近親者(Next of Kin)とは:定義と相続・医療・法的権利の解説

近親者(NOK)の定義から相続・医療上の意思決定、法的権利、同棲・養子の扱いまで事例別にわかりやすく解説。

著者: Leandro Alegsa

近親者(Next of Kin、NOK)とは、一般にその人にとって最も近い法的・生活上の関係にある親族を指します。英語圏では "Next of Kin"(NOK)という用語が使われ、管轄によっては法的定義が設けられている場合もあれば、慣習的・事実上の関係を重視する場合もあります。以下では定義、相続・医療での扱い、優先順位、問題となる事例と実務上の対策を分かりやすく説明します。

定義と法律間の違い

「近親者」の範囲や優先順位は国や州、地域の法律によって異なります。多くの法域では以下のいずれかを基準にしますが、順序や扱いは法制度ごとに差があります。

  • 配偶者(法的に婚姻している者)
  • 子(実子・養子)— 多くの法域で養子は実子と同等に扱われます。
  • 兄弟姉妹
  • それ以外の血族(姪・甥、祖父母、叔父叔母、いとこ等)

一方で、事実婚や同棲のパートナー、内縁関係、別居中の配偶者、婚姻による親族(義理の親・義兄弟姉妹など)が法的に近親者と認められるかはさまざまです。例えば、英国の一部条項では明確な法的定義がないため、権利が認められない場合もありますが、米国の多くの州では優先順位や代理権の規定が明確です。

相続(遺産分配)における扱い

被相続人が遺言(Will)を残していない場合(法定相続:intestacy)、多くの法域では上に挙げた順序で遺産が分配されます。一般的な流れは次の通りです:

  • 配偶者と子がいる場合は配偶者・子に優先して分配される
  • 配偶者・子がいない場合は親、兄弟姉妹、さらにその先の親族へと移行する
  • 近親者が全く特定できない場合や法的相続人が不存在の場合、最終的に国(政府)に帰属する(escheat)ことがある

注意点として、国・州によっては配偶者に対する最低限の相続分(保護規定)があり、遺言であっても配偶者の権利を侵害できない場合があります。

医療・意思決定における近親者の役割

負傷や意識不明、精神的に判断能力がないなど本人が医療上の判断をできない場合、医療機関は通常、法域の規定に従って近親者に情報提供や意思決定への参加を求めます。具体的には:

  • 医療代理(healthcare proxy)や任意代理人の有無の確認:事前に任命された代理人がいる場合、代理人の指示が優先されることが多い。
  • 事前指示書(リビングウィル)や終末期医療に関する意思表示:書面があれば医療者はそれに従う。
  • 事前の代理指名がない場合、配偶者→子→親→兄弟姉妹の順で近親者が医療決定に関与することが一般的。ただし病院や地域の法律、倫理委員会の判断で扱いが変わる。

また、プライバシー保護の観点から医療情報へのアクセスが制限される場合があるため、同意書や権限委任書を用意しておくと手続きがスムーズになります。

同棲・同性パートナーと近親者の権利

事実婚や同棲、同性パートナーの扱いは法域によって大きく異なります。法的婚姻が認められていない地域では、同棲パートナーは自動的に法定の近親者と見なされないことが多く、結果として次のような不利益が生じます:

  • 医療決定権が認められない
  • 遺産分配で法定相続人に入らない
  • 葬儀や遺体引取りの優先権がない場合がある

このため、同棲・同性パートナー間では遺言、医療代理や任意後見、受益者指定などの書面を整備することが重要です。近年、多くの法域で同棲や同性カップルの権利保護が進んでいるものの、地域差には注意が必要です。

養子・婚姻による親族(義理の親族)の扱い

ほとんどの法域で養子は実子と同等に扱われ、相続権や近親者としての権利が認められます。一方、婚姻によって形成された親族(義父母、義兄弟姉妹など)が法的に近親者と見なされるかは法域と状況によります。多くの相続法では義理の親族は法定相続人にならない場合がある一方、婚姻や同居の状況、別途の法的手続き(養子縁組、同居の登録など)により扱いが変わります。

実務上の注意と推奨される対策

  • 遺言の作成:遺産分配や遺産管理人(executor)を明確に指定する。
  • 医療代理・任意後見の指定:緊急時に誰が医療決定を行うかを文書化しておく(healthcare proxy、指定代理人、リビングウィル等)。
  • 受益者指定の更新:保険や退職金、銀行口座の受益者を最新化しておく。
  • 家族間での情報共有:重要書類の所在や代理人の連絡先を近親者に伝えておく。
  • 国外・別地域に親族がいる場合は、その地域の法制度も確認する。

まとめ

「近親者(NOK)」は法律上・実務上ともに重要な概念ですが、その範囲や優先順位は国や地域によって大きく異なります。自分の希望どおりに財産や医療上の決定を反映させるためには、遺言や医療代理の指定といった事前の法的措置を講じることが最も確実です。疑問がある場合は、住んでいる地域の法律に詳しい弁護士や医療機関に相談してください。

質問と回答

Q: 人の近親者とは何ですか?


A:近親者(NOK)とは、その人の最も近い血縁者または親族のことです。

Q: 「近親者」の定義はどの国でも同じなのでしょうか?


A:いいえ、米国などでは「近親者」の定義を法律で定めている国もあれば、英国などでは必ずしも血縁者を指すとは限りません。

Q: 明確な遺言や指示がなく、配偶者もいない場合、誰が意思決定権を持つのが一般的ですか?


A: このような場合、相続に関する権利は通常、最も近い親族(年齢に関係なく)、通常は子供、親、兄弟姉妹に移ります。成人の近親者がいない場合は、姪や甥、初従兄弟、叔父や叔母、祖父母に決定権が移ることが多いようです。

Q: 近親者がいない状態で遺族が死亡した場合、どうなりますか?


A:被相続人の財産は、通常、政府に帰属することになります。

Q: 近親者は、どのような場合に医療関係者の意思決定に参加できるのでしょうか?


A: 年齢や精神的な弱さ、あるいは意識がないなどの理由で自分で判断できない場合、配偶者や子供がいない場合は、その法域の特定の法律に従って、近親者が医療従事者による医療上の意思決定に参加することができます。


Q: 養子は血縁者として扱われるのでしょうか?


A: はい、養子は近親者の決定において血縁者として扱われます。

Q:婚姻関係にある親族は近親者とみなされますか?


A:いいえ、婚姻による親族は近親者とみなされることはありません。


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