 最優秀選手(Most Outstanding Player:MOP)はFinal Fourの最も活躍した選手に贈られる個人賞。
- 最多優勝校:UCLA(11回)などの伝統校が歴史的記録を持つ。
- 史上最大の番狂わせや劇的勝利がトーナメントの魅力を高めています(例:2018年UMBC vs Virginia)。
この大会は単なるスポーツ大会を超え、大学スポーツのスターを生み、地域コミュニティや全国規模での関心を高める一大イベントです。シーズン終盤の数週間で繰り広げられる熱戦は、毎年多くのファンを魅了し続けています。
レイアウト
大会は、リージョナルと呼ばれる4つのグループに分かれて行われます。各地域には17チームがあり、1~17のシード(ベストからワーストまでの番号)が設定されています。まず、第16シードと第17シードが対戦します。その後、第1シードが第16シードと、第2シードが第15シードと、というように対戦します。そして、勝者が次のラウンドに進みます。6ラウンドあります。
NCAAトーナメント優勝者一覧
| チーム | ウィンズ | 獲得年数 |
| 11 | 1964, 1965, 1967, 1968, 1969, 1970, 1971, 1972, 1973, 1975, 1995 | |
| ケンタッキー大学 | 8 | 1948, 1949, 1951, 1958, 1978, 1996, 1998, 2012 |
| インディアナ大学 | 5 | 1940, 1953, 1976, 1981, 1987 |
| ノースカロライナ大学 | 5 | 1957, 1982, 1993, 2005, 2009 |
| デューク大学 | 4 | 1991, 1992, 2001, 2010 |
| コネチカットの大学 | 4 | 1999, 2004, 2011, 2014 |
| カンザス大学 | 3 | 1952, 1988, 2008 |
| ルイビル大学 | 3 | 1980, 1986, 2013 |
| シンシナティ大学 | 2 | 1961, 1962 |
| フロリダ大学 | 2 | 2006, 2007 |
| ミシガン州立大学 | 2 | 1979, 2000 |
| ノースカロライナ州立大学 | 2 | 1974, 1983 |
| オクラホマ州立大学 | 2 | 1945, 1946 |
| サンフランシスコ大学 | 2 | 1955, 1956 |
| 1 | 1997 | |
| アーカンソー大学 | 1 | 1994 |
| カリフォルニア大学 | 1 | 1959 |
| シーシーエヌワイ | 1 | 1950 |
| 1 | 1984 | |
| ホーリークロス大学 | 1 | 1947 |
| ラ・サール大学 | 1 | 1954 |
| ロヨラ大学シカゴ校 | 1 | 1963 |
| マーケット大学 | 1 | 1977 |
| メリーランド大学 | 1 | 2002 |
| 1 | 1989 | |
| オハイオ州立大学 | 1 | 1960 |
| オレゴン大学 | 1 | 1939 |
| スタンフォード | 1 | 1942 |
| シラキュース大学 | 1 | 2003 |
| UNLV | 1 | 1990 |
| UTEP | 1 | 1966 |
| ユタ大学 | 1 | 1944 |
| ビラノバ | 1 | 1985 |
| 1 | 1941 | |
| ワイオミング大学 | 1 | 1943 |
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