2015年、バングラデシュでイスラム過激派がブロガー4人と出版社1人を殺害した。ジャーナリスト保護委員会の報告書によると、バングラデシュはジャーナリストにとって最も死者の多い国第4位であるという。
背景と標的になった人々
2010年代初頭から中盤にかけて、世俗主義や宗教的権威への批判を公にしたブロガー、作家、活動家がバングラデシュで繰り返し脅迫や襲撃の対象となった。特に2013年以降、イスラム主義に反対する若い世代の運動(いわゆるシャハバッグ運動など)に関わったり、宗教的慣習や権威を公然と批判した人物が攻撃を受けたと報じられている。
2013年には、地元の過激派組織 Ansarullah Bengali Team(報道上の表記にはいくつかの揺れがある)が、黙らせたい人物として84人の名前を挙げたリストを公開したとされる。2015年までにそのリストに名を連ねていた人物のうち少なくとも8人が殺害されたと報告されている。報道で頻繁に挙げられる被害者には、以下のような人物が含まれる(報道に基づく名前の列挙):
- Avajit Roy
- Rajeeb Haider
- Jafar Munshi
- Mamun Hossain
- Jagatjyoti Talukder
- Arif Hossain Dwip
- Ziauddin Zakaria Babu
- Wasikur Rahman
これらの被害者のうち、多くはブログやソーシャルメディア、著作活動を通じて宗教的教義や宗教指導者を批判したり、世俗的な立場を表明していたとされる。報道によれば、一部の殺害は「宗教の冒涜(blasphemy)」と見なされたことが原因とされる場合があるが、実態や動機には複数の要因が絡むことがあるため、単純化は避けるべきである。
過激派組織と手口
襲撃を行ったグループの多くは地域の過激派組織で、国際的な過激思想から影響を受けたと報じられている。標的は自宅や路上、教育機関などで刃物や斧による斬撃で襲われるケースが目立ち、犯行は公開的かつ残忍であったため国内外で強い非難を招いた。
政府と司法の対応
こうした一連の殺害を受け、バングラデシュ政府は治安対策の強化を打ち出し、複数の容疑者を逮捕・起訴した。裁判で有罪となり死刑や長期の刑を受けた者もいる一方で、すべての関係者が摘発されたわけではなく、組織的背景や資金・支援の全容解明には課題が残っている。さらに、人権団体は、治安強化の名の下に表現の自由や人権が不当に制限される事例があると指摘している。
国内外の反応と影響
- 人権団体や国際機関:国境なき記者団や国際人権団体、UN機関などが一連の殺害を強く批判し、ジャーナリストやブロガーの保護を求めた。
- 国内社会:被害者の多くが世俗主義の支持者だったことから、表現の自由をめぐる国内の緊張が高まった。多くのブロガーや作家が自己検閲を余儀なくされ、恐怖から国外へ避難するケースも相次いだ。
- メディアへの影響:独立系メディアやオンライン言論に対する脅迫や嫌がらせが続き、言論空間の萎縮が懸念された。
現在の状況と残る課題
2013〜2016年に集中した一連の襲撃は国際的注目を集めたが、その後も断続的な脅迫やオンラインでの中傷、社会的排斥は続いている。言論の自由と宗教的感情の保護のバランス、司法の独立性、テロ資金や組織の流れを断つための行政・捜査能力の向上、被害者家族への救済や安全対策など、解決すべき課題は多い。
対策と提言
- 言論の自由を守るための包括的な保護策(危険にさらされるジャーナリストやブロガーへの緊急保護、デジタルセキュリティ支援など)を強化すること。
- 過激化の予防とリハビリテーションプログラムを含む包括的なカウンター・ラディカリゼーション政策の推進。
- 司法手続きの透明性を確保し、被害の全容解明と責任追及を徹底すること。
- 市民社会と国際社会による監視と支援を継続し、表現の自由と社会的寛容を育む教育や対話の促進。
この問題は単なる治安事件にとどまらず、民主主義、法の支配、宗教間共生、表現の自由に関わる複合的課題である。今後も国内外の関係者による継続的な注視と協力が求められる。
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