ニトロセルロース(硝化綿・ガンコットン)とは:性質・用途・危険性
ニトロセルロース(硝化綿・ガンコットン)の性質・用途・火災や爆発リスク、保管・取り扱いの安全対策を図解でわかりやすく解説。
硝化綿(硝酸セルロース、フラッシュペーパーともいう)は、すぐに火がつく。硝酸や強力な硝化剤にさらしてセルロースを硝酸化することでできる。推進剤や低次の爆発物として使用される場合、ガンコットンとしても知られています。硝化綿は樟脳で可塑化することができる。コダックや他のメーカーは、写真、X線フィルム、映画フィルムのフィルムベースとして、乳化ニトロセルロースを使用していました。人はこれをニトロセルロースフィルムと呼ぶ。この不安定な硝酸塩フィルムが原因で火災が多発したため、1930年代からX線フィルムに、1948年から映画フィルムに安全フィルムが使用されるようになりました。
性質
硝化綿は、元のセルロース鎖の水酸基がニトロ基(–NO2)に置換されることで得られる。硝酸と濃硫酸などを用いる硝酸化反応で製造され、硝化の程度(ニトロ化率)によって性質が大きく変わる。低い硝化率のものは可塑性や溶解性が高く、塗料やラッカーの基材(ピロキシリン、コロジオン)として使われる。一方、硝化率が高いものは強い酸化剤性をもち、爆発性や非常に激しい燃焼性を示す(ガンコットン)。硝化綿は乾燥状態で非常に可燃性が高く、発火点が低いことが特徴です。
製造と種類
- 硝酸化は酸触媒下で行われる。反応条件や処理によって部分的に硝化されたものから高度に硝化されたものまで得られる。
- 部分硝化物(ピロキシリン、コロジオン)は主にラッカー、インク、医療用のコロジオン溶液に利用される。
- 高度に硝化された硝化綿は軍需用途(黒色火薬の代替となる無煙火薬の基材)や爆薬として使用される。単独で用いる場合と、ニトログリセリンなどと混合して二成分粉末(ダブルベース)を作る場合がある。
主な用途
- 推進剤・火薬基材(小火器用の無煙火薬、ロケット推進剤の一部)
- フィルム基材(歴史的に写真・映画・X線フィルム) — ただし安全性の問題から現在は使用が縮小
- ラッカー、ニス、接着剤の溶剤可溶化成分
- 舞台用のフラッシュペーパーや演出用の速燃紙(速やかに燃えて灰を残さない)
- 医療用コロジオン(かつての包帯や局所被覆材)
危険性と保管
硝化綿は非常に可燃性かつ分解しやすい物質です。特にフィルムや古い保存物は時間とともに化学分解(自己触媒的な酸化分解)を起こし、発火や有毒ガス(窒素酸化物)の発生を招く危険があります。主な注意点は次の通りです。
- 高温・直射日光・発火源から隔離して保管する。低温・乾燥・通風の良い場所が望ましい。
- 劣化したニトロセルロース(変色、粘着、異臭、粉化しているもの)は特に危険であり、専門家による処理が必要。
- 水や湿気により完全に無害化できるわけではない。硝化綿は場合によっては水中でも燃焼を続ける性質を持つことがあるため、単純に水に浸すだけで安全になるとは限らない。
- 小分けや大量保管ともに、法令や危険物管理基準に従う必要がある(輸送・保管規制)。
火災時の注意と消火
硝化綿火災は非常に激しく、通常の消火方法が効かない場合があります。一般的な注意点:
- 初期消火は冷却と周囲への延焼防止が重要。可能ならば安全な距離をとり、有資格の危険物対応チームに連絡する。
- 粉末消火剤や泡消火剤で対応できる場合もあるが、素材や状況によっては不十分なことがある。消防当局の指示に従うこと。
- 密閉容器内や倉庫での燃焼は爆発的な挙動を示すことがあるため、避難・隔離措置を優先する。
歴史的問題(フィルム火災)と保存対策
20世紀初頭、ニトロセルロースフィルムの自己発火や燃焼による劇的な火災が世界各地で発生しました。そのため映画・X線分野ではセルロースアセテートなどの「安全フィルム」への移行が進められました。保存されているニトロセルロースフィルムは次のような対策が推奨されます。
- 冷蔵あるいは低温・低湿度の専用保管庫にて保存
- 定期的な点検と劣化評価(匂い、変色、柔らかさの変化など)
- 劣化が進んだ場合は専門の保存施設による処理・デジタル化・転写などの保存措置
法規・取り扱い
硝化綿は多くの国で危険物・爆薬・可燃性物質として規制されており、取り扱い・輸送・保管には届出や許可、適切な表示および安全対策が求められます。民生用としては可塑化した低硝化物が合法的に用いられることもあるが、完全に硝化されたガンコットンは厳格に管理されています。
代替材料と現状
フィルム用途ではセルロースアセテートやポリエステルフィルムに置き換えられ、安全性と保存性が大きく向上しました。推進剤や火薬分野でも配合や安定化技術が発展し、より安全な製剤が使われています。舞台用速燃紙など短時間で燃える用途には、管理された条件下での低危険性材料が選ばれることが多いです。
まとめ
硝化綿(ニトロセルロース、ガンコットン、フラッシュペーパー)は、用途の幅が広い一方で高い可燃性と劣化による危険を持つ材料です。取り扱いには厳重な安全管理、適切な保管、劣化した試料の専門的処理が不可欠です。歴史的には便利な素材であったものの、その危険性ゆえに多くの分野で代替材への移行が進んでいます。
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