パラッツォ・カリニャーノ(トリノ)—丸みある独特なファサードと王家ゆかりの歴史宮殿
パラッツォ・カリニャーノは、イタリア・トリノにある旧宮殿です。王家の直系であるカリニャーノ公爵家の邸宅であった。丸みを帯びた独特のファサードが有名である。また、サヴォワ家のマリー・ルイーズ王女の生家でもある。初代イタリア国王であるヴィットリオ・エマヌエーレ2世の生誕地でもある。より大きなトリノ王宮の近くにある。
概要と歴史的背景
パラッツォ・カリニャーノは17世紀後半に建設され、カリニャーノ家(サヴォイア家分家)の本邸として使われました。以後、王族の私邸としてだけでなく、政治と文化の舞台としても重要な役割を果たしてきました。19世紀にはサルデーニャ王国の議会(議場)や、イタリア統一後の初期の国会が開かれたことでも知られます。
建築の特徴
外観:最も目を引くのは赤レンガを多用した丸みのある波状のファサードです。窓枠や石材の縁取りと対比することで、柔らかな曲線美と堅牢さが同時に表現されています。外観デザインはバロック様式の影響を受けつつ、独自の装飾意匠が施されています。
内部:内部には格式高い大広間や舞踏室、重厚な階段などがあり、王族の生活や式典にふさわしいつくりになっています。壁面や天井装飾、家具などにも歴史的価値が高いものが残されています。
現在の利用と見どころ
- 博物館:現在、宮殿の一部にはMuseo Nazionale del Risorgimento Italiano(国立リソルジメント博物館)が入っており、19世紀のイタリア統一運動(リソルジメント)に関する資料や展示を見学できます。
- 建築観察:独特の波状ファサードは写真スポットとして人気です。近くで観察すると、窓の配列や石材のアクセントなど細部の意匠がよく分かります。
- 歴史の舞台:ヴィットリオ・エマヌエーレ2世など王室ゆかりのエピソードや、議会が開かれた歴史的意義にも注目してください。
保存・世界的評価
パラッツォ・カリニャーノは、サヴォイア王家の居城群の一部として文化的価値が認められており、保存・修復が続けられています。ユネスコの登録対象となったサヴォイア王家の宮殿群と関連付けて評価されることが多く、トリノにおける重要な歴史遺産の一つです。
見学のヒント
- 開館時間や入場料は季節や特別展で変わるため、訪問前に公式情報を確認してください。
- ガイドツアーでは建物の歴史的背景や内部装飾の解説が聞ける場合があるので、初めてならガイド参加をおすすめします。
- 周辺にはトリノ王宮や博物館、カフェが点在しているため、合わせて回ると効率的です。
パラッツォ・カリニャーノは、建築美と近代イタリア史が交差する場所として、トリノ訪問の際にぜひ訪れたいスポットです。

入口正面にある有名な宮殿の丸みを帯びたファサード。