Orto Botanico di Pisa(ピサ植物園)—1544年創設・欧州最古の大学植物園の歴史と見どころ
1544年創設の欧州最古の大学植物園・ピサ植物園を徹底解説。歴史的温室、貝殻装飾の旧研究所、ハーブ園や池など見どころ満載。
Orto botanico di Pisaは、Orto Botanico dell'Università di Pisaとも呼ばれる植物園で、ピサ大学が管理しています。庭園はvia Luca Ghini 5, Pisa, Italyにあります。平日の午前中にオープンしており、見るのにお金はかかりません。
歴史
1544年、トスカーナの有力者であったメディチ家のコジモ1世(Cosimo I de' Medici)の支援を受け、ヨーロッパ初の大学付属植物園として設立されました。初代責任者にはイモラ出身の著名な植物学者ルカ・ジーニ(Luca Ghini)が据えられ、彼は植物標本(ハーバリウム)を作る手法の発展に寄与したことでも知られます。設立当初は薬学・医学教育のための薬用植物栽培が中心でした。
庭園は創設以来複数回移転を繰り返しました。1563年に当初の位置(当時の河川近く、現在のメディチ家のアーセナル付近)からサンタ・マルタ修道院近くへ移され、1591年には現在の場所へ移転しました。歴史を通じて、この庭園は単なる植物コレクションに留まらず、自然史資料のギャラリー(現在のピサ自然史博物館へと発展)、図書館(その一部は大学図書館に統合)や、代々の館長の肖像画を所蔵する文化的拠点でもありました。また、国内で早期に導入された鉄枠(アイアン)構造の温室の一つを有している点も注目されます。
見どころ・コレクション
- 薬草園(ハーブ園):創設当初の教育目的を今に伝える薬用植物のコレクション。
- 樹木園(アーボレタム):多年木や希少樹種を配置した区域で、老木や特徴的な樹形を観察できます。
- 温室群:熱帯・乾燥地帯の植物を展示する温室があり、季節を問わず多様な植物を観察可能です。早期の鉄骨温室は建築史的にも価値があります。
- 池・水生植物:池周辺では水生植物や湿地植物が見られ、昆虫や水鳥の観察にも適しています。
- 旧植物学研究所の建物(1591–1595建築):貝殻で装飾されたファサードを持つ歴史的建築で、園内景観のハイライトになっています。
- 学術コレクションと歴史資料:初期の標本や書物、代々の学芸員の肖像など、学術史を伝える資料が残されています(所蔵品の一部は博物館・図書館と連携しています)。
現在の活動と意義
現代のOrto botanico di Pisaは、研究と教育、保全活動の場としても機能しています。大学の教育プログラムに連動した実習や市民向けのワークショップ、季節展示、植物学に関する講座などが行われることがあり、地元や観光客にとって植物学を身近に感じられる場所です。欧州最古級の大学植物園として、植物分類学や園芸学の発展に寄与してきた歴史的価値も高く評価されています。
訪問のヒント
- 開園時間:平日の午前中に開いていることが多く、入園無料です。訪問前に最新の開園情報を大学や園の公式ページで確認してください。
- 所要時間:ゆっくり見学するなら約1時間〜1時間半が目安です。
- 季節の見どころ:春は花の見頃が多く、夏は温室や池の植物が充実。秋は落葉樹の色づきも楽しめます。
- 服装・持ち物:園内は園路や一部に段差・未舗装部分があるため歩きやすい靴がおすすめです。夏は日差し対策を。
歴史と現代の研究が重なり合うOrto botanico di Pisaは、植物学の学びを深めるだけでなく、静かな散策や写真撮影にも適した場所です。訪れる際は、庭園の歴史的背景や保存活動にも目を向けてみてください。
ピサのオルト・ボタニコ、全景。
ボタニカルスクール。
古い研究所の建物。
関連ページ
- イタリアの植物園のリスト
- 植物園の一覧
質問と回答
Q: ピサ植物園とは何ですか?
A: ピサ植物園(Orto botanico di Pisa)は、イタリア・ピサにある植物園です。
Q: ピサ植物園の管理は誰が行っているのですか?
A: ピサ大学が管理しています。
Q: この庭園はいつ、誰が始めたのですか?
A: 1544年、コジモ1世・デ・メディチのもと、ヨーロッパ初の大学付属植物園としてスタートしました。
Q: ルカ・ジーニとはどのような人物で、庭園における彼の役割は何だったのでしょうか?
A: ルカ・ジーニはイモラ出身の有名な植物学者で、コジモ1世・デ・メディチによって庭園の責任者に任命されました。
Q:庭園の歴史はどのようなものだったのでしょうか?
A:当初は川の近く(現在のメディチ家工廠)にありましたが、その後、サンタマルタ修道院の近くに移され、1591年に現在の場所に移されました。
Q: ピサ植物園では何を見ることができますか?
A: 植物学校、庭園、池、温室、様々な建物、ハーブ園、樹木園、自然物ギャラリー(現在のピサ自然史博物館)、図書館(現在の大学図書館)、歴代館長の肖像、イタリアで最も早く建てられた鉄骨温室の一つなど、様々なセクションを見ることができます。
Q: ピサ植物園の入場料はかかりますか?
A: いいえ、Orto botanico di Pisaの見学に入場料はかかりません。
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